今から5年前、2009年の2月11日、大阪の毎日放送がラジオ・ウォークというイベントを開いていて、父母に誘われて1人で三重から奈良の八木まで出て行ったことがありました。
日帰りで、奈良に行って、歩いたらすぐ帰ってしまったけれど、あの時、もっと何か工夫ができなかったかと、今更ながら反省してしまいます。けれども、その時はそれが精一杯の私のできることだったのかも……。
反省しても遅いので、次のチャンスにはしっかり何かできる自分でいたいと思います。
父母が大和八木で待っているというので、9時半に待ち合わせしようと、7時半ころには家を出て、中川発の上本町行きに乗り八木を目ざした。途中の空は晴れたり曇ったりしていた。果たして奈良はどんな天気なのかとハラハラしてる間に八木に着く。
駅はトイレも改札口も階段もすごい人で、こりゃ大変だと思いつつ、改札の外で待っていると、既に来ていた父に声を掛けられた。それで出発となる。八木駅から徒歩30分のところに藤原京跡があって、ここをスタート地点として、天の香具山・大官大寺跡・飛鳥坐神社・県立万葉文化館・飛鳥寺・甘樫丘といったポイントを経由してふたたび藤原京跡に戻るというコース設定であった。まあ、父母には景色を楽しみ、歴史を感じるというよりも、老夫婦とオッサンになったムスコとで歩くということに意義があったのである。
今回は初めて万葉文化館に入ったが、そこ以外はあまり新鮮味も感じられず、私が個人的に大好きな甘樫丘公園は残念ながら工事中で、飛鳥川は相変わらず風情がないし、飛鳥寺はたくさんの人がいると逆に悲しくなるし(いつもの静けさをムチャクチャにされているのが?)、藤原京跡地は周りの無粋な建物から急にぼやけた空き地に連れてこられたような感じで、それほどの古き都を感じさせてくれないのだ。とにかく周りが都市化されすぎている!
天の香具山は時代に取り残されたようにひっそりとしている。けれども、ここも大勢の人々がやってくると簡単にパンクしてしまうような、微妙な静けさのあるところである。たくさんの人が押し寄せてはいけない、個人でひっそり上ってみるお山である。
ところどころに臨時のお店が出ていた。みたらしだんご、ミルク製品やさん、ランドセルやさんなどのお店もあった。どのお店も若い人向けの品揃えであり、中高年のラジオウォーカーたちの好みのお店ではなかった。残念だがしかたのないことだ。若い人はラジオを聞かないのだろう。
一番もうかっていたのは、山辺の道から出張販売に来ていた八百屋さんだったろう。飛鳥小学校跡地でバンバン農産物を売っていて、母も切り干し大根を6つ、みかんを2つ、その他で千円くらい使ったようだった。大和路の年に一回の大騒ぎイベントだが、飛鳥の人には迷惑なことだろう。そして、飛鳥は日常生活をプンプンさせ、場末の雰囲気・田舎の町の感じをプンプンさせてボクらを迎えてくれた。
さて、三重にはただ歩くところはあるだろうか? これがなかなか思いつかない。歩くのは不便な、いやになるような、クルマが優先された所ばかりが思い出される。どこまでも平地が続く歩く道はあまりないようだ。すぐ車道が人の歩きを寸断するし、1キロも歩くだけの道が確保されたらいいところだ。
あまり「人が歩く」のを想定していない町作りがなされているような気がする。熊野古道はやたらとハードだし、ダラダラと歩き続けられる道、こういうのを三重県は作る必要がある。小さな公園を何周も歩けというのは、車社会の言い分であり、とても古い歩かせ方だ。もっと平坦で歩いて楽しい、歴史があって、自然が感じられる歩く道がたくさんあればいい。
という建国記念の日だった。帰りに少しだけ電車の写真を撮った。鉄道写真は楽しい。なかなか楽しい趣味をこの年になって見つけた。これはどういうきっかけだったやら……。
★ 今年は建国記念の日ではなくて、春分の日になったという。父はもう一緒に歩けないので、歩くとしたら母と2人である。それもいいでしょう。今度こそ母手作りの弁当が味わえるかどうか……。焼き鮭の大きなのがドッサリ入っているとゲンナリするけれど、シイタケの甘辛煮があれば、もうそれだけでシアワセなんですけど。
2月になったので、また実家の母とどこかへ行こうと思います。奥さんも一緒に来てくれたらいいのになあ。