* 家のいろいろ
徒然草から、おうちに関する記述を抜き出してみました。参考になるかどうか……。
家居のつきづきしく、あらまほしきこそ、仮の宿りとは思へど、興あるものなれ。〈10段〉
人の住居が、住む人に似つかわしく、また理想的にできているのは、住居というものは無常の世における一時の宿とは思うけれど、やはり、感興を覚えるものである。
家の造りやうは、夏をむねとすべし。冬はいかなる所にも住まる。暑きころ、わろき住居は、堪へがたきことなり。
家の作り方は、夏に適することを主とするのがよい。冬は、どんな所でも住むことができる。夏の暑いころ、住むのに不適当な住宅というものは、我慢できないものである。
深き水は涼しげなし。浅くて流れたる、はるかに涼し。こまかなるものを見るに、遣戸は蔀の間よりも明し。天井の高きは、冬寒く、灯暗し。
造作は、用なき所を造りたる、見るも面白く、よろづの用にも立ちてよしとぞ、人の定めあひ侍りし。〈55段〉
庭のやり水について言うと、底の深いのは涼しそうな所がない。浅くて流れている水が、ずっと涼しい感じである。こまかい物を見るときに、遣戸のある部屋の方が、蔀のある部屋よりも明るいものである。また、天井の高い部屋は、冬の間は寒く、夜は灯り(ともしび)が暗いものだ。
建築は、きまった何かの用に使われない所を設備してあるのが、見た目も趣があり、いろいろの役にも立ってよいものだと、ある人たちが論じ合っていました。
☆ ことばの意味を選んでみますと?
a・つきづきしく( ) b・あらまほしき( ) c・むね( )
[意味]ア・主要なもの、中心[宗] イ・ふさわしい、似付かわしい
ウ・あってほしい、理想的である
最初の二つは重要単語といわれるものなんでしょうね。でも、いまでも使えそうな気がする。
「つきづきしいカップルになるのはむずかしい。いや、気づいてみれば、割れ鍋にとじ蓋(ぶた)ということがあるんじゃないの」とか、
「文書を隠そうとしたり、改変を要求した責任者が名乗りをあげることがあらまほしい」とか、少し無理があるかな。
それから、「要旨(あらすじ)」「趣旨(中心となる考え方)」「主旨(おもなねらい)」などの「むね」でしたね。まとめという意味のことばで「骨子」というのもありましたが、「むね」ではなくて「こども」でした(チャンチャン)。
☆ 次の漢字は何とよみますか?
d・遣戸[ ] e・蔀[ ] f・遣水[ ]
☆ 理想の家を築くのは、昔も今も人々の夢です。けれども、実際は理想と現実の間にはギャップが生まれる。
それはそれで仕方のないことだけれど、できればその人にふさわしい家に住んでみたい。でもそれは自分ではわからないものというのか、いつまで経ってもきりがないというのか、家というものの難しさです。
私は、自分の家というものを自分で建てて(ほとんど奥さんのアイデア!)もう十数年になりますが、ケーブルテレビさんが回線の工事をするから、ネットもケーブルにしろとうるさいこと! もうテレビなんか見ないよと怒ってみても、どうにもならず、今日の夕方、営業の人が来るそうです。まあ、仕方がない。家族が言うのなら、安くなるというのなら、それでいいか。
妥協というのか、面倒というのか、私は見たいテレビもあったと思うけれど、いつかテレビとは決別したいです。そんなことを言ってると逆襲されるから怖いけど、理想はテレビのない家ですね。そんなふうに暮らしている人の話を聞くと、何だか少しうらやましい。
★ 答え a・イ b・ウ c・ア d・やりど e・しとみ f・やりみず