万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

本当に”恒久”と名づけてもよいの?

2007年11月04日 20時18分43秒 | 日本政治
自衛隊派遣恒久法「次期国会提出も」 自民国対委員長(朝日新聞) - goo ニュース

 自衛隊派遣に関する基本法をめぐっては、自民党と民主党との間には、大きな原則上の違いがあります。国連決議を派遣の条件としたい民主党に対して、自民党内には反対意見も根強くあると言いますが、この違いは、将来の日本国の対外政策を大きく左右することになります。

 仮に、民主党案に歩み寄る形で恒久法なるものが制定されるとしますと、台湾有事など、中国の国益が深く関わる紛争には、それが侵略戦争であったとしても自衛隊は全く動けないことになります。国連決議の成立を条件とした場合、安保理における中国の拒否権発動のために、自衛隊が活動できないケースが多々予測されるのです。このように、将来的に自らの政策手段を狭め、しかも、”恒久”という名を冠して改正を牽制するような法案を制定することが、果たして、日本国の国益に合致するのか疑問なところです。

 ”恒久法”なるものを制定するよりも、自らの侵略戦争のみを禁じる条文に憲法第9条を改正するほうが正道なのでしょうし、政策のフリーハンドを残しませんと、中国に対する抑止力にもならないと思うのです。

コメント (1)    この記事についてブログを書く
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1 コメント

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初コメントです (bystander)
2007-11-08 02:26:12
 恒久法制定自体には賛成です。
 ただ管理人様がお持ちになる懸念は自分も持っていて、そのために「日本と敵対、もしくは緊張関係にある少数のP5が、ことごとく拒否権で決議案を潰しにか」けてくることを抑止する次善策として「ただしP5の拒否権行使等により安保理が機能しない場合は、採択不能でもP5のうち3ヶ国を含む安保理理事国の過半数以上の賛成と国会の事前承認、この二つを満たした場合でも参加可とする。」みたいな特例措置(政策のフリーハンド)を加えれば無原則対米(英)追従的な派兵は仏の賛成という歯止めのおかげで出来なくなるにしても、必要な時分に武力行使を伴うpko参加できるようになるのではと思います、そしてそのあとに「憲法第9条を改正」して自衛軍を位置つければ良いと思います。
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