何だか、イマイチ気分が乗らない時は、孔子さんか兼好さんのことばをメモの中から拾ってくることにしています。
今日、ずっと雨で、どこにも出ていなくて、お仕事の人たちに申し訳ないくらい。でも、無理して外に出る必要もないから、ずっと引きこもりです。でも、今度は引きこもることに飽きてしまう。どっちにしても飽きっぽいから、何ごとも長続きしないし、ろくなことができないみたいです。まあ、それが私というものですか。185段から抜き出してみます。
けふはそのことなさんと思へど、あらぬいそぎ、まづ出で来てまぎれ暮らし、
今日のうちに、何か自分のやりたいことをしようと思うけれど、思いがけない急用がまず出てきて、そのことにまぎれて一日を過ごし、
待つ人はさはりありて、頼めぬ人は来たり、頼みたる方のことはたがひて、思ひよらぬ道ばかりはかなひぬ。
来るかと思って待っている人はトラブルがあって来られず、来てもらいたくない人がやってくる、期待していた方はくいちがい、思いがけないことだけはどんどん進んでゆく。
このギッコンバッタン、食い違う日々、私たちの日常はこんなものですか。何もかもタイミングよく上手くいくということはないようです。
それにしても、「思ひよらぬ道ばかりはかなひぬ」なんて、その通りです。いや、そもそも私たちが世の中に対して思い描いても、その思いがよこしまなことが多いし、自分のことばか考えてるから、そんなのがその通りになるということがいけない。すべて上手くいかないと思っている方が穏やかでいられる。確かにそうなのです。
わづらはしかりつることはことなくて、やすかるべきことはいと心ぐるし。
面倒だと思っていたことは簡単で、わけもないことだと思っていると心の痛みとなる。
どうして兼好さんは、こんなに世の中というものを知っておられるんだろう。諦観があるんでしょうね。期待するから、そうじゃないことが多い。諦めからスタートすれば、どんなことでも「よかったね」と思えるのかもしれない。
日々に過ぎ行くさま、かねて思ひつるには似ず。一年の中もかくのごとし。一生の間もまたしかなり。
毎日毎日が過ぎていく様子は、かねがね思っていたものと違っていく。一年の中のこともこのとおりである。そして、一生の間のこともこれと同じなのである。
人生、世の中、自然、宇宙、何かの真理がありそうなんだけど、そんなものを期待する方がまちがっている。すべてはあるがままだし、それを「ああ、そうですか」と引き受ける気持ちでいかなくてはならない。受け入れがたいことはいっぱいあるでしょうね。
ロシアの若者、ミャンマーの若者、香港の若者、みんな苦しさから逃げ出している。それを年寄りども(権力者)は抑えつけようとする。でも、そこはうまく逃げ出さないといけない。権力者に捕まえられたら大変です。
かねてのあらまし、みなたがひゆくかと思ふに、おのづからたがはぬこともあれば、いよいよ物は定めがたし。
こうしてかねがねの予定が、すべてはずれてゆくのかと思うと、まれにははずれないこともあるので、いよいよすべてはこうなのだと定めることはできない。
何なんだよ、と思うこともいっぱいあるわけですね。そこが人の世の分からないところです。自然もそうだな。
不定と心得ぬるのみ、まことにてたがはず。〈189段〉
だから、人生は定めがたいものと心得ていることだけが、真実で間違いのないことである。
だから、人生は定めがたいものと心得ていることだけが、真実で間違いのないことである。
☆ 次のことばの意味として適当なものを選んでください。
①けふはそのこと ②あらぬいそぎ
③思ひよらぬ道 ④わづらはしかりつること
⑤やすかるべきこと
[意味] ア・簡単なこと イ・思いがけないこと
ウ・いやなこと エ・思わぬ用事
オ・今すぐやりたいこと
★ 答えは、①オ ②エ ③イ ④ウ ⑤ア となるみたいですが、どれもこれも思っていた通りにならなくて、どうなるかわからない。
期待してたことも、そうでなかったことも、どれもこれもイメージ通りならないなんて、それが私たちの人生というものでしょうか。そうなのかな。
☆ この世は「不定」と 心得て生きていきましょうか。→「不定」のよみは? 「ふてい」ではなくて、「ふじょう」なんでしょうね。鎌倉末期の無常観みたいなのがあるのかな。
「無常感」ですけど、嘆いていてはいけない。事実がそうなのだから、せいぜいこの 流れに負けないで、瞬間瞬間に今の自分を爆発させる。……しかも気負わない! というところでしょうか。
「無常感」ですけど、嘆いていてはいけない。事実がそうなのだから、せいぜいこの 流れに負けないで、瞬間瞬間に今の自分を爆発させる。……しかも気負わない! というところでしょうか。