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昨年撮影した人面のようなナンバンギセル
あまりにも人間の顔に似ていて、しかも目がうつろで不気味だ。
誰かに似てないか。
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ナンバンギセルの群落
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同じく
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南蛮煙管の前年の花柄
南蛮ギセルは、ハマウツボ科のナンバンギセル属の寄生植物で
1年草で、夏に芽を出し今頃花を咲かせて、実を結び、冬前に
枯れてしまう。
上の前年の花柄のように、果が割れて非常に細かいタネが微風で散布される
実際に数えていないので正確な種の数はわからないが、おそらく数百個のタネが
あると思われる。
種が小さいので、発芽や生育に必要な栄養は持っていないと思います。
つまり発芽の段階から他の植物に寄生して成長すると思われます。
ですから、非常に多数のタネが散布されても、落ちたところに寄生する植物が
なければ、発芽できずに淘汰されると思います。
しかも、寄生する植物が「ススキ、ミョウガ、サトウキビ」などと限定されて
いるわけですから、いわば行き当たりばったりの成長戦略といえるでしょう。
まるでヘタな鉄砲も数撃ちゃあたるをジで行ってますね。
追記、これについては参考文献がありました。
「花からたねへ 種子散布を科学する」小林正明著 全国農村教育協会発行
これには南蛮煙管の果の中にタネがきっしり詰まっている写真とともに
次のように書かれています。
「移動できない寄生種が宿主にたどり着くには、種子を多数出さなければ
ならないのだろう。そのために種子を小さくしたと思われる。」(この部分引用)
種が小さいのにもちゃんと理由があるのですね。
もし落ちたタネが全部発芽したら、そこいらじゅう南蛮ギセルになって
それはそれで、また別な問題を引き起こすかも。
私の観察している場所の一か所には、竹藪しかないので写真のナンバンギセルは
竹に寄生しているのかもしれません。
ところで南蛮煙管は、ほとんど地上に茎を出しません。
地上に伸びているのは花柄なのだそうです。
茎は非常に短く赤褐色の鱗片状の葉を数枚つける(地下に)
その葉のわきから花柄を数本直立し、淡紫色の花を横向きにつける
と書いてあるので、ナンバンギセルの根本を撮影してみました。
撮影にあたって、一時的に笹の葉などをよけました。
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これだと、どれが鱗片葉なのか芽なのかよくわからないので
別な株の写真を掲載します
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真ん中の花柄の左下についているのが鱗片葉なのかなと思います
つまり、ここまでが茎で、上は花柄というわけです。
種の詰まった写真が撮れたらいいなーと思ってますが無理かな。
ところで、図鑑を眺めていたら、関東の山地には「ヒメナンバンギセル」
が産すると書いてある。
そこには大きさの違いしか書いてない。
参考までに各ナンバンギセルの大きさを書いてみると
ナンバンギセル
高さ 15~25センチ
愕 2~3センチ
花冠 3~3.5センチ
ヒメナンバンギセル
高さ 10~20センチ
愕 1.5~2センチ
花冠 2センチ
オオナンバンギセル
高さ 20~30センチ
愕 3~4センチ
花冠 4~4.5センチ
ナンバンギセルとオオナンバンギセルの違いは、上の大きさと
次のような違いがある。
ナンバンギセル 愕は先がとがる 花冠の裂片の先は全縁
オオナンバンギセル 愕の先はとがらない 花冠の裂片には細歯がある
要するに花冠の裂片の先は、キザギザしている。
補足、オオナンバンギセルは、ヒカゲスゲ、ヒメノガリヤスなどの根に寄生する
と書かれています。
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