甘い生活 since2013

俳句や短歌などを書きます! 詩が書けたらいいんですけど……。

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体力テストの悲惨  HSD-12

2014年08月04日 22時18分00秒 | High School Days

 Kのコンプレックスの話である。どうして若い時には、そんなに自意識過剰になるのか、そして、オッサンになると、どうしてスケベ心が見え隠れするのか、まあ、そういうものなのだろうけれど、不思議なものである。Kはスポーツに関してはまるでダメだったので、十分劣等感を味わってよい権利を持つていたのだが、それでもそんなに劣等感だらけになる必要はなかったかもしれない。


★ あわれな体力テスト[1975・6・4]

 一昨日は3年、昨日は1年、本日は2年、みなそれぞれ体育テストでありました。2年のみなさんの成績はいかに? ちなみに、ある1年生のKさんに成績を聞いてみましょう。彼は1年生で、昨日が彼の体力テストの日でしたが、昨日は感想を聞くことができなかったので、本日に聞くことになったのでありますが……。

 「50メートル走から昨日は始まりました。7秒6。速くもなし、遅くもなく終わり。反復横跳びですが、それは敏捷性のない私でありますので、最下位的。背筋力はまあふつうなみで、申すところなし。それから、場所を移動して体育館に参ります。ここでは割合上位の数字で終わりまして、次に参りますと、幅跳び4メートル40センチメートル、これはなかなかよくやりました。エライ! エライ! 懸垂10回、これまたよくやった!

 昼からは1500メートルの持久走、これを話すのはあまりにもはばかりがありますので、やめにしようと思います。まあついでだから申すところですが、最下位より離れること3つ、どんじりより3位なのでした。」ということでした。




 Kは持久走を苦手としていた。Kが小学生の頃に、この息子に少しでも負けじ魂を育てようと、Kの父親は何度も公園に連れて行ったものである。そこで呼吸法から走るテンポなども教えたり、一緒に伴走してすぐにへこたれるKを励ましたりもした。

 しかし、仕事の関係でいつも一緒に走るわけにはいかず、結局はK自身のがんばりにゆだねられ、ナマケモノのKは持久走でがんばるということを放棄する道を歩むことになった。かくして、年に何回か走らねばならない時には、地獄の苦しみを味わうことになった。みんなからおいてけぼりにされ、寂しい思いをすることになっていた。

 持久走だけではなく、一事が万事で、年を重ねるごとに根性無しになっていった。無理をせず「まあいいや」で済ませてしまう悪い傾向を自分の中で育ててしまったようである。Kは自分の体との対話をもっとするべきであった。

 大人になれば、もっともっと自分の体のいろいろな部分と対話しなければならなくなるのに、この時の彼にはそのような展望はなかった。ただ、持久走は苦しく、体も、足も、肺も、何もかもが機能しなくなり、一番に意志もくじけてしまい、もうやめてしまおうというパターンを育ててしまった。

 Kにとって、何かにとことん打ち込んで、寝食を忘れて打ち込むことは、なかなかなかった。何か誇れるものを持てていなかったのである。


★ こんな高校生活を、よくもまあ送っていたんですね。きっとそういう人たちがたくさんいたから、何か1つでも頑張ろう、何かでみんなに自慢できるモノを持ちたいと、Kなりに考えたと思われます……。




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