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甘い生活 since2013

俳句や短歌などを書きます! 詩が書けたらいいんですけど……。

写真や絵などを貼り付けて、二次元の旅をしています。

四角いのが好きな人たち 中思27

2018年02月08日 22時00分43秒 | 中国の思想家のことば

 斗筲(としょう、とそう)の人って、いうのが、孔子さんの時代も、現代も、たぶんこれからもずっといるのだと思われます。この斗筲の人は、何をする人なんでしょう?

 論語の巻第七・子路第十三の二十に出ているお話です。

 理論家で、ものの本質を追究するお弟子さんの子貢(しこう)さんが、またもや孔子さんに食い下がっています。彼は、何が聞きたかったんでしょう。やがて自分が入り込む政治の世界を知るための材料が欲しかったんでしょうか。いや、理論家だから、とにかく、知りたいことをとことんお訊ねしたかったということなんでしょうか。




 子貢さんが、孔子さんに猛然とお訊ねしたいことを持ち込んできたようです。

「先生、私たちは士というのを知ったつもりになっておりますが、改めてお訊ねしたいのです。

 この士というのは、ジェントルマンというのか、志を持った人間というべきなのか、それとも、ただの頑固者のことをいうのか、士というのは何ですか。どのような行いをすればそれが士となるのですか? 先生、お教えください」


 先生はいつもと同じ静かな調子で答えます。

「主に仕える者として、常にその行動は他者からの批判を甘んじて受け入れる必要があります。常に誰かに見られていると思いなさい。

 そうすると、いつも自然に恥ずかしいことはできないという自覚が生まれるはずです。いつも胸張っていられるような、人に対してやましい思いをしなくていいように行動しなくてはいけないはずです。

 あちらこちらに、ご主君の使命を受けて行かなくてはならないはずなので、ご主君に恥をかかせるようなことをせず、使命を全うすること、これが大事ですね。」

 子貢さんは、心の中で考えます。恥を知り、主君にも恥をかかせないこと、それはあたりまえのことだし、だれだって使節として交渉の場に出ることになれば、その最善を尽くすでしょう。まあ先生は、とりあえず、第一の基本をおっしゃたのだろう。

 子貢さんは質問を続けます。
「先生、その次の段階はどうなりますか、ぶしつけな質問をお許しください。」

 先生は言います。
「家族親族から親孝行だと言われ、近郷近在の人から兄弟の情愛に厚いと言われることではないですか。そういうひとは、士ということになるでしょう。」

 子貢さんは恥をかかせない、家族への思いやりではもの足りません。もっと社会的にすごいことってあるんじゃないの? それを先生は言ってくれないのかな。たとえば、私がめざしている政治家としての道とか、そういうのを担う人を「士」だと称えてくれないのだろうか。それを言ってほしいと思っています。

 「先生、その次に来る士というのはございますか?」


 先生の答える三番目の士はこうです。
「口に出したことは実現するまでやりとげる。行いにおいては必ず達成させる、少し融通のきかない堅物で、人間としての器は小さいかもしれないけれども、三番手の士ということができるでしよう。」



 子貢さんは最後の質問をしてみることにしました。
「先生、今の世の中で政治をつかさどる人たちは、いかがですか? 士といえる人たちでしょうか?」


 バサリと先生は切ります。
「ああ、斗筲(としょう、とそう)の人、何ぞ算(かぞ)うるに足たらんや。」

30【斗筲(としょう、とそう)の人】とはどんな人?


「ああ、残念ながら、話になりませんよ。升(ます)ではかるようなひとたちであって、議論するまでもありません。士のことを話していたのに、どうして全然関係のない人たちのことを語らなくてはならないのです。……意地悪というか、的外れというか、人を落とし穴に入れるようなことをしてはいけませんし、私はそういうのには引っかかりません。」



 少し訳としては間違っているかもしれないけれど、政治家というのは何かというのを話しておられて、これがおもしろいなと思いました。

 昔も今も、政治家というのは枠組みにこだわってしまうようです。どいつもこいつも、政治的である人たちは、何かのワクを持ってきたがるようです。

 それがないと落ち着かないのでしょう。

 荻生徂徠さんは「利に近きをいう」と語り、中国の劉宝楠さんは「ただ聚斂(しゅうれん 租税の取り立て)をつとむるのみ」と語っているそうです。

 政治家は、利益を第一とするものだ。政治家は、いかに人々から金を巻き上げるかを考える人たちだと解釈したり、いろいろに解釈できます。

 私は、政治家とは、枠組みを要求する人たちなのだと理解しました。日米合意、南北融和、米国第一主義など、もっともっといろいろあるし、それらをスローガンにして、日々ラッパを吹く人たち、それが政治家です。

 もう二千五百年前から、全く同じです。そういう人が政治家になるのか、政治家になるとそうなるのか、それはわからないけれど、とにかく枠組みを求める人たち、それを基礎に何かを言い、何かを行っていく人たちなのです。彼らは、士ではなくて、親孝行も誠実も、使命感も必要ないのです。何だかうらやましい。人気のある枠組みを考えだしたら、それで何年も暮らしていけるんだから。

★ 答え 30・政治家……statesman、政治屋……politician どっちも斗しょうの人?


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