滋賀県の十九歳の若い警察官が、二週間くらい過ごした交番での同僚を射殺するという事件が起きました。頭と胸の二発を交番内で撃ったということです。その時彼は何を思っていたんでしょう。
その映像が防犯カメラに残されていたということです。逮捕された警察官は「(教育係の同僚に)罵倒されたから、殺した」と述べたそうです。今日の帰ってくるときのラジオのニュースでの報道です。
頭と心臓を正確に撃ちぬいたら、同僚であり先輩であり教育係である人が死ぬということは知っていたはずです。いや、むしろ「こんなヤツなんか死んでしまえばいいのさ」と思いながら、撃ったことでしょう。
ということは、自分が罵倒されたことと、同僚を拳銃で撃つということの重大さの違いが彼にはもう判断できなかった。自分は罵倒された。それに自分は腹を立て、生意気な先輩なんかは撃ち殺してしまいたいという気持ちが起きた。そうすると、彼にはその気持ちを抑えることはもうできなかった。
これは今の若者の一つの傾向なのかなと私は思います。原因はスマホだと考えます。それくらい画面の中の自分や自分の化身は大事で、それを傷つける他者は許さないのだと勝手な想像をしてしまいます。彼らは小さい時から小さな箱の小さなものたちと一緒に大きくなってきた子どもたちでした。
人の命を奪うということと自分がバカにされたこと、どちらを優先させるかというと、自分をバカにするのを許してはいけないへと傾く人たちです。わりと冷ややかに撃つまでは自己のプライドを確信していたでしょう。
いざ憎き先輩が自分の手で殺されてしまったら、少しは落ち着いてしでかしたことを反省したのかもしれない。そして、クルマで現場を離れ、あちらこちらをさまよい、拳銃もどこかへ投げ捨てフラフラしていた。相手を殺したら警察官である自分が戻ってきた。それまではただの自分を傷つけたのが許せないこどもだった、ということなのか。
警察に逮捕されたあと、わりと素直に「自分がやった」と述べ、殺害理由は「あいつがオレを罵倒したからだ。だから、オレはあいつを殺してやった」と平気で述べたんでしょうか。彼には黙秘して「殺すつもりはなかった」と言うこともできなかった。
逮捕されても、彼の罪の意識は軽いものだったのか。
被害者の奥さんや子どもさん、犯人の親たちが「どうしてそんなことをしたの」と涙ながらに気持ちを彼にぶつけたら、少しは反省した顔を示せるでしょうか。いや、わりと正当防衛だくらいの気持ちを今も持っているかもしれないと不安になります。
彼は地方公務員としてはまだ経験の少ない人でした。高卒で採用され、野球部だったのかもしれず、高校時代は優秀だったんでしょう。カッコイイと言ってくれる人もたくさんいたでしょう。イケイケで警察官になった。
警察学校では普通の成績で、銃の扱い方などを習った。いくつかの経験を積み、交番に教育係の人と一緒に赴任して二週間が経過していた。先輩は一回りも上だし、何かと細々としたことを注意してあげて、時には頭ごなしに彼を否定するようなことも言った。先輩警察官はそれが教育だと思っていたし、いつかは感謝されると思っていた。
それらはすべて逆恨みの材料になりました。犯人には自分を否定するとんでもないヤツにしか見えなかった。そして、拳銃を向けた。
十九歳という年齢が問題です。何も教育係としてガミガミ言う存在なんか要らない。しかも一対一なんて逃げられない環境はよくありません。これからも、こうした状況では、若者は先輩に銃口を向けることでしょう。
先輩は武器を持つ後輩に口出ししてはいけないのかもしれない。警察だけではなく、あらゆる世界の中で後輩から逆恨みされる可能性があります。後輩たちは罵倒になれておらず、いつでもキレることが可能だからです。
警察では、拳銃を持つ年齢を上げなければいけない気がする。警察に入ったとしても、機動隊で五年間経験を積むとか、地方で採用した職員を、都会の大規模現場でまとめて学ばせるとか、その逆をやるとか、一人前扱いは考えなくてはいけない時代に来ていると思う(18歳から大人扱いしようという世の中の流れから逆行しますかね……)。
公務員とは、現場でしっかりたたきこめば、どんなウソでもごまかせて、責任はすべて自分にあるとひっかぶること(責任はとらずに?)ができたり、退職してからもいい仕事(天下り?)にめぐりあえるように努力する、そういう立派な(? この世界を上手に渡る?)公務員になれるはずです(エリートだけ?)。
野党の議員が何を言おうが「知らぬ存ぜぬ」とか、「それは言えない」とか状況に合わせた適切な(適当な?)答弁ができる、こうしたピン公務員にならねばならないのです(エリートはいいですね!)。
キリ公務員は、怒ったらぶっ放すけれど、キリ公務員は巧みな弁舌と絶妙の答弁ができる。それくらいすごくならなきゃいかんのだなと思います(イマイチ言いたいことがわかりませんね……)。
地方と国家という違いもあるんだろうか。やはり国家公務員というのはしたたかなもんなんだろうか。エリートである国家公務員と現場作業員である地方公務員と一緒にしてはいけないということなのか。とにかく、上には上がいて、下には下があるということなのか……。
とにかく、凶弾に倒れた方の冥福を祈ろうと思います。本当に残念でした。こんな人事、こんなシステムが機能していないのです。