甘い生活 since2013

俳句や短歌などを書きます! 詩が書けたらいいんですけど……。

写真や絵などを貼り付けて、二次元の旅をしています。

ギャップはあっても、気持ちですね!

2023年01月22日 11時11分35秒 | だいたい映画、ときどきテレビ

 フェリーニさんの『甘い生活』1960という映画のラストのところです。海辺に変てこな、イカなのか、エイなのか、よくわからない巨大な漂流物が打ち上げられています。風が吹いています。真冬ではないけど、そんなに暖かでもない感じです。

 マストロヤンニさんたちは、仲間のお屋敷で徹夜のパーティーをして、無精ひげは生えているし、頭もボンヤリしていたことでしょう。

 どうして、みんなで浜辺に行こうと思ったんだったか、夢の続きだったのか、とにかく、みんなで海までノコノコ出ていきました。

 漂流物をはさんで、徹夜組の大人たちと、向こう側に何人かの人たち、女の子もいたのでしょうか、最初はわかりません。いくつかの人たちが、無言なのか、ささやき声なのか、そんなにおしゃべりはしないで、ボンヤリとしていました。

 今だったら、すぐにスマホで写真を撮る、ということになるわけですが、当時はそんなことはしないから、ひたすら物と向き合うだけです。そして、「何だか変なにおいがする」とか、「不気味。どこに目があるの?」などと言うだけです。

 確かに、物は、自然のものではなくて、作られた怪物のような感じもあります。具体的な形をしていません。エイでもないし、イカでもないし、ましてやクジラでもないし、何だかわからない巨大な漂流物です。だから、みんな手が出せないでいたのです。触るとにおいがくっつくかもしれない。



 何度かのカットのあとに、女の子が出てきます。マストロヤンニさんに何か話しかけているようです。こんなに何かを伝えようとして一生懸命なのは、この3時間近くの映画のラストで、私たちは何かを教えてくれているのか……。ものすごく気になります。もちろん、何なのかは不明のまま映画は終わります。

 それが何なのかは、サッパリわかりません。いたずらな風も吹いています。……昔の映画って、風ってすごく大事な要素でしたね。今の映画はどれくらい風を描写しているでしょう。気になりますね。今度今の映画を見る時、そういうのを気にしていきたいくらいに、今は風の要素を今は切り捨ててないかな。そもそも今の映画をちゃんと見てないですね。残念です……。「風」はもう描写しなくなったのかな。森田芳光さんという監督さんは、お天気がドキドキしたような気がしたんだけど……。



 懸命に聞こうとしましたが、マストロヤンニさんにはわかりませんでした。だから、お手上げ、みたいなポーズをとりました。

 すごく象徴的なことです。もしかして、神様が何かを伝えようとしても、現実を生きる私たちは、それを聞き入れる耳を持っていなくて、仕方がないから、また目の前の現実の方に埋没していく、そういうことを伝えている、のかもしれないです。

 でも、フェリーニさんが、そんな教訓めいたことを描いたとも思えないし、世代のギャップじゃないの? みんな、伝えたい何かを持っているのに、伝わらないんだよ? そういうことなのかなと思ったりします。

 今度見たら、私の感想も変わるかもしれません。私たちは、日々移り変わる中でいろんなものを受け入れていくしかありませんね。


 どうして突然に『甘い生活』なんでしょう? 2022年の12月6日の朝日新聞の天声人語をやっと取り上げることができるからですね。1ヶ月以上放置していましたっけ。

 学生運動で反抗歌をつくり、「イタリアのボブ・ディラン」と呼ばれた歌手をローマで取材したときのこと。青いタートルネックをほめたら「反抗者が着るものだ」と力説した。ネクタイや正装を拒み、支配層と闘う服だと。

 イタリアのボブ・ディランって、何ていう歌手なんでしょう。調べないとわからないですね。学生運動は世界的な盛り上がりがあったのかもしれないから、やはり60年代末のことでしょうか。天声人語を書いてるこの人が取材したのだから、70年代になるのかな。

 そのイタリアではタートルネックを「甘い生活」と呼ぶ。巨匠フェリーニ監督による60年公開の映画タイトルから取ったが、実は主演俳優は作中で着ていない。最後のシーンで首に巻いた黒いスカーフがそう見えて、とても格好良かったからだとか。

 天声人語では、12月初めに都知事の小池さんから「タートルネックなど着て省エネしなさい。我慢しなさい。」発言があったから、そういう話に持ってきたというタネアカシみたいなことが書いてありました。

 マストロヤンニさんは、スカーフを巻いていたのか、記憶にありません。でも、何だかスノッブな感じはしました。徹夜明けですから、不機嫌で、少し二日酔いで、体がだるい、そういう感じがありました。いろんなことに不満を抱えている日々でもあったと思われます。

 私は? タートルネックは、かっこいいと思ったこともありました。でも、首の短い私は、カメがオタオタしているようにしか見えなくて、よそ行きには着ないようにしましたし、セーターそのものを拒否するオッサンになりました。偉いでしょ!? 

 まあ、私のことは置いておいて、とにかく今回のタイトル通り、世の中にはいろんなギャップはあります。でも、気持ちを大事にしていく。これは私にも言えることだから、せいぜいそのために努力していきたいです。

 伝えたい気持ちで、ギャップを乗り越えたいし、乗り越えるつもりでコツコツ頑張りたいです。日常はズッコケてても、がんばります!

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