万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

国民に迫り来る’’決断の日-複雑な遺伝子ワクチンのリスク比較問題

2021年03月15日 11時51分03秒 | 社会

 今般、新型コロナウイルス感染症対策として接種されておりますワクチンは、従来のタイプとは異なる遺伝子ワクチンです。画期的先端技術の実用化とはいえ、未だに発展の途上にある遺伝子工学が用いられているため、その潜在的なリスクも未知数です。国民の多くがワクチン接種に二の足を踏む要因ともなっているのですが、政府が積極的に進める’ワクチン・プロジェクト’によって、国民の一人一人に’決断の日’が近づいています。

 

 ’ワクチンを接種すべきか、せざるべきか’という問題は、かのハムレットの台詞よりも難しい選択かもしれません。何故ならば、現時点にあっては、結果の予測が殆ど不可能であるからです。仮に、結果を予め正確に知っている人がいるとすれば、それは、ワクチン接種の隠された’真の目的’を知っている(人口削減や人類監視・支配体制の確立かもしれない…)、あるいは、ワクチンの全成分やそれらの体内における作用(短期・中長期的副反応)について熟知している、極わずかな人なのでしょう(後者については、皆無かもしれない…)。大多数の人々は、選択の結果を知ることができない状態にあるのです。

 

 結果が分かっている類の選択は、簡単です。選択⇒結果がはっきりしていれば、誰もが悩むことはないのです。しかしながら、今般のワクチン接種の選択は、結果の未定の極めて選択が困難なタイプのものです。しかも、選択に際しては、アレルギー体質といった自らの遺伝子に関わる問題のみならず、コロナ感染リスクや重症化リスクというもう一つの重大なファクターをも考慮しなければなりません。接種の可否の判断には、コロナの感染率、重症化率、そして、死亡率をも含めた複雑なリスクの比較考量を行わなければならないのです。

 

 国民は、極めて難しい選択を迫られているのですが、政府としては、コロナ感染リスクはワクチン接種リスクを上回るとする構図を示すことで、国民をワクチン接種に誘導したいのでしょう。仮に、接種時における短期的な副反応が従来型のワクチンと同程度であれば、国民も、接種の方向へ判断が傾くかもしれません。コロナ感染者数の増加や後遺症等を強調しつつ、長期的なリスクに関する警告や情報を抑え込めば、ワクチン接種へと誘う’世間の空気’を造り出すことができます。

 

 その一方で、ワクチン接種に関して政府がアピールしている(1)コロナ感染には、ワクチンリスクを上回るリスクがあるとする構図は、必ずしも絶対的なものではありません。何故ならば、(2)ワクチンには短期的なリスクを上回る中長期的なリスクがある、並びに、(3)新型コロナウイルスは実際にはそれほど怖くない感染症である、という二つの可能性によって、同構図は脆くも崩壊してしまうかもしれないからです。これら二つの可能性は、決して絵空事ではありません。アストラゼネカ社のベクターワクチンにあって既に血栓リスクが報告されておりますが、ファイザー製のmRNAワクチンをはじめ、他のワクチンにあっても、抗体が原因であれば同様の有害事象も想定されます。また、新型コロナウイルスと同族体の蛋白質を攻撃し、胎盤形成を阻害するといった人類の存続を危うくするリスクも、抗体由来です。また、本ブログでも繰り返し述べているように、長期的なリスクには、数か月や数年後、あるいは、高齢期至った時期における自己免疫不全症の発症やがんの誘発といった致死的な影響もあります。長期的リスクが短期的リスクを遥かに上回る可能性は、医科学的な根拠がないわけではないのです。つまり、長期的には、新型コロナウイルスではなく、ワクチンによって死亡する、あるいは、次世代が誕生しない可能性の方が高くなる事態も想定されるのです。

 

 そして、(3)には、様々なケースが想定されます。人類史において猛威を振るい、感染者の30~60%もの人々の命を奪ったペストでさえ、ワクチンが存在しない時代にあって、適切な感染防止策(感染の媒体となったねずみの駆除)によって終息したように、感染症というものは、一定期間の感染防止策の実施によって終息するものであり、また、体質の違いに因り全ての人が罹患するわけではないそうです。

 

さらに、日本国内で感染者数が増加しているように見えるのは、PCR検査の精度を国際標準より高めに設定しているためとする説もあります(接種後に報告の相次いだアナフィラキシーショックの発症数については、政府は、国際標準に合わせて発症者数を事後的に訂正していますので、PCR検査についても国際標準による検査結果を公表すべきでは…)。最近の抗体検査によれば、東京都でさえ推定感染率は1%を下回っています。実際に、変異によって弱毒化する場合もありましょう。今日では、ペストも抗生物質の投与により治療可能な病気となり、過去にあって人々を恐怖に陥れた疫病もすっかり大人しくなりました。新型コロナウイルスに関しても、効果の高い治療法や治療薬が普及すれば、人々が怖れるべき感染病ではなくなります。つまり、新型コロナウイルスに耐性を有する人々の存在、同ウイルスの感染力や有害性の低下、並びに、治療薬や治療法の確立等により、感染リスクは限りなくゼロに近くなるかもしれないのです。

 

 以上に述べましたことから、国民がワクチン接種を決断するケースは、(1)の感染リスク>ワクチンリスクのケースのみであると言うことができます。一方、(2)感染リスク<ワクチンリスクの場合には、当然にワクチン接種希望者は激減することでしょう。そして、(3)感染リスクの消滅のケースでも、そもそも比較する対象がなくなるのですから、このケースでも、人々の判断はワクチン非接種に傾くことでしょう。選択の結果が分からず、かつ、複雑なリスク比較を行わなければならない状況にありながらも、入手し得る限られた情報からすれば(中には、偽情報もあるかもしれない…)、ワクチンは接種しない方が安全なように思われるのですが、私の判断は、間違っているのでしょうか。

コメント (2)
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