山の向こうへ 大阪へつづく道

　いつかクルマで、伊勢本街道をたどって大阪まで走ってみたいです。でも、なかなかそんなチャンスが来ません。いざクルマで行こうと思うと、家族がいることが多いし、そうなるとわざわざ遠回りをして、伊勢本街道を走ろうということにはならないのです。

　かくして、伊勢本街道をたどったといえば、一度だけそちらから室生寺に行ったことがあるだけで、あとは全く未知の土地です。だから、名松線をたどっていても、終点の伊勢奥津からは山また山の彼方という気持ちになるのでした。

　実際は、どこも同じような人がいて、同じような生活をしているわけだから、いろいろと交流もできるはずなのに、ちっとも関係は生まれず、ただ山奥がつづいているだけです。

　たまたま前回、大阪の教員を退職されて、こちらで古民家カフェを開いておられるところに行かせてもらったけれど、ああして大阪と三重県をつなげてくださる人がおられると、うれしいと同時に、ものすごく遠いところをわざわざ大変だなという気持ちになってしまいます。私には、この道で大阪に行くというのは、とても精神的に遠いのです。距離的にはそれほどではないのかもしれないけれど……。



　伊勢鎌倉あたりの山里で構えることにしました。上りはすでに出ていたみたい。ああ、寒いのに、このままでは凍えてしまう。一度クルマにもどることにしました。



　３０分ほど待って、下りが来ました。すぐに茶畑をかすめ、駅へと向かいます。伊勢鎌倉駅は、なかなかの秘境駅です。とはいうものの、少し歩けば民家もあるし、それほどではないかもしれないですけど……。



　どんくさい私でも、駅に停車しているときは、ちゃんと撮れます。山は向こうへと続いています。



　このあとも電車を追いかけて右往左往しましたが、あまりいい写真は撮れませんでした。それに寒かったモンなあ。頭の線もいっぱい切れてしまい、だいぶアホになってしまったみたいです。ああ。