甘い生活 since2013

俳句や短歌などを書きます! 詩が書けたらいいんですけど……。

写真や絵などを貼り付けて、二次元の旅をしています。

住み替わる世ぞ、それが人生!

2019年04月24日 21時35分09秒 | 芭蕉さんの旅・おくのほそ道ほか

 宣長さんの「菅笠日記」、一番大事なところなのに、サクラの季節は過ぎてしまいました。また、いつか書けるときに回すことにしました。そして、壮大な東北への旅に出ることにしました。

 私には、芭蕉さんみたいな芸術性はもちろんありません。ただ、あとをついて行きたいだけの気持ちで、まともに読んだことがない「おくのほそ道」を取り上げることにしました。

 三月二十七日は、今年で行くと五月の一日みたいだから、まだ間に合いますし、秋になっても平泉とかまで行けていなくても、そうしたらそれでダウンすればいいわけだから、誰に迷惑をかけるわけじゃないですから、気長に芭蕉さんのあとをついて行くことにします!


 月日は百代(はくたい)の過客(かかく)にして行かふ年もまた旅人なり。

 月日は永遠の旅人です。その時間の中に生きる私たちも、時間を旅するようなものなんでしょう。

 舟の上に生涯をうかべ、馬の口とらえて老をむかふるものは日々旅にして旅を栖(すみか)とす。

 いろんな時間の旅人がいます。船の上に自分を載せて生涯全てをそこに捧げるような人がいます。馬の口を持って、馬と一緒にあちらこちらを移動する人、現実に移動をしていることも確かなのですが、時間の中で旅をしているのだと思われます。

 私たちだって、机の前でぼんやりしていたとしても、小さな画面でつながって、格闘したり、勝負したりする若い人たちも、家事に追われ、時には息抜きで習い事をしている人だって、みんな空間を移動しながら時間も移動しているのです。

 本人がイヤだ、移動したくないと叫んでも、時間も空間も瞬間ごとに変化していくものなのです。今更言うまでもありませんけれども。



 古人も多く旅に死せるあり。予もいづれの年よりか片雲(へんうん)の風にさそはれて、漂白の思ひやまず、海浜(かいひん)にさすらへ、

 昔の人たちも、たくさんたくさん旅の中で命を落としています。私が尊敬する西行さんも、室町期の連歌師のみなさんがたも、数え切れないくらいたくさんの人たちがいます。

 私もいつごろからか、空に浮かぶ雲が東へ向かっていくのを見ながら、どこかを旅してみたいといつも思って参りました。そして、実際に海辺の町を歩いてきたこともありました。


 去年(こぞ)の秋江上(こうしょう)の破屋(はおく)に蜘の古巣をはらひてやゝ年も暮、春立る霞の空に白河の関こえんと、

 去年の秋に、ふたたび江戸の庵へ戻って参りましたが、ほんのしばらく家を空けていた間に、クモたちがあちらこちらに巣を張っていたりしたものでしたが、その年も暮れて、春になり、かすみ空の下で白河の関所を越えようと決めたのです。


 そゞろ神の物につきて心をくるはせ、道祖神のまねきにあひて、取もの手につかず。

 そうと決めたら、もう落ち着かなくなりました。やたらと旅の神様が私をそそのかしてくるのです。道のあちらこちらにある道祖神様も、早くおいでよ、と呼んでくださっているようです。

 ああ、旅の空も、街も、山も川も、空気も人も、みんなが私たちを招いてくださるようです。


 もゝ引の破れをつゞり、笠の緒(お)付けかえて、三里に灸(きゅう)すゆるより、松嶋の月先ず心にかゝりて、住る方は人に譲り、杉風(さんぷう)が別墅(べっしょ)に移るに、

 旅で歩く時のウォーキングウェアであるももひきの破れたところを繕い、日よけ雨よけに使う笠の紐も付け替えて、準備は万全となりました。

 旅のために足腰の再点検のために足のツボにお灸などをしましたら、松島で見上げる月が浮かんでまいりました。今まで住んでいた庵は、他人に譲りまして、旅のために弟子の杉風のところから旅を始めることにしました。

 すべてを清算して、全く新しい自己再生の旅に出かけるのであります。



  草の戸も住替る代ぞひなの家

 面八句を庵の柱に懸け置く。

 さあここで一句書いておきます。

  私が住んでいた庵は、他人に譲りました。そうしたら、そこに入居したのは家族持ちだったみたいで、女の子がいるのか、雛飾りをしていました。ああ、こうして人々の住む家は入れ替わり立ち代わりしていくんですね。

 それからいくつか句を書きましたが、その書置きを庵の柱にちょこんと置いていくことにします。誰か見つけてくれるでしょうか。見つけてくれなくても、それはそれで構いません。私たちの気持ちの区切りとして、そのメモを残しただけですから。

 見つけたとしても、私たちの気持ちが伝わるのかどうか、それはどうだかわかりません。私たちは長い旅に出ます。この旅がどうかうまくいきますように、祈るような気持ちと、旅への期待を込めて、とりあえず旅の記録のはじめにします。



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