万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

エマニュエル駐日米大使とは何者なのか-LGBT法案が明かす正体

2023年05月15日 13時27分48秒 | 国際政治
 今日、グローバリズムの波は経済分野のみならず社会分野にまで及び、各国において同一の社会運動が起きています。LGBT差別反対運動もその一つであり、日本国内でもLGBT案の制定に向けて動きが活発化してきました。保守政党を名乗ってきた自民党でも、G7サミットの開幕までに間に合うよう、「LGBT理解増進法案」の国会提出のための党内手続きを完了させる予定です。ところが、自民党内の合同会議において、反対多数にも拘わらず幹部への一任で手続きを終了させたことから、党内のみならずネットなどでも批判の声が上がることとなったのです。

 国民に対する然したる説明もなく、かつ、LGBT法の制定に向けた与党自民党内の手続きがあまりにも強引であったために、LGBT法案の制定については、‘外圧説’が説得力を増すこととなりました。‘外圧説’とは、‘同法案の制定を日本国に強要しているのはアメリカである’というものです。その根拠として示されているのが、ラーム・イスラエル・エマニュエル駐日米大使の存在です。

 このように申しますのも、エマニュエル大使は、今月5月12日にLGBTなどの性的少数者の権利の擁護を訴える動画をツイッターで公開したからです。同動画には、イギリスやEUなど他の15人の在日大使たちがメッセージを寄せており、その中には、EUのパケ大使のように「差別は間違っている。防ぐには法律が必要だ」とするものもあったそうです。これでは、日本国は、LGBT法案の成立を迫る包囲網に取り囲まれてしまったかのようです。来るG7広島サミットとは、世界権力による世界支配の装置であるかのようです。

 それでは、アメリカのエマニュエル大使とは、どのような人物なのでしょうか。上述したフルネームが示すように、同大使は、ユダヤ系のアメリカ人です。父方の祖父がベッサラビア(現モルドバの一部)からイスラエルに移住したユダヤ人であり、イスラエル生まれの父親が後にアメリカのシカゴに移住し、この地で同じくユダヤ系の母親との間で生まれたのが、エマニュエル大使なのです。同大使は、生まれながらにしてユダヤ系ネットワークのメンバーであり、イスラエルの国籍をも有する二重国籍者です。しかも、父祖の地であるモルドバはウクライナの陸続きの隣国ですので、ユダヤ系ネットワークを介して同国のユダヤ人とも繋がっていることでしょう(ウクライナのゼレンスキー大統領もユダヤ系・・・)。

 アメリカでは、ユダヤ系の人々は一般的に民主党の支持者が多いのですが、エマニュエル大使も例外ではありません。リベラルな思想の持ち主であり、LGBTについても、同性婚を認めるように主張してきました。今般、同大使がことさらにLGBT運動に肩入れするのも、アメリカ民主党、あるいは、世界経済フォーラムに象徴される世界権力が推し進めるリベラリズムの表れなのでしょう。

 エマニュエル大使の経歴を見ますと、クリントン政権にあって選挙キャンペーンでの功績から大統領上級顧問を務めた後、一時的に投資銀行(Wasserstein Perella & Co.)に席を置いていた時期もありました。また、2000年には、クリントン大統領から連邦住宅金融抵当公庫の理事にも指名されており、2001年に辞任するまでの僅かの間に少なくとも30億( $320,000 )円以上の所得を得たとされます(この間、同公社ではスキャンダルに見舞われたものの、ブッシュ政権が理事会に関する再審査を拒否・・・)。こうした金融畑の職歴から、同大使と金融界との繋がりも伺えるのです。

 その後、2002年からイリノイ州の下院議員として政界に戻り、2009年1月には、オバマ政権下で大統領首席補佐官に就任します。そして、同大使の名をさらに広げたのが、シカゴ市長のポストです。エマニュエル大使は、シカゴ史上初めてのユダヤ人の市長となり、2011年5月から2019年5月までの8年間に亘り同職にありました。もっとも、シカゴ市長時代につきましては、必ずしも良い評判ばかりではありません。ラグアン・マクドナルド事件が起きたのも同大使の任期中のことでしたし、その他にも、様々な批判がありました。例えば、透明性の高い市政の実現を掲げながら、在職中に、ロビイスト、企業幹部、献金者並びに友人達との違法なやりとりをしたemailの公表を拒否するなど、その言行が一致しない不透明性が指摘されています。また、2012年には、「ウェルカム・シティ条例」を制定し、シカゴ市を事実上の移民歓迎の‘聖域都市’としました。
 
 以上にエマニュエル大使の経歴等について見てきましたが、昨今の日本国の政治は、まさに同大使の政策方針と一致していると言わざるを得ません。LGBT法のみならず、ウクライナへの異常なまでの肩入れ、政策の利権化、日本の‘移民都市’化、海外への公金のばらまきなどなど・・・。言い換えますと、エマニュエル大使は、在日大使と言うよりも、日本国を統治するために派遣されたエマニュエル総督の如きなのです(ユダヤ系ネットワークを考慮すれば、実際の派遣元はアメリカではなく世界権力では・・・)。

日米合同会議の存在も明るみに出る中、日本国は、独立性を疑わざるを得ない状況にあります。国際社会にあっては、内政不干渉は原則の一つであり、かつ、日本国は、サンフランシスコ講和条約において主権を回復しております。ウクライナ紛争に際しても、バイデン大統領は、自由主義国として民主主義を護る使命を力強くアピールしておりますが、日本国の民主主義が蔑ろにされ、日本国から公金が流出する現実を目の当たりにしますと、この言葉も虚しく響くのです。

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