9月17日の朝日新聞の記事から抜き書きしてます。
コロナ後の経済再生に向けて、政府は相変わらず成長戦略でイノベーションと競争力強化を唱え、識者も構造改革を訴える。彼らの狙いは、企業と政府主導で生産性を引き上げ成長力を高める点にある。
確かに、自民党政権である限り、生産力の拡大で豊かな国づくり、みたいなことが推し進められるはずです。その成長によって国民に豊かさを届けていく、これを「分配」と呼んでいるんでしょうか。
しかし、それらの政策が国民生活を壊してきた現実から目をそらしてはいけない。潜在成長力は低下し、雇用は不安定化して賃金も下がり、格差は拡大。将来不安の高まりが需要の萎縮と経済停滞を招いている。企業を主役に経済成長し、果実が国民に広く滴り落ちるという想定は実現しなかったということに他ならない。
新自由主義経済というのが始まったのはいつごろからでしょうか。派遣などの非正規雇用を推進し、同一労働同一賃金などと言われ、年功序列型の給料体系は破壊されました。お金が欲しければ出世しろ。そのためには会社に貢献しろ。そうでないなら、いつまでも同じ給料で満足しろ。あまり貢献がないなら、いっそのこと非正規の契約社員になれ。その方が会社としても、人件費の節約になる。
そんな風にして、仕事というのが間に合わせのものにさせられてきました。仕事に対する個々の思いよりも、ポイント第一。目立つこと第二。分かりやすさと第三者目線でクールに査定されるようになりました。
そりゃ、仕事というのは気持ちの向かないものでもあるので、個々の人間がどれだけやるのかは評価にさらされるものなんでしょう。手抜きもあるかもしれないし、でも、それをいいことにどんどん賃金を下げられ、みんなが契約解除の不安にさらされていたら、いよいよ仕事に気持ちが行かなくなるのも確かです。そこを敢えて挑戦しようとはならないことが多い。
記事では、仕組みを変えよう、作ろうとあります。
まず雇用と所得の安定を図る。例えば、法人税率を元に戻し、生産性以上に賃上げした企業に減税する。労働分配率の低下傾向を逆転させ、非正規社員の増大を止める。新たなスキル習得のために、働きながら学ぶ労働者を政府が支える(日本版デュアルシステム)。雇用・所得への不安が和らげば家計は消費に前向きになれる。
賃上げと正規雇用の拡大ですか。今までの逆ですね。そんなに簡単にはいかないですね。何しろ労働力なんて、そもそもがムダというのか、労働力があることを信じていないというのか、国内にないなら外から雇ってきたらいい程度の認識であり、そこにいる人々の生活よりも、企業の発展しか、その企業を運営する人の後押ししか発想はないのですから。
次に、潜在需要を掘り起こす。安心できる医療や介護、バリアフリーの住居、環境に配慮した商品など、コロナ禍やカーボン・ニュートラル戦略で関心が高まったモノやサービスは多い。それをイノベーションや規制緩和、人々の創意工夫で具現化すれば、新たな需要と投資を呼び起こせる。
私たちは不安にとらわれています。コロナ禍による自粛だけではなく、将来への不安、環境の変化への漠然とした不安など、もっともっとたくさんの不安があるような気がします。
コロナ一つとっても、先が見えないし、誰もコロナを乗り切る指針みたいなのを示してくれないし、「それなら遊んでしまえ」とか、「ワクチン打ったらもうフリー」とかで、ヤケクソになってたりしている。
ライブでも、ゲームでも、ギャンブルでも、何でもいいから忘れさせてくれるものにすがってたりしている。
その人々の不安は取り除かないで、自分たちの都合しか考えない人たちを、私たちは政治をする人として据えている。取り外し可能なハズだったのに、私たちもあの人たちも、のうのうとだらしなく続いてしまっている。もっと緊張感が必要なのに、厳粛な雰囲気は感じられないのです。
重要なのは、企業や政府が引き上げる経済から、家計や社会の需要が支える経済への主役交代。それなくして経済再生はない。
ということですが、実現は難しいかな。政治主導・企業優先、それを第一にやってきた国ですから、人々の中からビルドアップなんて、わからないだろうな。ささやかな成功例を見つけて、広げていくしかないですね。
私も起業したいんですけど、戦略はないですね……。