夕方、家に帰るまでにあと少し時間があるとき、ふとケータイを見てみたら、彼女から「ほら、こんな髪型になったよ!」と顔をアップの写真が送られてきました。もう少しニッコリとした写真ならよかったのですが、神妙な自撮りで、まじめな感じが口もとに感じられました。
写真だと本人がどんな風にしているのか、いい加減なことも言えなくて、「似合ってるね」とか、「若くなったね」とか、「髪を切ってサッパリしたね」とか、軽やかにコメントすることができませんでした。
昔、「もやもやサマーズ」という番組があって、サマーズという人たちが街を歩いて、自分たちの興味のあるところへ飛び込んで取材する形でやっていました。今もやってるのだと思われますが、遅い時間帯とか、もう21時以降なんてテレビなんて見られないし、私の家では見ないことになってしまいましたが、そこで興味があるときを評して「もやもやポイント」と言ってたから、その影響で、「モヤっています」というスタンプを送りました。
よせばいいのに、彼女から「美容院に行くよ」というのを聞いてたのに、夕方になったらすっかり忘れていて、「ああ、行ったんだ。びっくりした。何だか見慣れなくて、びっくり」と思いました。
家に帰れば、本人に会えるんだから、「似合ってるね」とか、言う必要もありませんでした。
そして、家に帰ると、十何年ぶりに美容院に行った彼女は、お風呂に入っていました。これまた早くてビックリだった。それで、「モヤっています」って、どういうこと? と言われたら、もう何も言えなかった。ビックリした、というのも素直な、完全に忘れていたから、ビックリしたのだけれど、もう少しコメントの仕方があるよな、と反省したものの、何も言わないで、彼女に寄り添うくらいしかできませんでした。そして、お風呂も入ってないし、寒いし、眠いし、大した会話もできないままに、私はパソコンを開いて、少し遊んで、明日に備えて寝る、というところへ来ています。
彼女と昔は仲よく枕を並べて寝たものでしたが、今はもう私のあまりの騒音のために、逃げ出したままで、隔離された私は呼吸を止めながら今夜も寝ることでしょう。何度も苦しい呼吸を繰り返し、ゼーゼー言いながら寝るんだろうな。
表紙の写真は、どこかで食べたチャンポンだけど、今夜食べさせてもらったチャンポンは、具も何もかも溶け込んだ、スープのあまりない、どろっとしたチャンポンでした。味はたくさん出ているから、汁まで全部飲んでしまったし、キャベツが入っていたという話だけど、キャベツなんて、微塵も感じませんでした。スープの中にとろけていたみたいです。
有り難い夕ごはんでしたね。髪型が見なれたら、いいコメントが言えるかな。昔は長い髪が好きでしたけど、軽やかになった奥さんも悪くないです。いや、うれしいかも。彼女が元気なら、何だって幸せなんだけどな!