去年の秋、大洞山に登り、そこから少しだけ下に見える尼ケ岳ですが、去年に仲間と、いつかあそこに登ろうと約束して、1年ぶりに約束を果たすことができました。ありがたいことです。
確かに、大洞山から見下ろすと、尼さんがシャンナリ座っているような姿の山です。とてもかわいらしい。でも、ここへたどり着くためには、ものすごい階段を上らなきゃいけなくて、それは少し大変です。私はヘロヘロになって登りました。両手に拾った木をステッキにして、ノルディック・ウオークみたいにして登りましたが、それでも大変で、足がヒリヒリしました。
倉骨峠というところから東海自然歩道に入りました。ススキと秋の空はなかなか素敵です。どうしてこんなに秋の空は高くて、青くて、日ざしもクリアーで、ああ、生きているという感じなんでしょうね。ススキたちも風が吹かないので、わりと楽をしているみたいで、のんびり夜が来るのを待っている感じです。
1 風はなし 峠で夜待つ ススキかな
2 秋空や 尼ケ岳への とっかかり
道は遊歩道ということで、整備はされています。両側が谷になっていて、時々違うルートからの道が交錯するところもありますが、淡々とズキ・ヒノキの林で、間伐もある程度されている林の中の道です。なかなか展望は開けなくて、下草がまるでなくて、ずっと向こうの方まで見渡せます。クマがいたらどうしようと思いましたが、ずっと向こうまで見渡せるところが多く、大丈夫なようでした。
もう少し林の様子を写真に撮れたらよかったけれど、道を写したのはこれだけです。秋の山道、逆光版です。見出しの写真は、木々の間から輪郭だけ見せている尼ケ岳でした。
さあ、あと200メートルというところまで来て、赤い実をつけた木を発見して、それからは数本見つけましたが、赤いブルーベリーみたいなのがたくさん付いています。鳥も食べないのか、いっぱいあるのに、振り返る人もいません。
そういえば、1時間ばかり歩いたはずなのに、鳥の声ひとつしないのです。風も吹かない。飛行機はずっと前に飛んでいったっきりです。とても静かです。時折、遠くでししおどしが鳴っているような気もしましたが、気のせいかも知れない。
赤い実を見つけた後、頭に黒の切れ長帽子をかぶったような鳥のつがいを発見して、やっと鳥たちが迎えてくれたと思ったら、山頂でした。とても北にワイドに開けた山頂で、南側は少し木々におおわれているんですけど、北側はとても開放感があります。伊賀市の街並み、津市の街並み、青山の風車の数々、いろいろ見えます。
南側にツンと高い高見山が見えました。この形が感動的です。よくぞここまで来たなとお山も迎えてくれています。
その少し北側に(尼ケ竹からすると西側になるのでしょうか)倶留尊山(くろそやま)が見えます。これは漢字の「山」のまんまの山です。そのてっぺんから西側はツルンと高原になっていて、曽爾(そに)高原というススキの名所です。ついでに地ビールだって作ってたりします。高いからなかなか買えないけど、そんな名所が山の向こう側にあるようです。
でも、こちらは十なんキロか離れているので、とても静かで、だあれもいない。クマも鳥もいません。シカのフンはあったけれど、ふもとの田んぼの方がいっぱいいるくらいです。シカやサルもいない。静かなお山です。
改めて見てみると、山のてっぺんのススキたちも、手持ちぶさたのようです。もっと吹きさらしてくれないと、ススキとしてやっている意味ないジャン! とまでは言わないけれど……。
どんどん日は落ちていきます。もう山を下りないといけない。そして、山道を下りていく途中で、山頂では見えなかった大洞山が見えました。相変わらずの立派さで、うっとりします。
帰りはわりとスタスタと(気持ち的に)下りてきたつもりだけれど、こう配が急なのかずっとつま先に力を入れっぱなしでしたね。それで、帰りにふたたびふりかえると、またも尼ケ岳は木々の間からひっそりと姿を見せてくれます。
ああ、こういうの、『源氏物語』の若紫の巻で垣間見というのがあったけれど、あの感じです。あの時は源氏さんが女の子を見るのが大事だったけれど、私は尼さんを見るのが大事だったんですね。
3 秋は行く 木々の間の尼ケ岳
