京阪で出町柳に着いたのが14時前だったでしょうか。だから、大阪の実家に帰ることを考えたら、ほとんど時間はありませんでした。
文庫本を見るのは諦めました。だったら、何をしに来たんだろう。研究者でもないし、ただのオッサンの私です。専門は中国のことわざを知りたいだけ。ただの教訓マニアです。そういう本はたいてい持っているし、自分が情報を頭に入れたらいいだけです。でも、もちろん私の頭はザルなので、たいていの情報は抜けていきます。それがもどかしいなあ。
さあ、何を探しますか。ずっと電車の中で本を読んだせいか、ものがちゃんと見えなくなっているし、ピカピカの光線がお寺の中にあふれていると、反射で目が痛いくらいでした。
そんな私が見つけたものは、
1 岳麓点描(井伏鱒二) 弥生書房 1986 帯には、「天和・貞享・元禄年間、甲州谷村藩が企図した新倉掘貫、その舞台となった霊峰富士と様々な人間の往還を描く。」とあります。甲州の谷村藩って、現在の都留市あたりになるんでしょうか。そこを舞台にした時代劇なんですね。
そんな作品があるなんて、それが驚きですぐに買うことを決めました。
2 元号の還暦(陳舜臣) 中央公論 1992 エッセイ集のようです。中央公論の本作りは、文庫本と一緒でカッチリした感じで、いいかなと思いました。
そのすぐ近くに会った本が、
3 儒教三千年(陳舜臣) 朝日新聞 1992 儒教に関するエッセイ集です。帰りの電車で80ページまで読めました。なかなかおもしろい。でも、切り抜きするところはあるかどうか、それは不明です。まあ、楽しみに読みましょう。
この三冊で五百円でした。
4 芭蕉読本(頴原退蔵)角川文庫 1972 芭蕉さんは三重県に関係あるし、見つけたら何となく買ってしまう。読むかどうか、それは不明です。
5 私の青春日めくり(澤地久枝)講談社文庫 1990 澤地さんの本、特にご自身の歴史と世の中の動きを語られる作品は、わりと好きですよ。そんなふうにして世の中と向き合っていきたいと思ったりします。最近はそんなに読んでないけど、信頼している先生ですね。
6 砂の本(ジョルジョ・ルイス・ボルヘス 篠田一士訳) 集英社文庫 1995 これが一番新しい本でしたが、くたびれ具合はかなり進んでいました。さあ、ラテン・アメリカの文学読みますか? がんばらないといけないね。
この三冊で三百円でした。
なんと800円も使ってしまった。たくさん本を買った感じになりました。カバンも重くなったし、もうその時には出町柳をめざしてましたっけ。
ああ、せっかく京都に来たというのに、すぐにとんぼ返りなんて、贅沢というのか、お金の無駄というのか、とにかくそんなことをしてしまった。