1963年から2004年まで、高知にタンポポ書店というのがあったそうです。そのお店のご夫婦は、ダンナさんが亡くなられ、奥さんが引き続きお店をされてたそうですが、店を閉じたあとの2008年に亡くなられています。
実店舗を閉じられたころに、今までのことをふり返った本が出ていて、2004年に『古本屋タンポポのあけくれ』というカタチで出ています。奥さまのお名前は片岡千歳(かたおかちとせ)さんという方で、1935年の山形生まれだったそうです。
山形生まれの方が、どうして高知で古本屋さんをすることになったのか、それは簡単に語れることではないから、ひとつの本のカタチにする必要はあったでしょう。まだ最初のところしか読んでいないけれど、貴重な本というか、まぼろしの本だったのが19年ぶりに夏葉社という独立系の出版社から出て、ツイッターでその記事を見て、ネットでお願いして、岡山の本屋さんから買うことができました。
今や欲しいものはネットを通さなくては手に入らない時代だし、普通の本屋さんには欲しいものはなくなっています。それくらい私たちの欲しいものというのが、遠ざけられているようです。
だから、定価は2600円なんだけど、あれこれすると4000円近くかかる本だけど、それを受け入れて買うことになります。お金じゃないんですよね。欲しいものは欲しいし、それは簡単には手に入らないし、手に入ったとしても、簡単に読み切ることはできなくて、すごく時間はかかるし、欲しかったものを自分のものにするには、お金ではなく、私自身の努力が必要になります。
ですから、今ここにその本はありますし、写真を撮ってみましたけど、それはどうでもいいことだから、私がちゃんと獲得するまで、もうしばらく時間をかけたいと思います。
いろんな方との出会いがあって、本屋さんは生まれ、続けられ、やがて閉じることになった。ご夫婦のお子さんはいて、お子さんは、別のお仕事を選択し、お母さんはお店を閉じた後も、息子さんのお仕事の手伝いをされてたみたいです。それはあとがきにも載っていました。
高知の古本屋さんだったご夫婦の人生をずっと見させてもらいそうです。そして、改めて自分の人生をふり返らざるを得なくなるでしょう。
私の人生とは、何だったのか?
つまらない人生ではあるけど、かけがえのない、二度と味わえない、私だけの人生であるわけで、それはこれからずっと死ぬまでそうなんでしょう。
「つまらない」なんて言わずに、「ありがたい」という気持ちを前面に出して、感謝しながらいきたいんです。でも、それを口にすると、何だかすぐにこわれそうで、「つまらない」と言っておきながら、実はこっそりとニコニコしていたいから、あいかわらずこのポーズでいこうと思います。
文を読むということは、怖いことではありますね。その何気ない一言が、実はものすごい裏付けがあるなんて、あまりにうかつに生きてる私は、見逃しまくりで過ごしています。また反省しなくちゃ。
これから、高知に行くチャンスはあるかもしれないけど、タンポポ書店はもうありません。今あるものをとにかくしっかり受け止められる人間になりたいです。私のアンテナはとても低くて感じが悪いです。それはもう、いろんな情報をスルーしているでしょうけど、受け止められるだけ受け止めたいです。
昨日と違って、今日は何となくあたたかです。小春日和なんでしょう。本を読むか、庭仕事するか、散歩に行くか。果たして何をするんでしょう。