通商面における米中関係の悪化は、安全保障分野における両国の対立と背中合わせでもあります。将来的な米中の軍事衝突も予測の範囲に入り、アメリカと同盟関係にある日本国もまた、中国の軍事大国化と激化する米中対立は国家の存亡にかかわる大問題です。緊迫化する国際情勢にあって、日本国政府は周辺諸国との関係をめぐり正念場に差し掛かっておりますが、特に鍵となるのはロシアとの関係です。
同盟国であるアメリカでは、捜査報告書が公表されたとはいえ、事あるごとにトランプ大統領のロシア疑惑が持ち上ってきましたが、この現象も、背後に米中対立を想定しますと理解に難くはありません。ヘンリー・キッシンジャー元国務長官に代表されるように、筋金入りの親中派は共和党にも少なくないものの、クリントン政権やオバマ政権等、歴代の民主党政権は、基本的には親中路線を継承してきたからです。中国がアメリカの敵国として国民に意識されるに至った今日、米民主党には、自らの中国との近い関係に対する批判を避けるためにも、かつては主要敵国であったロシアを前面に押し出すことで、トランプ大統領をロシアに国を売る‘裏切り者’のイメージを植え付けたいのでしょう。
トランプ大統領の無実の主張を信じるならば、ロシア疑惑は、まことに厄介な言いがかりとなります。何故ならば、中国との対立を睨んだ上での対ロ融和策、あるいは、ロシア懐柔策が採り難くなるからです。僅かであれロシアに対する妥協を示せば、疑惑の証拠と見なされかねないのです。米民主党、あるいは、その背後に控えている中国にとりましては、ロシア疑惑は、次期大統領選挙にあってトランプ大統領の当選を阻むと共に、現時点にあってもアメリカの対ロ接近を押さえることができるのですから、一石二鳥の効果が期待されるのでしょう。
そして、ここで問題となるのは、ロシアの本心です。実のところ、大国でありながら、ロシアほど‘玉虫色’の国はありません。第二次世界大戦にあっても、ソ連邦は、共産主義を罵倒し続けてきたナチス・ドイツと突如として不可侵条約を結ぶ一方で、ドイツによるバルバロッサ作戦の開始で両国関係が破綻すると、唯一の共産主義国として単独でドイツと戦う選択肢がありながら、あっさりとプロレタリアートの敵であるはずの‘資本家階級’の国で構成される連合国陣営に鞍替えしています(英仏にあっても、ポーランドを防衛する条約上の義務はあっても、ロシアに対しては同様の義務を負っていない…)。ソ連邦の独裁者であったスターリンは、連合国陣営に加わった方が軍事力を以って周辺諸国を共産化、否、自国の勢力範囲に組み込むことできると計算したのでしょう。実際に、戦勝国として迎えた戦後にあって、東側陣営の盟主の地位を得たわけですが、ロシアは、自らの主義主張とは関係なく、その時々の損得勘定で自らが得をする方を選んでいるとしか言いようがなく、ロシアの行動原則は、自己中心的なご都合主義なのです。
もっとも、こうした同国の日和見的で打算的な性格は、英仏等の自由主義国内に潜む財閥系の国際組織との関係からもたらされたのかもしれず、ロシアの伝統的な国柄であったのかどうかは定かではありません(もっとも、モンゴルの支配を受けた期間が長いので、その騎馬民族的な性質を受け継いでいる…)。何れにしましても、米中対立が激化する今日にあっても、ロシアは、最終的にどちらの方向を向くのか、あるいは、どちらの陣営に与するのか、予め予測することは難しいのです。つまり、‘敵の敵は味方’の要領でロシアとの関係を改善しても、ロシアは、必ずしも‘味方’であり続けるとは限らず、常に、‘寝返りリスクを抱える国’として警戒するしかありません。ロシアには、道義も信義も通用しないのですから。そしてこの側面は、共産党一党独裁国家である中国にも言えることなのです。
トランプ大統領のロシア疑惑については、中国の関与、即ち、米中ロの三国間の関係として考慮すべきですし、ロシアの国柄やその背後関係を理解すればこそ、日米両国ともに、対ロ政策には慎重にならざるを得ないのではないでしょうか。
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同盟国であるアメリカでは、捜査報告書が公表されたとはいえ、事あるごとにトランプ大統領のロシア疑惑が持ち上ってきましたが、この現象も、背後に米中対立を想定しますと理解に難くはありません。ヘンリー・キッシンジャー元国務長官に代表されるように、筋金入りの親中派は共和党にも少なくないものの、クリントン政権やオバマ政権等、歴代の民主党政権は、基本的には親中路線を継承してきたからです。中国がアメリカの敵国として国民に意識されるに至った今日、米民主党には、自らの中国との近い関係に対する批判を避けるためにも、かつては主要敵国であったロシアを前面に押し出すことで、トランプ大統領をロシアに国を売る‘裏切り者’のイメージを植え付けたいのでしょう。
