反保護主義打ち出せず=米国第一、国際協調に影―為替合意は再確認・G20閉幕
ドイツのバーデンバーデンで開催されていたG20は、”反保護主義”を打ち出さずに閉幕となりました。トランプ政権発足によって、今日、自由貿易主義を基調としてきた国際経済システムは転換期を迎えているようです。
戦後の国際経済システムは、自由貿易主義を原則として掲げ、実際に、関税率の引き下げに留まらず、非関税障壁の撤廃にも努めてきました。しかしながら、財のみならず、資本、サービス、人、知的財産権といった他の分野にも自由化の波が押し寄せると、自由貿易主義の枠に収まらないグローバリズム型の経済戦略が登場するに至り、国際経済の様相は一変しました。ここで言う”自由”とは、資本、サービス、人、知的財産権などをめぐるすべての障壁の撤廃を意味しますので、あらゆる分野における国境の”開放”をも含意していたからです。
この結果、近年のグローバリズムは、国境なきグローバル市場における規律なき”レッセフェール(自由放任)”と化すようになりました。多国籍企業、あるいは、グローバル企業は、企業進出や活発なM&A等を通して全ての諸国の市場を席巻しようとする一方で、コスト面において競争力に劣る先進国の勤労者が置き去りにされる問題をも引き起こしたのです。同時に、この現象は、先進国の中間層の破壊を伴って進行したため、アメリカやイギリスでは国民の政治的選択の問題と化し、行き過ぎたグローバリズムに対する反動が表面化しました。
自由放任を許せば、”万人の万人対する闘争”状態となるため、自由にも規律が必要であることは人類普遍の原則です。となりますと、経済分野においても、従来の自由一辺倒のルールが是正要求を受けるのも、人間理性に沿った自然の流れとも言えます。このように考えますと、自由放任を是正するための方策としてトランプ政権が主張しているのは、”公平”の原則の導入なのかもしれません。つまり、国際通商システムに公平の原則を導入すれば、多国籍企業やグローバル企業のみが利益を最大化し、ナショナル、あるいは、ローカルレベルの中小規模の企業や一般の国民が踏みにじられていく状況を抑制できると考えたのでしょう。著しい貿易不均衡や雇用問題の深刻化等が示す現実は、理論や理想に反してグローバリズムが一部の国や人々にしか富をもたらさないことの証左なのですから。
そして、今後注目されるべきは、国際通商システムに公平の原則が導入される場合、それによって、どのような国際ルールが形成され、政府にはどのような行動が求められるのか、という点です。この点、自由貿易主義は単純であり、自由化そのものが唯一のルールと見なされ、国境規制を含む関税や非関税障壁の撤廃が強く求めらました。”公平の原則主義”ですと、行き過ぎた自由に対する抑制を意味しますので、少なくとも、国民の生活レベルが低下したり、雇用不安や賃金低下に直面する国については、防御的な手段に対する容認幅が広がると予測されるのです。
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ドイツのバーデンバーデンで開催されていたG20は、”反保護主義”を打ち出さずに閉幕となりました。トランプ政権発足によって、今日、自由貿易主義を基調としてきた国際経済システムは転換期を迎えているようです。
戦後の国際経済システムは、自由貿易主義を原則として掲げ、実際に、関税率の引き下げに留まらず、非関税障壁の撤廃にも努めてきました。しかしながら、財のみならず、資本、サービス、人、知的財産権といった他の分野にも自由化の波が押し寄せると、自由貿易主義の枠に収まらないグローバリズム型の経済戦略が登場するに至り、国際経済の様相は一変しました。ここで言う”自由”とは、資本、サービス、人、知的財産権などをめぐるすべての障壁の撤廃を意味しますので、あらゆる分野における国境の”開放”をも含意していたからです。
この結果、近年のグローバリズムは、国境なきグローバル市場における規律なき”レッセフェール(自由放任)”と化すようになりました。多国籍企業、あるいは、グローバル企業は、企業進出や活発なM&A等を通して全ての諸国の市場を席巻しようとする一方で、コスト面において競争力に劣る先進国の勤労者が置き去りにされる問題をも引き起こしたのです。同時に、この現象は、先進国の中間層の破壊を伴って進行したため、アメリカやイギリスでは国民の政治的選択の問題と化し、行き過ぎたグローバリズムに対する反動が表面化しました。
自由放任を許せば、”万人の万人対する闘争”状態となるため、自由にも規律が必要であることは人類普遍の原則です。となりますと、経済分野においても、従来の自由一辺倒のルールが是正要求を受けるのも、人間理性に沿った自然の流れとも言えます。このように考えますと、自由放任を是正するための方策としてトランプ政権が主張しているのは、”公平”の原則の導入なのかもしれません。つまり、国際通商システムに公平の原則を導入すれば、多国籍企業やグローバル企業のみが利益を最大化し、ナショナル、あるいは、ローカルレベルの中小規模の企業や一般の国民が踏みにじられていく状況を抑制できると考えたのでしょう。著しい貿易不均衡や雇用問題の深刻化等が示す現実は、理論や理想に反してグローバリズムが一部の国や人々にしか富をもたらさないことの証左なのですから。
そして、今後注目されるべきは、国際通商システムに公平の原則が導入される場合、それによって、どのような国際ルールが形成され、政府にはどのような行動が求められるのか、という点です。この点、自由貿易主義は単純であり、自由化そのものが唯一のルールと見なされ、国境規制を含む関税や非関税障壁の撤廃が強く求めらました。”公平の原則主義”ですと、行き過ぎた自由に対する抑制を意味しますので、少なくとも、国民の生活レベルが低下したり、雇用不安や賃金低下に直面する国については、防御的な手段に対する容認幅が広がると予測されるのです。
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農業分野については、残留農薬など、規制強化を進める必要があると思います。
現状のままグローバル化路線を進みますと、中国の一人勝ちが目に見ておりますし、何よりも、国内経済や国民生活を犠牲にしてまで、この方針を貫くべきなのか、大いに疑問を感じております。私は、巨大企業のみが繁栄する経済をジュラシック・エコノミーと呼んでいるのですが、結局、巨大になり過ぎた故に変化に対応できず、どこかで行き詰ってしまうのではないか予測しております。スモール・ビジネスも活躍できるような、より多様性に富んだ、豊かな経済を目指すべきと考える次第です。
ようやく、自由貿易主義の弊害に気が付き、アメリカも、イギリスも、その修正を検討するようになったのですから、日本国、並びに、国際経済の将来にとりましては、望ましいことなのではないでしょうか。本件は、より良き国際経済システムの構築に向けたチャンスと捉えるべきと思います。
リカードの説は間違いで貿易の利益は国際商人のものになる。トヨタやアップルが儲けた利益をトランプ氏はアメリカで遣えと言っている。メキシコで生産するという経済合理性を無視して。つまり国家資本主義と言うか国家社会主義というか、中国と同じやり方になる。インフラもボロボロ、貧民の多さもチャイナに負けないぐらい。だから米中は似た者同士の双子みたいなものだから同じやり方になる。トランプ氏はきっと成功すると思う。
公平な貿易は、あり得るのではないかと思います。全ての参加者に対して、一定の条件下において、自己防御的な権利を認めるというルールを敷くことで。今日の自由貿易(開放政策)一辺倒では、ダンピングや政府補助といった僅かな例外を除いて、防御的な措置ができず、産業を衰退させ、国民を貧困化させるに任せているのです。