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山容がすてきで、自分には関係ないかもしれないけれど、いつかチャンスがもしあるのなら、登ってみたい山がありました。それが大洞山でした。
……君ケ野ダムからも見えますし、三多気(みたげ)の桜を見に行くと、自然と視界に入る立派な山でした。昔の人たちもあこがれたことでしょう。たまたま信仰の山にはならなくて、ただの地域のあこがれの対象だったのかもしれません。
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あこがれの登山口にたどりつきました。ここから600mということですが、ということは1時間足らずは坂道と向き合うということになるのでしょうか。
というわけで、写真も撮らずひたすら下向いて歩いていきました。
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ふいに視界は開けて、雌岳山頂にたどりつきます。
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360度というわけにはいかないのですが、西方は太郎生(たろう)の集落と室生火山群のそれらしき山々が見えます。溶岩がかたまった柱状節理のある切り立った山々です。日本の山なので日本的な木々が植わっていますし、段々畑もあったりします。けれどもこれらの木々を取り払ったら、まるでカムチャツカ半島のような、デコボコの噴火口のような山々が見えます。
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ススキのはらっぱで有名な曽爾高原(そにこうげん)は倶良尊山(くろそやま)のむこうに広がっています。でも、こちらからは見えません。
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南の方の展望は、何キロか向こうの方に小高い山が見えて、これがまたひときわ目立つ高見山で、三重県と奈良県とを分ける山です。これくらい立派な山なら、県境としても申し分ありません。喜んで境になってもらわなければならない感じです。
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さて、展望を楽しんだら、次はセットになっている雄岳に挑戦しなくてはいけません。ここに立てば北の展望・東の展望などが楽しめそうです。そして、待望の千メートル越えになります。
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雄岳の東側は人工林で、西側が雑木林でした。くっきり分かれていて、まるで人造人間キカイダーのようです。山頂がこんなになっているとは、君ケ野(きみがの)ダムから見たときはわかりませんでした。この人工林側を見ていたのですね。とにかく青い山にしか見えなかったけれど、あと少しでたどりつけそうです。
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一度下がっておだやかな稜線をたどり、鞍部(あんぶ)になったところを重力を感じずに歩きます。こんな山上でキャンプしたら楽しいかも、と一瞬は思うのですが、闇の深さにおびえてしまうような気もします。どっちにしろ、そんなことはしたこともないので、無理な話です。
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きれいな声で迎えてくれる鳥を撮ろうとしましたが、うちのカメラでは無理でした。この木々の上にいたというわけです。あとで図鑑を見てみます。
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雄岳にたどりつきました。津の町、名張市や伊賀市が見えます。私たちの頭の中では、同じ三重県でも、伊賀と伊勢は青山高原で区切られていると思っています。実際に移動するときには、峠を越えないと、往来ができないのです。
けれども、千メートルの高見に立てば、伊勢も伊賀も同じフィールドに見えます。確かに距離的には近いのだし、人間も行き来しています。その2つの土地が同時に見えるということが驚きです。それが山からの目線というのでしょうか。じべたの人間の視線じゃなくて、山からの目線というのは、何か突き抜けていて、すごくいいです。
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伊賀富士の尼ケ岳が見えます。なかなかステキなかたちです。
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知られざる名所、大洞山の石畳道、静かですれちがう人もいませんが、大洞山のすそにずっと作られています。だれが、何のために作ったものなのか、どうやらそこにある石をそのまま利用して、並べてあるような感じですが、信仰の山でもないのに、どうして作られたのでしょう。不思議な味わいです。
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数少ないお花との出会いでした。
というわけで、あこがれの大洞山登頂を達成しました。今度は、奥さんを連れて来なくてはいけないですね。
1 秋空や ただ歩くための石畳
2 大洞山 トンボ鋭気を養いつ
3 ススキの穂 今山頂での出会い
4 沢道に台風の落とし物を避けて
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東から見ても、南から見ても、どこから見ても魅力的なのは、独立峯だからですね。まわりが平野だったら、みんなのあこがれの山になるのにね。
