今般、政府は、新型コロナウイルスに対する政府の対応が不十分であったとして、感染症対策強化のための体制構築に乗り出しております。この流れの中で、「新型インフルエンザ等対策政府行動案」が作成され、現在、内閣感染症危機管理統括庁のパブリックコメントに付されております。しかしながら、この‘政府行動計画’、国民にとりましては、感染症をも越える重大なリスクとなるようにも思えます。
内閣感染症危機管理統括庁とは、司令塔機能の強化を目的として昨年9月に新設された機関です。このため、内閣総理大臣⇒内閣官房長官・担当大臣⇒内閣感染症危機管理総括庁というトップ・ダウンの指揮命令系統が整えられています。憲法改正の論点となっている緊急事態条項と同様に、有事に際して権力を首相(リーダー)に集中させる方向での制度改革であったと言えましょう。この側面からして、既に世界権力の陰が見え隠れするのですが(決定者は世界権力・・・)、先ずもって疑問となるのは、政府が、新型コロナウイルス型の感染症拡大が、今後とも繰り返されると想定している点です。
実のところ、新型コロナウイルスの発生源については、未だに特定されていない状況にあります。昨今、発生源に関する情報数が減少してはいますが、中国武漢市の海鮮市場における野生コウモリの取引により生じたとする説がある一方で、同市にはレベル4のウイルス研究所が設けられているため、人為的あるいは過失による人工ウイルスの流出説もあります。最先端の遺伝子工学の研究機関でもある同研究所では、ウイルスの機能獲得に関する実験等も行なわれていたからです。後者の説の方が遥かに信憑性が高く、アメリカ政府も、基本的には武漢ウイルス研究所流出説の立場にあります。その後、同武漢ウイルス研究所流出説に対抗するかのように、中国側は、アメリカの米陸軍基地フォート・デトリックからの流出説を唱えるようになり、米中間で責任のなすりつけ合いが演じられたのです。さらには、武漢ウイルス研究所に対しては、アンソニー・ファウチ氏が所長であった国立アレルギー感染症研究所(NIAID)が業務委託した非営利団体「エコヘルス・アライアンス」を介して資金が提供されていたとの報道もあります。新型コロナウイルスの起源の解明には徹底した調査を必要としながら、未だに不明なのです。
もっとも、米中何れであれ、‘米中合作’であれ、人為的な流出説、もしくは、散布説の方が有力です。多くの人々が、WHOも絡むパンデミック化を含め、コロナ禍については事件性や謀略を疑っていることでしょう。ところが、少なくとも日本国政府は、中国が最初に主張する自然発生説を‘公式見解’としているのです。上述した「新型インフルエンザ等対策政府行動計画案」でも自然発生説を前提としており、対策強化の根拠として、途上国等における野生動物を介した未知のウイルスによる感染症の発生を挙げています。
しかしながら、たとえ自然発生説を採ったとしても、コロナ禍が繰り返されるとは限りません。中国では、生鮮市場で食料品として売られているぐらいですから、中国人にとりましては、コウモリは、日常の食卓には上らなくとも伝統的な食材ではあったのでしょう。それにも拘わらず、21世紀に至るまで、中国食文化圏では、コロナウイルスを媒介とした感染率、重症化率、致死率の極めて高い感染症の爆発的な拡大は起きていなかったようです。また、既に人類未踏の地もなく、未知の動物も殆ど存在しない現代という時代にあって(ましてや、ワシントン条約で保護こそされ、人々が触れたり食材として市場で販売されるはずもない・・・)、自然に新たな感染症が発生する確率はそれ程には高いとも思えないのです。
そして、何よりも、経路の如何に拘わらず、上述したようにウイルスの人為流出が事実であるならば、早急に整えるべきは感染症対策の体制ではなく、有害ウイルスの管理体制のはずです。故意であれ、不注意であれ、または、自然のウイルスであれ、人工ウイルスであれ、研究機関等からのウイルスの流出さえ起きなければ、コロナ禍の再来も起きないのですから。もしくは、国際法禁じられている生物化学兵器の秘密開発が疑われるならば、これもやはり国内レベルでの対応ではなく、国際司法の場で追求されるべき案件となりましょう。
次なるコロナ禍の発生確率が低いにも拘わらず、あたかも次なるコロナ禍が既定路線であるかのように対策を急ぐ日本国政府の姿勢は、新型コロナウイルス陰謀説の信憑性を高めこそすれ、国民の理解を得るのは難しいように思えます。原因不明の状態にありながら、首相をトップとする上意下達の指揮命令系統をもって有事体制を構築しようとする背景には、一体、何があるのでしょうか(トップの指令一つで行動計画が発動し、即、実行に移される・・・)。それとも、次なる人為的なコロナ禍が計画されているからなのでしょうか。ウイルスは生物兵器ともなり得ますし、工場で生産されるmRNAワクチンも化学兵器の一種となり得ます政府の行動計画では、対策としてワクチン接種に重点が置かれていますが、政府の根拠曖昧な行動計画は不気味でもあり、自国民を危険に晒すのではないかと深く危惧するのです。