万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

南海トラフ巨大地震とガス田開発との関係は?

2024年05月20日 10時14分35秒 | 国際政治
 昨今、巨大津波を伴う南海トラフ地震の発生が近いとの憶測から、メディア等では国民に対して被災の覚悟や地震対策を促す記事や情報が頻繁に報じられるようになりました。南海トラフ地震に際しての被害予測は、東日本大震災をはるかに上回るとされ、政府でも、内閣府が同地震発生に際してのシミュレーションビデオを作成して公開しています。同動画では、家屋の倒壊、インフラ施設の崩壊や寸断、大火災の発生等のみならず、津波が到達する最短時間と最大津波高も予測されています。和歌山県で2分、20メートル、三重県で同4分、27メートル、高知県で同3分、34メートル、静岡県で2分、33メートルとされ、避難できる時間は僅か数分です。東海地方から四国にかけての太平洋沿岸地域に住む方々は、生きた心地がしない日々が続いているかも知れません。被災地の広範性に加え、日本経済に与えるダメージも計り知れず、同様に懸念されている首都直下型の地震が重なれば、日本壊滅も絵空事ではないように思えてきます。

 同地震の発生が絶対視されている中、今年に入って、北海道大学を中心とした研究グループによる論文が、俄に注目を集めています(2024年2月21日、国際学術誌 Communications Earth & Environment 誌オンラインで公開)。それは、南海トラフ地震の発生源地帯には、持続的にメタンと水素ガスが生成されているというものです。微生物による堆積有機物の熱分解並びに岩石と水の反応よるもので、メタンの埋蔵量は世界最大級、すなわち、日本の年間消費量の約10倍に当たる1.1 兆㎥と報告されています。

 南海トラフにおける天然ガスに関する研究が進んだ背景には、同地帯での大地震発生の予測があり、他の地域よりも採掘調査等による基礎データの蓄積があったとされています。この説明によりますと、南海トラフ大地震への備えが幸いにして日本国の海底ガス資源の存在を明らかにしたとも言えましょう。しかしながら、その一方で、大地震と地下資源との関係が逆である疑いも頭を過ります。

 実際に、北海道大学のpress releaseでは、同研究の概要に「メタン・水素生成帯は同プレートの地震破壊域と重複しており、地震発生に伴ってメタンや水素ガスが放出され天然ガス資源の形成に寄与していることが予想されます。」とする下りがあります。この説明からしますと、南海トラフ大地震の際には、これらの天然ガス大量に放出されることが既に予測されていることになります。となりますと、むしろ、天然ガスを大量に採掘した結果、地震が発生するという逆パターンもあり得ることになりましょう。シェールガス等の地下資源の採掘に際しても、周辺地域での地震の発生が報告されています。

 南海トラフ大地震につきましては、先日、政府がその発生確率を高めに想定しており、専門家から政府予測は科学的知見に反するとする批判が起きているとする記事も報じられました。仮に日本国政府が、南海トラフ大地震の発生確率を敢えて高く設定しているとしますと、そこには何らかの意図があったはずです。そして、この意図とは、同地区に埋蔵する天然ガス資源に関わるものなのではないかと推理するのです。

 南海トラフの震源地帯については、上述したように綿密な海底調査が行なわれており、「南海トラフ地震発生帯掘削計画」も国際共同研究なようです。国際的な関心事であるとしますと、その背後には、国際的、否、グローバルなエネルギー資源利権団体が蠢いる可能性も否定はできなくなります。昨今、グローバリストの走狗と化している日本国政府は、同利益団体のために、採掘に伴う南海トラフ大地震の発生を自然災害に見せかけようとしているとする推測も成り立つように思えるのです。政府にとりましては、南海巨大トラフ地震の発生は、既定路線なのです。その一方で、散々、南海トラフ巨大地震は自然現象であるとすり込まれてきた日本国民の多くは、同地域で実際に大地震が発生しても、政府の予測通りであったと納得することでしょう。

 何れにしましても、日本国の太平洋沿岸のトラフには、莫大なエネルギー資源が眠っていることが明らかとなったことから、南海トラフ大地震に対する国民の視線も自ずと変化してくることでしょう。計画的な人工地震の可能性を考慮しますと、急ぐべきは安全なガス採掘技術の開発であり、グローバルな巨大エネルギー利権団体のために国民を犠牲に供することは決してあってはならないと思うのです。

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