4 赤い実を 食べるでもなし 秋の鳥
5 山オヤジ 夕暮れ空と 風ススキ
確かに、大洞山から見下ろすと、尼さんがシャンナリ座っているような姿の山です。とてもかわいらしい。でも、ここへたどり着くためには、ものすごい階段を上らなきゃいけなくて、それは少し大変です。私はヘロヘロになって登りました。両手に拾った木をステッキにして、ノルディック・ウオークみたいにして登りましたが、それでも大変で、足がヒリヒリしました。
倉骨峠というところから東海自然歩道に入りました。ススキと秋の空はなかなか素敵です。どうしてこんなに秋の空は高くて、青くて、日ざしもクリアーで、ああ、生きているという感じなんでしょうね。ススキたちも風が吹かないので、わりと楽をしているみたいで、のんびり夜が来るのを待っている感じです。
1 風はなし 峠で夜待つ ススキかな
2 秋空や 尼ケ岳への とっかかり
道は遊歩道ということで、整備はされています。両側が谷になっていて、時々違うルートからの道が交錯するところもありますが、淡々とズキ・ヒノキの林で、間伐もある程度されている林の中の道です。なかなか展望は開けなくて、下草がまるでなくて、ずっと向こうの方まで見渡せます。クマがいたらどうしようと思いましたが、ずっと向こうまで見渡せるところが多く、大丈夫なようでした。
もう少し林の様子を写真に撮れたらよかったけれど、道を写したのはこれだけです。秋の山道、逆光版です。見出しの写真は、木々の間から輪郭だけ見せている尼ケ岳でした。
さあ、あと200メートルというところまで来て、赤い実をつけた木を発見して、それからは数本見つけましたが、赤いブルーベリーみたいなのがたくさん付いています。鳥も食べないのか、いっぱいあるのに、振り返る人もいません。
そういえば、1時間ばかり歩いたはずなのに、鳥の声ひとつしないのです。風も吹かない。飛行機はずっと前に飛んでいったっきりです。とても静かです。時折、遠くでししおどしが鳴っているような気もしましたが、気のせいかも知れない。
赤い実を見つけた後、頭に黒の切れ長帽子をかぶったような鳥のつがいを発見して、やっと鳥たちが迎えてくれたと思ったら、山頂でした。とても北にワイドに開けた山頂で、南側は少し木々におおわれているんですけど、北側はとても開放感があります。伊賀市の街並み、津市の街並み、青山の風車の数々、いろいろ見えます。
南側にツンと高い高見山が見えました。この形が感動的です。よくぞここまで来たなとお山も迎えてくれています。
その少し北側に(尼ケ竹からすると西側になるのでしょうか)倶留尊山(くろそやま)が見えます。これは漢字の「山」のまんまの山です。そのてっぺんから西側はツルンと高原になっていて、曽爾(そに)高原というススキの名所です。ついでに地ビールだって作ってたりします。高いからなかなか買えないけど、そんな名所が山の向こう側にあるようです。
でも、こちらは十なんキロか離れているので、とても静かで、だあれもいない。クマも鳥もいません。シカのフンはあったけれど、ふもとの田んぼの方がいっぱいいるくらいです。シカやサルもいない。静かなお山です。
改めて見てみると、山のてっぺんのススキたちも、手持ちぶさたのようです。もっと吹きさらしてくれないと、ススキとしてやっている意味ないジャン! とまでは言わないけれど……。
どんどん日は落ちていきます。もう山を下りないといけない。そして、山道を下りていく途中で、山頂では見えなかった大洞山が見えました。相変わらずの立派さで、うっとりします。
帰りはわりとスタスタと(気持ち的に)下りてきたつもりだけれど、こう配が急なのかずっとつま先に力を入れっぱなしでしたね。それで、帰りにふたたびふりかえると、またも尼ケ岳は木々の間からひっそりと姿を見せてくれます。
ああ、こういうの、『源氏物語』の若紫の巻で垣間見というのがあったけれど、あの感じです。あの時は源氏さんが女の子を見るのが大事だったけれど、私は尼さんを見るのが大事だったんですね。
3 秋は行く 木々の間の尼ケ岳
4 赤い実を 食べるでもなし 秋の鳥
5 山オヤジ 夕暮れ空と 風ススキ