甘い生活 since2013

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バンサンの「たまご」 1986

2024年08月20日 05時28分46秒 | 古本探しの旅

 この夏、鳥取の東郷池(湖)のそばの、松崎駅近くの汽水空港という古本屋さんにやっと行けたんです。まあ、二回目なんですけど、前回はお店が閉まっていました。今回はちゃんと開いていて、絵本四冊を買うことができました。

 古書店ではありますので、店主の頭の中みたいな感じの、左手のとっかかりに絵本コーナー、真ん中は地域系とか、奥は思想系とカフエとか、考えて本が並べられているんだろうなという感じでした。

 私は、何が欲しいというものはなかったんだった。そもそも古本屋さんといったって、私が欲しいのは知らない文庫本だったんです。もう何十年も文庫本というカタチを追い求めてきました。今でもブックオフにいくと、探すのは何人かの作家さんたちで、他の人たちは全く無視してしまっているし、ちっとも世界は広がらないんです。

 だからというわけではないけど、いつも同じではつまらないから、古本屋さんのデコボコの並びの中から、何かを見つけるというのがあるんでしょう。それで今回は絵本四冊だった。

 そして、一番最初に見つけたのが、この「たまご」でした。

 ガブリエル・バンサンというフランスの作家さんで、いくつかの作品を出しておられるそうです。「たまご」は1986年の最新刊だったんだとか。そんな昔にこんな本が出ているなんて知らない私は、たまたま出会い、巨大なたまごが突然広い野原に現われ、そこからトリのヒナが生まれ、人間たちはそのヒナを戦車などで殺してしまう。けれども、その親鳥は、ふたたびいくつものたまごを人間世界に生み落とす。

 そういう話でした。巨大なたまごとは何か? トリはどうして人間世界にたまごを産んでいくのか? 象徴するものがあるはずですが、それは何なのか? 

 どうしてこのたまごを上手に育てることができなくて、生まれたら殺す、みたいなことしかできないのか。私たちは問われています。


 そして私は、古本屋さんになる夢を失いかけています。私なんかがお店を開いても、当然のことながら誰も来ないし、売る本もないし、売りたい本もないし、売りたい本が見つかっても、誰も買ってくれないでしょう。本なんて誰も買わないよ! なんてひねくれてしまう。

 いや、それでもやる意味はあるだろう、なんて思うけれど、お店として成り立たないのに、潰れるためにお店をするというのはバカげています。

 私は問われています。私は何がしたいのか? 私は何を求めているのか?

 結局は、本を売りたいのではなくて、みんなでガチャガチャしたいだけなのではないか? その手段が古本屋なのかもしれない。でも、それはもうやる前から限界が見えている。そして、「だったらどうするんだよ?」に戻って来るのです。


 
 昨夜、久しぶりに雨になりました。今日も1日降ってくれるかどうか? まあ、今からお仕事頑張ってきます!

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