国連の場で、アメリカの大統領が演説をする。国益を考えた発言もするだろうけれど、世界のリーダーとして、世界の人々から信頼され、慕われる内容のことばで、ものごとを伝えようとしなければならないはずでした。
それがアメリカ合衆国、世界を監視する先進国の中のリーダーの責任でした。
21世紀になって、ずっとずっこけたままのアメリカは、少しだけことばに責任のある人を大統領に迎えたことがあったけれど、たいていはずっこけています。共和党から出た大統領はひどいものです。
そして、先日のトランプさんの発言の中で、北朝鮮のキム・ジョンウンさんのことを「ロケットマン」と呼び、字幕には「キム・ジョンウン」と入ったニュースを見せられて、一瞬おもしろいことをいうなあ。そして、巧みな表現だなと感心もしたのです。
それが第一印象でした。けれども、よくよく考えてみれば、責任ある大統領が、国連の場で、他国のトップをばかにする表現で呼んでみたというのは、どういうことなのでしょう。違和感もあったのです。「えっ、まさかキム・ジョンウンさんのことではないよな」と思ったのです。
でも、ザンネンながら字幕には「キム・ジョンウン」とありました。これは相手国としては許せない発言であるというのは確かでした。一方的にいじけて、1人で強がっている国とはいえ、まがりなりにも国のトップなのです。それをバカにする発言でこきおろした。
これが寄席なら、お客はゲラゲラ笑っていればいいのです。年を取ったコメディアンのあぶないギャグとして、クスクスねたで、「オーッ」と言ってる分にはそれでいいのです。
しかし、トランプさんはコメディアンではなくて、ザンネンながら大統領でした。そういった責任ある人が、公の場で、問題になっている国を笑い飛ばすというのは、これは責任問題で、辞職してもいいくらいの問題発言でした。無責任すぎるのです。いや、これはトランプさん得意の軽口というのか、挑発というのか、悪ふざけというのか、とにかく相手にはイヤな気持ちを起こさせる発言でした。
政治家は、発言に対していつもマジメに向き合わねばならないと思います。ましてや大統領という立場であれば、軽口は慎まなければならない。どうも、共和党の大統領は、他者を小馬鹿にしすぎで、とても不快な気持ちしか相手に残さないのに、あえてそれをするなんて、とても罪深いことだと思われます。
もう発言はなされてしまいました。それこそ日々メディアで、挑発と無謀な発言を繰り返す北朝鮮と同じレベルで、「壊滅だ」「絶滅の火の海だ」「おまえたちは二度と平和を口にできないだろう」とか、もう本気なのかバカなのか、狂気なのかわからんことを叫ぶあれと同じです。
それをあえてしたのか。作戦なのか。いや、そうではないですね。北朝鮮メディアが言うように、「老いぼれの寝言」みたいなものなのだと思われます。それをする大統領と、それを許している国民と、どうしたらいいのでしょう。アメリカ国民は、あんな軽口大統領で、まともな演説のできない、ビジョンはなくて、自国の目先の利益と、自分たちのことばかりで、環境問題・世界の平和なんかどうでもいいと思っているあの人を、どうするんだろう。
ツイッターを駆使しているというのがダメな証拠です。まともな発言はできないから、くすぐりのこねたばかり考えている。国民とも、よその国とも向き合わず、どうすれば利益が上がるかしか考えない。
それがアメリカ国民が求めたことなんでしょうか。
実は、日本も同じようなことかもしれない。国民なんかは考えなくて、自分の都合のいいときに、何十億を掛けて選挙をして、自分のやりたいような形をめざす人だっているんですから。
やり方や、衝撃度が違うだけで、本質は同じです。だから、2人は気が合うのかもしれない。お互いにその通りだと。おまえはよくぞおれの気持ちを理解できるなあと、肝胆相照らす仲になったことでしょう。何度でも会いたいだろうし、何度でも会合を重ねたらいいです。そして、国民や世界中の人々を小馬鹿にする方法を考えることでしょう。それがあの人たちの仕事であるわけだから……(つまらない皮肉を書きました。猛省しなくては!)。
なんとかしてやりたいんだけどなあ。私には何もできないのです。選挙に行くだけです。でも、行く前から私たちの翼はもがれています。それが悔しい。怒りを形に表せないのだから、私たちもあの人たちと同類かもしれない。自分のことしか考えられないんです。