リタイア暮らしは風の吹くまま

古希を迎えて働く奥さんからリタイア。人生の新ステージで
目指すは悠々自適で遊びたくさんの極楽とんぼ的シニア暮らし

日本国籍を捨てたんじゃなくて取り上げられたの

2023年08月26日 | 日々の風の吹くまま
8月24日(木曜日)。☀⛅(煙っぽい)。空はやや霞みがちだけど、AQHIは普通で、気温は上昇中。明日の天気予報も「煙」にはなっていないから、山火事の煙の塊が通り過ぎるって感じかな。煙の最大のソースであるオカナガン地方の大規模火災はとうやら峠を越したそうで、今夜真夜中を以って大きな被害があったウェストケローナ地区への旅行制限が解除になるらしい。後はこのまま鎮火に向かってくれることを祈るばかり。

山火事に関して、ちょっとほろっとする話が新聞に載っていた。最近カナダの市民権を取得した消防士が、スーツを着て自宅からZoomで新カナダ市民の宣誓式に臨む予定だったのか、オカナガン地域の山火事で招集されてウェストケローナの近くで消火活動に当たっていたために出席できなくなり、それを聞いた消防仲間があちこちに消防車を走らせて、携帯の電波が一番安定している場所を探し出してZoomに接続し、赤い消防服と泥だらけの作業ブーツのまま、道端に駐車した消防車の中で無事にZoomで宣誓式を済ませることができたというもの。めでたく正式に「カナダ人」になったのは、オランダからカナダに移民して18年、消防士になって15年で、今は郊外フレーザーバレーのチリワックからさらに東のポプカム村(人口千人ちょっと)の消防隊長というウォルター・ロースさん。コロナで遠くへ旅行できないでいた間に、自分がいかにコミュニティに融け込んで、深く根を下ろしていたかを実感して、カナダ人になる決心をしたんだそうな。

オランダは重国籍を制限していると聞いたけど、カナダは誰がいくつ国籍を持っていても知ったこっちゃないという国だから、オランダ生まれのロースさんはカナダ人になってもオランダ国籍も持ったままになるのかな。カナダで重国籍が権利として認められたのは1977年の市民権法改正のとき。今ではカナダ国民の約11%がカナダ以外の国籍も持っているそうで、他の国が成人後の選択を求めない限り永久に重国籍だし、外国に永住している子供や孫にまで国籍を継承させる国もあるから、生まれたときから重国籍の子供(知り合いの子は四重国籍)もたくさんいる。もっとも、国によっては非居住者による国籍の継承を3代までと制限しているところもあるし、その「外国」が重国籍を認めていなければ、カナダ国籍取得でそこの国籍はなくなるわけだけど、カナダは我関せず。それで永住者のままの人が多いわけだけど、政治参加と長期の海外滞在が制限される以外は市民と永住者の権利と義務に違いはないからそれで十分なんだろうな。

ワタシはPCやインターネットのような情報技術がなかった前近代的な時代にカナダに来たもので、日本のパスポートを更新するために行った総領事館で申請書類の「他の国籍の有無」の項に「カナダ」と書いて、窓口のおじさんに「外国籍のある人には日本国旅券は出せません」と言われて初めて日本国籍がなくなっていたことを知ったんだけど、ワタシは元からこの国の人になるつもりで来てカナダ国籍になったので、あっさり「そうなんですか、じゃ、いいです」と回れ右。まあ、日本国旅券の発行手数料がカナダの10倍もしたもので、当時のワタシの懐具合にはかなり痛かったという面もあったかな。国籍喪失届を出して日本の戸籍から消してもらったのは20年以上経ってからで、そっちで勝手に取り上げておいて、「なくしました」と届け出ろは何だ、遺失物じゃあるまいしと思ったな。その時におじさん領事館員に「外国籍で外国名になっていても、日本の戸籍に記載されているものが本当の名前なんだ」と言われて、ワタシの国(カナダ)の政府が「(日本生まれの)カナダ国民」であると証明しているパスポートで日本に行くと「偽名」を使っていることになるのか、日本はカナダを国として認めていないのかと返したもので、延々30分以上もけんか腰の応酬になって、やっと手続きが済んで外に出た時は、青空を仰いでせいせいした気分になったっけ。帰属する国が変わって「日本国民」じゃなくなっても、民族的には日本人のままなのにね。もっとも、カナダではどこから来たかと聞かれなくなって久しいし、東京ではよく中国語で話しかけられるけどね・・・。


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