仕事の仲間の人で、今年お子さんが生まれる人がいます。生まれるのは何月なのか、くわしいところはわからないのですが、そんなに先のことではないのでしょう。でも、まだ奥さんはお仕事をされているということだから、あと何か月というところかな。夏を越すんだったら、それは大変です。妊婦さんにとって夏というのはホントに大変! (うちの奥さんもそうでした。彼女はずっと川のせせらぎにあこがれていたそうです。その時にきれいな川に連れてってあげられたら、よかったのにね。)
その人から聞いたのですが、秋には消費税も上がるし、子どもを育てるためには保育料が大変、ということでしたが、やがて保育料はタダになるんですよ、ということでした。本当なんだろうか。三重県だけのローカルルールなんだろうか。とにかく、若いお父さん・お母さんたちの間ではそういう話になっているようです。増税分が子育て世代の支援に使われるそうです。
それはそれでいいけど、若い人びいきの政治だな。高齢者は、やはり自分で自分の暮らしを守るしかないのだなあ。年寄りには何の支援もないのでしょう。それに、支援なんか当てにしていないしな、フンだ!
同時に聞いていた四十代の女性は、「ほんと、すごいね。私は三人の子どもがいたから、保育料だけで十万くらいになったから、なんのために働いているのか、わからないくらいだったのに」とうらやましがっていました。
風向き次第で得する人と、損する人がいるんでしょう。私は? まあ、あまり得はしていないけど、私自身がむだなこといっぱいしているから、あまりえらそうなことは言えない気分です。
もう少し若い人が、「年号も変わるから、今の彼女と早く結婚しろ」と急にせっつかれるようになってきた、というのを話しているのを、これまたもれ聞いてしまいました。
私は、「親や親せきなどの、まわりの人にしてみれば、自分の身近な若い人を結婚させるのに、新しい年号というのは、何かのきっかけになると思ったんじゃないかな。」と勝手な分析をしてみました。
そんなの当たり前です。早く家にいる子どもが結婚してくれたら、親としてはうれしいし、少しずつだけど、自分たちの役目も果たせたとホッとするんでしょう。
結婚しようとしない若い人を見ていると、年寄りやオッサンは何だかヤキモキしてしまうのです。
どうしてなんだろう。自分が結婚するわけでもないし、何かの利益を得るのでもないのに、若い人に結婚をすすめてしまうのです。余計なお世話と知りつつ……。若い人は自分のリズムでちゃんと決める時を見極められるのに……。無理強いするのはよくないのに!
私は、奥さんと結婚して、平和に三十何年過ごすことができました。あと何十年あるのか、それはわからないけど、とにかくおかげさまだった。そして、自分の子どもにも、私たちみたいなささやかなしあわせみたいなのを見つけてもらいたい。
結婚は人生の墓場、なんてわかったようなことは絶対に言わないのです。
馬には乗って見よ。人には添うてみよ。というのが私の主義です。
というわけで、みんな何だか新しい年号、新しい時代みたいにして、浮かれた気分になっている感じです。景気は良くないし、物価は上がるばかりだし、給料は上がらないし、周辺各国は日本を目の敵にしているし、どこの国とも連携がうまく行かず、孤独な国の日本にいて、人口は驚くほど減っていくし、日本がこれから上昇するタネが見つかりません。
それなのに、みんな新元号ということで、全国の「令和さん」が、「私はのりかずですけど……」「私はよしかずです……」「私はレイナよ……」「私はレワよ……」と、にわか景気に沸いています。
万葉集が書店で売り切れになったり、奈良を訪れる人がやたら明日香を語りたがったり、みんなどうなっているんだろう。
そして、今日、新しいお札です。実際に出回るのは数年後ということなのに、デザインやら、三人の肖像やら、渋沢栄一さんの玄孫(やしゃご)さん58歳にインタビユーしたり、津田塾大に通う女子大生に街頭インタビューしたり、北里柴三郎さんのふるさと・熊本県小国町でインタビユーを試みたり、浮かれるように、景気をあおるように、みんなが浮ついている感じを出させるように、マスコミも一緒になって景気づけさせられている。
世の中の人々が閉塞感を感じていて、少しずつ締め付けられる雰囲気を感じている。
相手は巨大な中国であったり、意味不明の北朝鮮であったり、迷走している韓国であったり、手を差し伸べつつ知らんぷりをするロシアであったり、冷ややかな目で見つつ好奇心たっぷりのヨーロッパであったり、世界は日本に関わりたいし、そこから何かを得ようとしている。
日本は胸を開きつつも、深く入り込まれるのはどうかなと不安であり、自分たちの将来に漠然とした不安を抱えている。だから、せめて政治は安定をと、現政権を4割もの人々は支持している。
何かきっかけを見つけて、おもしろがり、幸せがろうとしている私たち。
私は、それよりも、先ず、自分で自分のことをしっかり守りたい。貝になりたい。イソギンチャクになりたい。カメになりたい。クラゲになりたい。浮かれないで、自分の暮らし!
そういう気分です。