高校の同級生で、「八千草薫さんが好きだ」と公言するヤツがいました。当時、岩崎宏美ちゃんが好きだった私は、話にならないし、「どうして自分の母親くらいの女性がいいんだよ」と不思議だし、文句タラタラだったと思います。
今考えると、あれからずっと八千草さんは自分のポジョンを守って、そのまま天国に旅立っていかれた。優しいし、賢い妻だし(旦那さんは映画監督でしたっけ)、なんとも言えない包容力がある方で、宝塚のキャリアは隠し持ったまま、いかにも普通そうなんだけど、実ははるかに普通を越えるすごい人として存在し続けました。
そういうところが彼のツボだったのでしょう。彼は、実際にはどの女の子が好きだったっけなあ。オッチョコチョイの彼はみんなに冷やかされるのを得意として、それでも自らの恋の道みたいなのを探していたんでしたよね。高校の時は憶えてたのに、今は忘れてしまったなあ。本人から聞くしかないか……。
芸能界では八千草さんで、現実には〇〇さんが好きで、アンパランスな感じだったと思うんだけど、彼としてはそれはそれ、理想が八千草さん、現実は少し違う、というところだったのかもしれない。
その八千草さんがお亡くなりになった。ご冥福を祈るばかりだけど、もう本当に無力で、どんなに嘆いても何にもならないし、そんなら四十数年前高校生だった時に、「ボクもそう思うわ、キミの言うてんのもわかるでぇ」と共鳴してあげたらよかった。
でも、高校生の私にはそれができなかった。彼の趣味は全く理解できなかったし、理解してあげようとも思わなかった。全く考える余地がなかったのです。そういう間の悪いことがよくあるものです。
先日の同窓会、昔なじみの彼に会えるかなと期待していたんです。でも、彼は今、東京に住んでいるそうで、彼の実家もうちの実家からそんなに遠くないので、昔はその前を通ることもあったんですけど、全く彼のお家がなくなって更地になってたのを見てから、彼との接点はなくなってしまいました。まあ、違う世界(理系のお仕事)へ行った彼だし、どっぷり文系で、しっかり田舎者になった私からしたら、はるか彼方に行ったようなもので、これからの人生で会えるかどうかというところです。
人というのは、会いたいときには会えなくて、どうでもいい時には簡単に会えたりするのかもしれないし、折角会えたとしても、たいした話もできないでそのまま遠ざかってしまうものなのかもしれません。
要は、出会ったときに自分の全神経を使って、全力で向き合わなきゃいけないのに、この前の同窓会では、ほんの一人二人と話せただけで、あとはそのまま時間が過ぎていっただけでした。
そもそも私は何を期待して同窓会に出かけたのか?
たぶん、出会い直しできる人を探してる部分はありました。三十年前の同時期に三重県にやってきた同級生にも三十年間会ってなくて、先日三十年ぶりに会った。そのままお互いの身の上話をして、一次会では話し切れてないから、そのまま三人で二次会にも行きました。そこから一時間かそこら話しただけだから、まだまだ話せていないことはあるし、お酒もそんなに飲めないし、とりあえず、二次会で別れてそのまま実家の方へ帰った私でした。
百人くらいいた同窓生だけど、まともに話せた人は数人ほど、あとは挨拶をチラッとしたり、ことばを少し交わしただけでした。
もっとじっくり話さないと、話した気になれない!
残念ながら、同窓会初心者の私は、何回かを経験している皆さんとはレベルも違うし、上手さもないし、耳も遠いし、カラにこもったままの同窓会になってしまったのでした。
でも、希望は捨ててなくて、高校一年の時にクラスで同人誌みたいなのを作ってたんですけど、「もう一度あんなのやってみる?」という提案をしてくれた子がいて、あの延々と学校でガリ版印刷していた時代が蘇って、これは嬉しかったですね。実現するかどうか、それは私たちの頑張り次第だと思うけど、オッチャン・オバチャンになった今こそ語れる何かがあるんじゃないかなと、希望が湧いてきたものでした。
しばらく、チャンスがやって来るのか、様子を見ようと思います。私は少しやる気なんだけどな。
個人的なことをツラツラと書きました。よその人が見たら、「つまんないことクドクド書いているな」と思うと思うんですけど、私が前に進むには、こんなクドクドをしないと前に進めないんです。
また明日から、何か前に進める方策を考えましょう。とにかく、私の大阪は日々しぼんでいくばかりで、ホントに母だけが私と大阪をつなぐ存在で、どうなることかと思ってましたが、私は大阪育ちだったのだというのを思い出せた。私は孤独に大阪で暮らしていたのではなくて、まわりの人たちがちゃんと私とともにいてくれたというのを実感できた。
相変わらずスノップなヤツはいるけど、そんなのはどこにでもいるし、今回は会えなかったけど、「あいつどうしてるんだろう」と思ってくれてた人もいました。ホントにそれがうれしかったのです。