先日、古い神社に行きました。本殿の奥に大きなクスノキがあるということなので、たぶん、前にも見たはずなんだけど、近ごろようやくクスノキというものの偉大さがわかるようになってきたので、一番奥の木のところまで行きました。
途中には、ムクノキ、枝垂桜、夫婦杉など、いくつもの巨木がありました。
これほどの木があるくらいだから、歴史もそれなりにあるはずなんですが、あまり説明はありません。でも、信長、北畠などの文字もチラッとだけあったから、安土桃山の信長さんが近畿一円を支配地域にしていく時に戦いなどもあったのだと思われます。
どこかに歴史は書かれているのかもしれない。でも、それらは現地にはなくて、地元のガイドさんをお願いするか、本で調べるか、あれこれしないと、折角の古いもの・歴史はあるのに、物語がありません。分断されたままで、私は目の前にある大きな木を見て、その大きさに感心するだけしかできない。
近くにある珍布峠(めずらしとうげ)という和歌山街道はもっと山の中を貫いているんですが、ここは川沿いの神社でした。
どうしてこんな配置になっているのか、道の歴史だって私はちゃんと理解できていないのです。ただ昔、この辺りは、伊勢と紀伊の国をつなぐ道があったと思うばかりです。
当然、途中の大和の国にも深いつながりがあるでしょう。大阪の友人は、わざわざバイクでこの辺りまで来てくださっているということですが、もちろん、大阪の人たちも、道の歴史、お社の歴史、戦国時代の戦いなんて、何も伝えてなかったら、何もないままに通り過ぎるだけになってしまいます。
もっと、実はそうじゃなくて、こんな歴史があった、今は少しさびれているような、山深いところだけれど、実はいろんなところに道でつながっている。こんな人も通ったはずだ、なんていうのをもう少しだけ伝えてくれる人が必要です。
今の旅人には、そんなものは必要のないのかもしれないけど、ほんの少しだけでも伝えてもらえると、立体的・時空的に感じられると思うんです。
常緑樹が落葉するというのは知っていました。うちのウラジロガシも、プリペットも、小さな葉っぱを黄色くさせて落としています。ちっとも姿形は変わらないように見えるけれど、実は大量に葉を落としている。そして、あの無敵に見えたクスノキも、実はこの時期葉を落としているようです。
樹形は変わらないように見えるんだけど、実は少しスカスカというのか、空気の通り口を作っているような気がする。西日などを浴びた立ち姿を見ていると、どこかが違うはずです。残念ながらボケナスの私には、ただ落ち葉が多いことに驚くだけなんだけど、今、葉を落としているんだ、というのが私の中でつながりました。
私って、いい年なんだけど、今ごろそんなことを知って感心している。クスノキに笑われてしまいますね。いつまでたっても未熟でアホウやなあ、なんて思われてるかも。そりゃ、クスノキさんと生きてる年数が違いますから、永遠にアホウのままかもしれない。