1977年の夏、大阪代表の大鉄高校は、大分の津久見高校相手に派手な試合を演じたということでした。九回裏、逆転サヨナラ満塁ホームランでした。
私の記憶には、もう入ってませんでしたけど、「そんなこともあったような」気はします。たぶん、テレビでは見ていたろうと思うのです。そのホームランをどんな気持ちで見つめていたのかな。ただ、すごいなあと思って見てたんだろうか。
今は川端さんになってるその人は、中一のころ(は別の姓だったかな？)に初めて出会って、とろくさい私にも声をかけてくれる元気のいい人でした。ガンガン攻めてくるタイプで、私は彼に誘われて授業の休み時間の度に、外に連れ出されてボール投げなんかをしていました。
いろいろなことをして遊んだと思うけれど、灰色の校舎にボールを投げつつ、三番とか、四番とか、それぞれ決められた番号があるから、その人の番号を呼んで投げて、呼ばれた人は跳ね返ってくるボールをつかむ、つかみ損ねたら、みんなにボールをぶつけられるという、単純で少しあぶなっかしい遊びをしたこともありました。
どんくさい私は、とり損ねることもあるけど、頑張ってつかもうと右往左往していたように思います。もちろん、悪意があるわけではないから、ボンヤリしているヤツとか、気にかけているヤツとか、しばらく呼ばれてないヤツとか、気まぐれで番号を呼ぶんです。みんながお互いを呼び合うみたいで、今思うと心優しいゲームでもあったんだな。
そのリーダーが、高校三年生に、甲子園に出て、大活躍をしていたとは！
そして、今も甲子園球児として、時々は活動していたなんて！ この秋の中学の同窓会で、彼にはトイレで出会って、オシッコしている時はわかりませんでしたが、一緒に会場に戻る時、頭はピカピカになっていたけれど、当時の彼がそこにいて、急にあれこれ思い出して、さっきトイレで手を洗ったばかりの湿った手で、お互いそれはわかっているけど、握手せずにはいられなかった。
そんなことがありました。彼は今もどこかで、頭と同じようにピカピカに輝いている。おうちも変わってないみたいだから、今度彼のおうちの前に行こうと思います。
野球つながりで、中学の同窓会では、もう1人、同級生が成城工業高校に進学して、そちらで野球をやっていて、三年生の時にはキャプテンとして名前が出ていたような記憶がありました。同窓会にも来ていて、少しだけ話をしたら、今もＯＢ会などで高校とはつながりがあって、あのメジャーリーガーの野茂英雄君は「後輩なんや」ということでした。今も会う機会もあるみたいでした。
すごいねえ。みんないろいろ頑張ってたんだ。その時のお話をあれこれ聞けたらいいのだけど、いっぺんに何もかもみんなで共有し合うなんて、それは無理で、やはり人生と同じように、小さな小窓から世の中をのぞいて、ほんの少し触れ合える人とだけ、わずかな時間、ほんの一瞬を過ごすだけです。
そうしていないと、私たち自身が不安だし、昔を思い出す小窓が開いたとしても、すぐにまた閉じてしまうから、残念だったなあ、でも懐かしい感じもする。とりあえずみんなはそこにいるし、私は今生きている。それでいいではないかと自分を納得させて、日々を暮らすことになります。
とはいうものの、もうオッチャンなんだから、昔のあれこれを取っ払って、今できる関係を新たに作って、もうムチャクチャに遊びたいんだけど、誰かみんな私を誘ってくれないかな。
おい、休み時間やから、外行くぞ！ なんてね。