石畳の道だってあるんです。どうして街道でもないのに、石畳の道があるんでしょう。信仰でしょうか。まさか観光ではないと思うので、信仰の山だったんでしようね。それくらい修行の山でもあるわけだ。
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あこがれの登山口にたどりつきました。ここから600mということですが、ということは1時間足らずは坂道と向き合うということになるのでしょうか。
というわけで、写真も撮らずひたすら下向いて歩いていきました。
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ふいに視界は開けて、雌岳山頂にたどりつきます。
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360度というわけにはいかないのですが、西方は太郎生(たろう)の集落と室生火山群のそれらしき山々が見えます。溶岩がかたまった柱状節理のある切り立った山々です。日本の山なので日本的な木々が植わっていますし、段々畑もあったりします。けれどもこれらの木々を取り払ったら、まるでカムチャツカ半島のような、デコボコの噴火口のような山々が見えます。
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ススキのはらっぱで有名な曽爾高原(そにこうげん)は倶良尊山(くろそやま)のむこうに広がっています。でも、こちらからは見えません。
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南の方の展望は、何キロか向こうの方に小高い山が見えて、これがまたひときわ目立つ高見山で、三重県と奈良県とを分ける山です。これくらい立派な山なら、県境としても申し分ありません。喜んで境になってもらわなければならない感じです。
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さて、展望を楽しんだら、次はセットになっている雄岳に挑戦しなくてはいけません。ここに立てば北の展望・東の展望などが楽しめそうです。そして、待望の千メートル越えになります。
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雄岳の東側は人工林で、西側が雑木林でした。くっきり分かれていて、まるで人造人間キカイダーのようです。山頂がこんなになっているとは、君ケ野(きみがの)ダムから見たときはわかりませんでした。この人工林側を見ていたのですね。とにかく青い山にしか見えなかったけれど、あと少しでたどりつけそうです。
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一度下がっておだやかな稜線をたどり、鞍部(あんぶ)になったところを重力を感じずに歩きます。こんな山上でキャンプしたら楽しいかも、と一瞬は思うのですが、闇の深さにおびえてしまうような気もします。どっちにしろ、そんなことはしたこともないので、無理な話です。
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きれいな声で迎えてくれる鳥を撮ろうとしましたが、うちのカメラでは無理でした。この木々の上にいたというわけです。あとで図鑑を見てみます。
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雄岳にたどりつきました。津の町、名張市や伊賀市が見えます。私たちの頭の中では、同じ三重県でも、伊賀と伊勢は青山高原で区切られていると思っています。実際に移動するときには、峠を越えないと、往来ができないのです。
けれども、千メートルの高見に立てば、伊勢も伊賀も同じフィールドに見えます。確かに距離的には近いのだし、人間も行き来しています。その2つの土地が同時に見えるということが驚きです。それが山からの目線というのでしょうか。じべたの人間の視線じゃなくて、山からの目線というのは、何か突き抜けていて、すごくいいです。
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伊賀富士の尼ケ岳が見えます。なかなかステキなかたちです。
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知られざる名所、大洞山の石畳道、静かですれちがう人もいませんが、大洞山のすそにずっと作られています。だれが、何のために作ったものなのか、どうやらそこにある石をそのまま利用して、並べてあるような感じですが、信仰の山でもないのに、どうして作られたのでしょう。不思議な味わいです。
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数少ないお花との出会いでした。
というわけで、あこがれの大洞山登頂を達成しました。今度は、奥さんを連れて来なくてはいけないですね。
1 秋空や ただ歩くための石畳
2 大洞山 トンボ鋭気を養いつ
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東から見ても、南から見ても、どこから見ても魅力的なのは、独立峯だからですね。まわりが平野だったら、みんなのあこがれの山になるのにね。
石畳の道だってあるんです。どうして街道でもないのに、石畳の道があるんでしょう。信仰でしょうか。まさか観光ではないと思うので、信仰の山だったんでしようね。それくらい修行の山でもあるわけだ。