花の詩山の詩

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このブログは「花と山とを友として」の続編です

ナンバンギセルの不思議な生態

2015年08月30日 18時20分06秒 | アウトドアー

昨年撮影した人面のようなナンバンギセル
あまりにも人間の顔に似ていて、しかも目がうつろで不気味だ。
誰かに似てないか。


ナンバンギセルの群落


同じく


南蛮煙管の前年の花柄

南蛮ギセルは、ハマウツボ科のナンバンギセル属の寄生植物
1年草で、夏に芽を出し今頃花を咲かせて、実を結び、冬前に
枯れてしまう。

上の前年の花柄のように、果が割れて非常に細かいタネが微風で散布される
実際に数えていないので正確な種の数はわからないが、おそらく数百個のタネが
あると思われる。

種が小さいので、発芽や生育に必要な栄養は持っていないと思います。
つまり発芽の段階から他の植物に寄生して成長すると思われます。

ですから、非常に多数のタネが散布されても、落ちたところに寄生する植物が
なければ、発芽できずに淘汰されると思います。

しかも、寄生する植物が「ススキ、ミョウガ、サトウキビ」などと限定されて
いるわけですから、いわば行き当たりばったりの成長戦略といえるでしょう。
まるでヘタな鉄砲も数撃ちゃあたるをジで行ってますね。

追記、これについては参考文献がありました。
花からたねへ 種子散布を科学する」小林正明著 全国農村教育協会発行

これには南蛮煙管の果の中にタネがきっしり詰まっている写真とともに
次のように書かれています。
移動できない寄生種が宿主にたどり着くには、種子を多数出さなければ
ならないのだろう。そのために種子を小さくしたと思われる
。」(この部分引用)
種が小さいのにもちゃんと理由があるのですね。

もし落ちたタネが全部発芽したら、そこいらじゅう南蛮ギセルになって
それはそれで、また別な問題を引き起こすかも。

私の観察している場所の一か所には、竹藪しかないので写真のナンバンギセルは
竹に寄生しているのかもしれません。

ところで南蛮煙管は、ほとんど地上に茎を出しません。
地上に伸びているのは花柄なのだそうです。
茎は非常に短く赤褐色の鱗片状の葉を数枚つける(地下に)
その葉のわきから花柄を数本直立し、淡紫色の花を横向きにつける

と書いてあるので、ナンバンギセルの根本を撮影してみました。
撮影にあたって、一時的に笹の葉などをよけました。

これだと、どれが鱗片葉なのか芽なのかよくわからないので
別な株の写真を掲載します


真ん中の花柄の左下についているのが鱗片葉なのかなと思います
つまり、ここまでが茎で、上は花柄というわけです。

種の詰まった写真が撮れたらいいなーと思ってますが無理かな。

ところで、図鑑を眺めていたら、関東の山地には「ヒメナンバンギセル
が産すると書いてある。
そこには大きさの違いしか書いてない。

参考までに各ナンバンギセルの大きさを書いてみると

ナンバンギセル 
高さ 15~25センチ
愕  2~3センチ
花冠 3~3.5センチ

ヒメナンバンギセル
高さ 10~20センチ
愕  1.5~2センチ
花冠 2センチ

オオナンバンギセル
高さ 20~30センチ
愕  3~4センチ
花冠 4~4.5センチ

ナンバンギセルとオオナンバンギセルの違いは、上の大きさと
次のような違いがある。

ナンバンギセル 愕は先がとがる 花冠の裂片の先は全縁

オオナンバンギセル 愕の先はとがらない 花冠の裂片には細歯がある
要するに花冠の裂片の先は、キザギザしている。
補足、オオナンバンギセルは、ヒカゲスゲ、ヒメノガリヤスなどの根に寄生する
と書かれています。