トランプ大統領の無実の主張を信じるならば、ロシア疑惑は、まことに厄介な言いがかりとなります。何故ならば、中国との対立を睨んだ上での対ロ融和策、あるいは、ロシア懐柔策が採り難くなるからです。僅かであれロシアに対する妥協を示せば、疑惑の証拠と見なされかねないのです。米民主党、あるいは、その背後に控えている中国にとりましては、ロシア疑惑は、次期大統領選挙にあってトランプ大統領の当選を阻むと共に、現時点にあってもアメリカの対ロ接近を押さえることができるのですから、一石二鳥の効果が期待されるのでしょう。
そして、ここで問題となるのは、ロシアの本心です。実のところ、大国でありながら、ロシアほど‘玉虫色’の国はありません。第二次世界大戦にあっても、ソ連邦は、共産主義を罵倒し続けてきたナチス・ドイツと突如として不可侵条約を結ぶ一方で、ドイツによるバルバロッサ作戦の開始で両国関係が破綻すると、唯一の共産主義国として単独でドイツと戦う選択肢がありながら、あっさりとプロレタリアートの敵であるはずの‘資本家階級’の国で構成される連合国陣営に鞍替えしています(英仏にあっても、ポーランドを防衛する条約上の義務はあっても、ロシアに対しては同様の義務を負っていない…)。ソ連邦の独裁者であったスターリンは、連合国陣営に加わった方が軍事力を以って周辺諸国を共産化、否、自国の勢力範囲に組み込むことできると計算したのでしょう。実際に、戦勝国として迎えた戦後にあって、東側陣営の盟主の地位を得たわけですが、ロシアは、自らの主義主張とは関係なく、その時々の損得勘定で自らが得をする方を選んでいるとしか言いようがなく、ロシアの行動原則は、自己中心的なご都合主義なのです。
もっとも、こうした同国の日和見的で打算的な性格は、英仏等の自由主義国内に潜む財閥系の国際組織との関係からもたらされたのかもしれず、ロシアの伝統的な国柄であったのかどうかは定かではありません(もっとも、モンゴルの支配を受けた期間が長いので、その騎馬民族的な性質を受け継いでいる…)。何れにしましても、米中対立が激化する今日にあっても、ロシアは、最終的にどちらの方向を向くのか、あるいは、どちらの陣営に与するのか、予め予測することは難しいのです。つまり、‘敵の敵は味方’の要領でロシアとの関係を改善しても、ロシアは、必ずしも‘味方’であり続けるとは限らず、常に、‘寝返りリスクを抱える国’として警戒するしかありません。ロシアには、道義も信義も通用しないのですから。そしてこの側面は、共産党一党独裁国家である中国にも言えることなのです。
トランプ大統領のロシア疑惑については、中国の関与、即ち、米中ロの三国間の関係として考慮すべきですし、ロシアの国柄やその背後関係を理解すればこそ、日米両国ともに、対ロ政策には慎重にならざるを得ないのではないでしょうか。
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ことが多いです。、、、ま、なんともいいようがありません。
私は、この事件で、トランプさんが全く潔白とは言えないにしても、やはり、
だれかから‘’はめられた‘’可能性のほうが高いと、思います。
いまの米中露の関係は複雑ですが、、、
トランプ大統領、プ-チン大統領、習近平主席の3人の中で、誰が一番『まし』かと
言えば、私はもちろん、トランプ大統領が相対的に一番ましであると断言します。
トランプさんは、怒りっぽく、言いたいほうだいのことを言うひとですが、決して
悪人ではありません。
腹黒い習主席やプ-チン大統領とは違います。
もちろん、トランプさんを手放しで賞賛することは、とうていできませんが、、、、
※ただし、あのキッシンジャーとか言う人は、大嫌いですね。
年配の人に、お聞きしますと、キッシンジャーは、ものすごく反日的な人で、
チャイナの指導者と口を合わせて、日本に対してパッシングしてたそうです。
◎さまざまな 悪の踊りし 世なれども
正義を信じ 決然と立て
トランプ大統領にはよく分からない点が多く、現在入手し得る情報では、何とも判断のしようがありません…。一方、キッシンジャー元国務長官については、少なくとも中国の利益に為に行動する政治家であり、日本国に対しましては非友好的な人物であることは確かなようです。
善きことと 悪しきこととを 見きわむる 知の力こそ 世をたすけむ