赤さびの 土蔵の誘う 市場庄（いちばしょう）

市場庄で無理矢理に俳句を書いてみます。どうなることやら……


１　吹き流し楼門高くいかめしく


２　法要の客は自転車五月晴れ


３　公民館　広報ポスター夏祭り


４　四つ角の土蔵の黒はやや涼し


５　棟続き　春の日射しの軒下へ


６　蛸路屋（たこじや）と屋号の行灯（あんどん）誇らしげ


７　赤さびの土蔵の下の春の午後


８　カタバミと　日曜午後の理髪店
　


　参宮街道と初瀬街道がぶりかりあう町が市場庄で、大きな神社もあるし、古めかしいお屋敷がずっと街道沿いに続いている。本当に市街地のすぐそばに江戸時代が息づいているのに、だれも訪れようとしない。だからなおさら、町は古めかしく、時代に取り残された感じで、老朽化すればいつでも取り壊されていくはずだ。

　ああ、こんなものすごい貴重な街並みが、あと何年かすれば消えていくだろう。だから、私は、せめてご近所の街道を歩いて、何かつまらない写真でも撮っておこうとしている。本当なら、お屋敷の中に入れてもらうと、何か利用方法も考えられるのだけれど、それがなかなか思いつかないのです。

　とにかく、今後も、何度でも、何かある度に、できればイベントでお屋敷が開放されている時に、行けたらいいなと思います。