万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

ワクチンでも血栓はできる?-コロナ後遺症から見る懸念

2021年03月13日 12時03分00秒 | 社会

 全世界で新型コロナウイルス・ワクチンの接種が進められる中、アストラゼネカ製のワクチンには血栓を発症させる疑いが生じています。現状では因果関係が証明されているわけではありませんが、同ワクチンの接種後に血栓症で亡くなるケースも報告されています。このため、イタリアやデンマークなどヨーロッパ諸国では、大事をとって同社製のワクチン接種を中断したのですが、コロナ後遺症に関連する記事を読んでみますと(3月13日付日刊ゲンダイデジタル)、ワクチンでも血栓が生じる可能性も否定できないようにも思えてきます。

 

 新型コロナウイルスに感染すると体内で血栓が生じやすくなることは、内外にあって既に広く知られておりました。通常であれば、体内のウイルスが駆逐されて回復期に入ると同症状も治まるはずなのですが、新型コロナウイルスに関しては、PCR検査が陰性となって退院した後でも、倦怠感、頭痛、食欲不振、めまい、動悸、息切れ、脱毛といった様々な後遺症の報告が後を絶たないのです。となりますと、ウイルスそのものではなく、別の原因が想定されるのですが、その原因の一つとして、抗体による血栓の誘発があり得るというのです。

 

 抗体犯人説とは、新型コロナウイルスのスパイク蛋白質の抗原は、自己抗体を造ってしまい、自らの血管を攻撃するというもののようです。同抗体が、中和抗体と同一のものなのか、それとも、二種類、あるいは、複数の種類の抗体を産生してしまうのかは分からないのですが、自らが自らを’異物’と見なすのですから、自己免疫疾患に近い症状なのかもしれません。そして、仮に、スパイク蛋白質の抗原が身体に対してこうした作用を及ぼすとしますと、遺伝子ワクチンによって人工的に産生された抗体にも同様の作用があってもおかしくはありません。実際に、アストラゼネカ製のワクチンにその疑いが持たれたわけですが、ウィルスベクターワクチンであれ、mRNAワクチンであれ、体内に投与されたスパイク蛋白質のmRNAから抗原が作られ、それに反応して抗体が産生されるメカニズムは同じですので、ファイザー製のワクチンでも起こり得ることとなりましょう(くも膜下出血とされる死亡例も血栓が関与しているかもしれない…)。

 

 そして、さらに懸念されるのは、同記事にあって「習慣流産などの妊娠合併症を起こす『抗リン脂質抗体症候群』のような状態を招いているケースも考えられる」とする指摘がある点です。ここで思い出されますのが、ウイルス由来のシンシチン遺伝子です。同遺伝子は胎盤形成に不可欠であり、免疫抑制機能を担っています。ここで再び、ファイザーの元副社長の「「ヒトなど哺乳動物の胎盤を形成するのに必須なタンパク質が含まれており、ワクチンによって免疫反応を引き起こす可能性がある」とする警告が自ずと蘇ってくるのです。

 

 果たして、遺伝子ワクチンは、本当に安全なのでしょうか。国際標準では7名とされるアナフィラキシーの事例も圧倒的に女性が多いそうですが(もっとも、抗体の産生には時間がかかるので、即時的な副反応は、過去の感染に起因する抗体依存性免疫増強等の可能性はあるものの、ワクチン由来の抗体が原因とは考えられない…)、仮に、抗体犯人説が正しければ、血栓については性差とは関係なく全ての接種者に起こり得ることとなりましょう。

 

ヨーロッパ諸国では、’予防的措置’としてワクチン接種を中止しております。日本国政府も、’オリンピック・ファースト’ではなく安全性の確認を優先すべきですし、国際社会にあっても途上国へのワクチン支援を急ぐよりも、時間がかかってもワクチン接種のリスクを医科学的に検証すべきなのではないかと思うのです(対策は治療や感染予防にシフト…)。抗体、とりわけスパイク蛋白質を抗原とする抗体自身に有害性がある場合には、如何なるワクチンも人類を滅ぼしかねない’毒’となるのですから。

 


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