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昭和史 1959岩波新書

2022年05月21日 05時56分21秒 | 本読んであれこれ

 そういう本を今さらながら読みました。1959年に出た本で、1977年までに25刷まで来ています。相当に売れた本であるようです。(77年の7月30日に天王寺の旭屋書店でお買い上げだったそうです。夏休みに読むつもりだったのかなあ?)

 1959年といえば、昭和34年に当たり、昭和はあと30年ほど続くわけだから、完全な昭和史ではありません。

 だから、内容的には、敗戦後の日本がどのようにして世界に復帰したかというところで終わっています。岸信介さんが総理大臣をやってたところまでです。そのあとに所得倍増計画の池田勇人さんが国のトップに来るわけですが、それは書かれていません。

 たったの34年、昭和の前期が書かれただけだったようです。それが300ページくらいの新書本になるのだから、昭和の前期の政治史というのも、それはもういろいろなことがあったようです。

 人物中心ではなく、政治分析と事象とが記述されているだけなので、そんなに取っ掛かりがなくて、なかなか読み進めないのは確かでした。数ページあるいは1、2ページでバタリと倒れてしまうことがよくありました。興味はあるのに、話がつながらなくて、意識が薄れてしまうのでした。

 でも、自分たちのことにつながる話ではあるので、読み終わることができました。そして、今も全く同じようなことで悩み、歯がゆく思い、政治とは何かというのを思わざるを得ないのだというのを思い知るのです。

 時代は違うのに、為政者たちは変わっていないようです。常に後手後手、様子見と他国に同調が基本です。国内に対しては、割と真面目風に向かいますが、足もとがおぼつかなくて、結局は後から振り返れば、反省ばかりのようです。




 政治とは、自分たちの権力を維持するシステムである。自分たちが、国民のことを考え、実施していく法令や言葉によって、国民を一定の方向へ推し進めていくものである。

 政治は、人間が行うものではあるので、その中で人間たちは権力争奪と足の引っ張り合いと、連携と談合とで徒党を組み、集団を作り、「国民のことを思い」「国土の発展を願い」する、と公言はするけれど、対象となる国民というのが、為政者の意識する「国民」というのが漠然としたものであり、ほんの一部の国民向けのこともあるのかもしれない。

 政治は、いつも不公平で、行き届かないものではあるので、確認し、「国民」の声を聴く耳を確保し、平等にみんながしあわせになれることに努力してもらわねばならない。そうしたチェック機能も持たなくてはならない。



 残念ながら、昭和前期の日本の政治は、たくさんの人が関わったのはいいのだけれど、領土拡大というテーマを持ち、中国東北部や、東南アジア、南洋諸島など、軍事力による他国の支配を当然のこととして行って行きました。

 当時私が生きていても、それは当然の権利である。欧米がしていることを日本国もしている。それは許されるものなのである。と平気で思っていたでしょう。それが時代の空気感というんでしょうか。

 結果として、今から100年前の日本の政治は、周辺諸国に対して抑圧と暴力しかもたらさなかった。敗戦後、反省はしたけれど、本質は変わらず、顔のない政治が行われている。

 ヒトラー、スターリン、毛沢東など、圧倒的な支配者は私たちの国には現れず、その他大勢があれこれアタフタするのが私たちの国の政治でありました。今も同じです。

 圧倒的な政治家があらわれると、結果としては国民は不幸になります。中国だって、毛沢東がいなかったら、もう少し違う国になれたはずです。



 中国の古代において、たくさんの理想的君主というのが話題になったことがありましたけど、それらも今の政治に対する批判の一つとして取り上げられたものなのかもしれません。

 古代のことなら、今とは関係ないという風に割り切れます。そして、その古代の聖王たちはこんなことをした、と言われてみれば、そういうことも昔は可能であったのかと、参考程度にはなります。現実をほんの少しだけ変えられることができたかもしれない。

 いつも、国民は不満を抱えています。満足のいく政治なんかあり得ない。全幅の信頼もあり得ない。支持率80%越えなんて、作られた数字でしかないのです。でも、そういうことが普通に出回るから不思議ですけど、政治は人間が行うものですから、欠陥ばかりです。それでも、政治はそこに生まれ、国民はその政治をある程度受け入れていかなくてはならない。


 本のところどころから抜き書きをしようかと思いましたが、今回はやめにします。また機会があればやります。

 早速、読んでなかった司馬遼太郎さんの『昭和という国家』1998という本に移動しました。昭和とは何か? 私の問いは続くんですね。答えはないです。ただの暇つぶしでしょう。でも、まあ読んでみます。

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