甘い生活 since2013

俳句や短歌などを書きます! 詩が書けたらいいんですけど……。

写真や絵などを貼り付けて、二次元の旅をしています。

友と映画とほろ苦さ……『レイダース』1981 パラマウント

2017年11月12日 08時55分02秒 | だいたい映画、ときどきテレビ

 何となく、映画のお仕事もいいかなと夢見ていた時がありました。学生時代の終わりのころです。いつもいつも、そして「今も」甘いんですよね。そんな淡い夢みたいなことを、起きてるときも、寝ているときも考えているんだから……。

 当時は、それなりに対応しようと、映画やマスコミの仕事を探している気分でした。もっと必死にならないと、そんなのはやってこないんですけど……。田舎の学生としては、それなりだったけれど、本気度がなかった。

 年末に某映画会社を友だちと受けに行きました。ちゃんとスーツ着ていったでしょうか。たぶん、着ていってなくて、いいかげんなブレザーと、紺のズボンとネクタイだけだったかな。バシッと決めていかなきゃいけないのにね。

 筆記試験もあったような気がします。社長さんとおぼしき人との面接もありました。一般映画じゃなくて、特別な映画ばかりつくる会社になっていたので、そこの会社の最近の映画もろくに見ないで面接に行きました。本当になりたいなら、とことんそこの研究をすればいいのに、受かれば儲けもの的な発想で動いていました。

 今、奥さんは当時の私を冷静に見つめて、適当な就職活動と適当な学生生活であったと指摘してくれます。確かにその通り。もう返す言葉もありません。でも、当時の私はダメだったけれど、自分たちなりには真剣な(その場だけ)対応をしているし、とにかく将来の生活のため、何かを探してジタバタしていた。

 誰が見てもいいかげんなのに、自分たちは真剣だった。

 面接も終わり、友だちと「映画でも見るか」と、新宿の町へ向かいました。銀座だったか、有楽町だったか、新橋だったか、とにかく山手線の東南で面接があって、もうそっちにいるのはコリゴリだったのです。西の街に入り込みたかった。

 映画は、「レイダース 失われたアーク」でした。

 レイダース(ぬすっと)も、アーク(ひつぎ)の意味もわからないけど、とにかくテンポのいい行進曲風のテーマ曲が街に流れていました。

 いや、そうではないですね。どこかで聞いて、それがアタマのどこかに残っていたんでしょう。なにしろ当時はテレビも持たない貧乏学生だったから(お酒は贅沢に飲んで、思い切り親のスネカジリをしていたんですけど)、コマーシャルで聞いたことはなかったんです。

 どこかで仕入れた情報で、「スター・ウォーズ」のハンソロ船長のハリソン・フォードさんが主演の映画ということでした。

 「そうか、あの人は主役もできる人になったのか」と、ちょっと意外な感じがしたものでした。でも、スピルバーグの映画でもあるし、きっとおもしろいにちがいない!

 館内が暗くなって、パラマウントの絵が出てきます。「おお、パラマウントピクチャー」


 そうしたら、その絵がそのまま実際の山になってしまいます。そして、遺跡探しの場面につながります。そんなつまらない導入も、映画館の中でなら、「おお」と言えてしまうんですよね。テレビだったら、そういう遊びをしても、とても小さな小さな小細工になるのだけれど、映画館でならおもしろがれるって、どういうわけだったのかな。

 たぶん、映画の話法とテレビの話法は、同じように見えて違うんでしょうね。

 私が「レイダース」で好きなのは、蛇の穴の中に落ちた後、杖とレンズと差し込む光で宝物へのヒントが見つかる場面でした。

 これも書いてしまうと、つまらないんだけど、初めて見たときはもう感動しました。たぶん、今ならニヤニヤ笑いながら、「ここが好きなんだよな、どうしてなんだろう」と思いつつ見るんでしょう。それをだれか、家族にでも言えばいいのに、自分でもどうしてだかわからないし、ただ好きな場面なんだよと、心の声と話すんでしょう。

 どうしてなんだか、うちにこもってますね。

 心も体も、家族の中でもこもってばかり。いかんなあ。


 ヒロインのカレン・アレンさん。この人はこの1作めと、あとどこかで出ていたような気がしますが(「アニマルハウス」というジョン・ベルーシさんの出てた映画でした!)、オバチャン風なのに、かわいさがあって、私は好きでした。

 しぐさがアメリカのおてんば風を演じていて、ほんとのカレンさんは違う人かもしれないけど、こんな気の強い、何でもチャレンジする、男なんかに負けていない、それでいて女らしさというのか、ステキなレデイにもなれる、元気な女性、あこがれたりしました。

 たぶん、そういうシャキシャキの女の子は、ショボクレ系のボクなんて相手にしてくれないよなと諦めつつ、あこがれもしたのです。

 いくつかのチャレンジをして、手元には何も残らないんだけれど、ハリソン・フォードさんの冒険はつづく。宝物(このアークは、生きるものすべての命を奪ってしまう)はあまりに危険なので、アメリカの巨大倉庫の中にしまわれる。

 そういう物語でした。夜の新宿の街に出たら、テーマ曲が何度もアタマの中をめぐり、2人とも元気になって帰路についたわけです。

 オッチャンなら、そこで酒でも飲んだんですけど、その日はそのまま帰りました。年末なのに自分の進路が決められない私たちは、もがいていたんです、きっと。

 面接を受けた感触では、たぶんダメだったろうな。また次を探さなきゃ。とりあえず家に帰ろうみたいな気分だったのかな。



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