本の整理をするために、古い文庫本など吟味していました。たまたま古い天声人語の本を取り出してみました。荒垣秀雄さんが担当されていたのだそうです。私はライブで読んだことはないでしょうね。そういう古い本がどうしてうちにあるのか、よくわからないけど、いろいろな来歴があったのだと思われます。
今から74年前の人口問題について書いてありました。
将来人口の推定では、1956年には九千万人、1965年には一億に達するという話があったそうです。実際には1967年に一億突破。1974年に一億一千万人、1984年に一億二千万人、ここから30年くらいかけて2010年に一億二千八百万でピークを迎え、そこからは年々減少に入ったそうです。あと何十年かしたら、一億を切る日がやってくるのだと思われます。波は意外と早く来るから、一億を切る日が楽しみですね。どんな日本の国ができているのか、人々はどれくらい豊かな生活を送っているのか、心配ではあります。
1951年9月3日の天声人語は何を語っているんだろう。「人口が増えたら万々歳!」、なんて書いてないと思うんですけど……。
困ったことには、人口問題の解決には、「減らす」という即効薬がない。産児制限にしても、増加率を緩和するだけで、現在人口を減らすことにはならぬ。移民にしてもそうだ。スペンダー豪州全権は「日本人に対する移民禁止を緩和することは全然考えていない」とサンフランシスコの第一声でピシャリと門を閉ざしたが、ブラジルがたとえ十万人の移民を送り込むのには十年、二十年を要する。
70年前の天声人語さんは、人口をいかに減らしていくべきか、それを提案しようとしているみたいです。減らすにしても、増やすにしても、余計なお世話で、「みなさん、赤ちゃんをたくさん産んでくださいね!」と政府が奨励しても、「産まないでくださいね」とお願いしても、日本そのものはこれからどんどんしぼもうとしている。これは先進国の流れのようだから、韓国も、中国も、台湾も、これから人口は減っていくようです。東南アジアあたりはまだ減少への波は来てないだろうけど、あと何十年かしたら、東南アジアも減少へ転じてるでしょうか。
時代って、変わるものなんですね。
日本人の平均寿命も長くなった。昭和21(1946)年に男が42.6歳、女51.1歳だったのが、昨年(1950)は男58歳、女61.4歳に延びている。長生きはめでたいが人口はふえる。やはり気永な長期対策でブレーキをかけながら、さし当たっては八千万が食っていける算段をするほかない。輸出の振興とか国内資源の開発で、人口に対する富の比率をジリジリ大きくしてゆく以外に、即効の王ていうものはあるまい。
よその国は、日本からの移民を受け入れてくれなくなっている。1950年当時はブラジルも少しずつ受け入れてくれてはいたようです。オーストラリアはNOだったみたい。今なら、移民に行くような若い人もいなくなってしまって、日本各地が限界集落になりつつあるというのに、むしろ国内に目を向けて、どんな日本の社会を築くのか、みんなで話し合わなきゃいけないのに、今の政府ときたら、人々の生き方よりも、工事を税金使って進めて、それですべて終わりにするんだから、本当に何も考えていないというしかないですね。
七千万の人口で、どんな国にするのか。議論した方がいいと思うんだけどな。今から数十年なんて、すぐに過ぎてしまうう思うんだけどなあ。もちろん、私はいないんだけど、みんなでどんな風に生きていきたいのか、話し合ってくれたらいいのになあ。