[5号車]
5号車もまた見た目は静かなものだった。
ただ、この車両にも乗客の姿はあった。
愛原:「敷島さん、他にも乗客はいるようですが……」
敷島:「私が来た時には誰もいなかったんですが……」
敷島氏は首を傾げた。
どうやら、前の車両に行く度に乗客が多くなっているらしい。
埼京線の上り電車は上り方向に行くにしたがって空いて行く傾向があるのだが、今回は逆のようだ。
5号車に乗っている乗客は3人。
それぞれがバラバラの位置に座っている。
高橋:「先生、何かお通夜みたいに暗い連中ばかりですよ」
愛原:「シッ」
だが、高橋の言う事にも一理ある。
私達から見て1番手前に座っているのは、地味なスーツの男。
残業疲れて乗り込み、座ったら寝込んでしまった人のような感じだ。
……それってつまり、私達と同じように、この電車がいつもの終電だと思って乗り込んでしまった人ではないか?
他に座っている客は、会社員らしき女性が1人と、女子高生らしき少女が1人だ。
この2人もまた俯いている。
敷島:「ちょっと失礼。お嬢さん」
敷島氏は一番6号車よりの座席に座っている女子高生の所へ駆け寄って話し掛けた。
……見た目に反して、やっぱり中身はチャラい人なのか?
高橋:「フン、やっぱり芸能界の人間だな」
愛原:「まあ、いいじゃないか。見た目が可愛ければ、スカウトでもするつもりなんだよ」
私は手前にいる男性客に話し掛けた。
愛原:「お休みのところ、失礼します。ちょっといいですか?」
私は男性客の肩を叩いたが、何の反応も無かった。
高橋:「おい!先生がお呼びだぞ!スルーすんじゃねぇ!」
高橋は男性客の胸倉を掴んだ。
愛原:「やめなさい!」
だが、その男性客は文句を言ってきたりはしなかった。
言えない状態だったからである。
何故なら……。
高橋:「……死んでる!」
山根:「うわ……!」
高橋が手を放すと、まるで人形のように男は座席に座り込んだと思うと、電車の揺れでそのまま床に倒れた。
敷島:「こっちも死んでる!畜生!何て電車だ!」
高橋:「先生、これは……!」
殺人事件!?いや、それにしては……。
だが、その時だった!
男性客:「アァア……!」
女性客:「ウゥゥ……!」
山根:「わあああああああ!!」
男性客が起き上がって、私達に呻き声を上げながら近づいて来た。
車両の真ん中に座っていた女性客もだ。
そして、敷島氏が起こそうとしていた女子高生も!
幸太郎君はショックで腰を抜かしてしまった。
ゾンビ化!?これではまるで、霧生市のあれみたいじゃないか!
敷島:「このやろ!!」
敷島氏は掴みかかって来た女子高生ゾンビを逆に掴むと、反対側の3人席の窓ガラスに頭を突っ込ませた。
高橋:「おおっ、ナイスだ!あのオッサン!!」
高橋は敷島氏に感心すると、自分も同じように男性客を掴んで、こちらはドアの窓ガラスに頭を突っ込ませた。
愛原:「でぇぇい!」
私は私で連結器の横にある消火器を取り出すと、それで女性客ゾンビの頭部を攻撃した。
高橋:「先生!」
高橋が加勢に来た。
とはいえ、その時にはもう女性客ゾンビは床に倒れていたので、あとは高橋が頭を踏み潰すだけで良かった。
惨いと思うかもしれないが、ゾンビを倒すには頭を攻撃するのがベストだと、私達は霧生市で学んでいた。
愛原:「幸太郎君!大丈夫かい!?」
山根:「!!!」
無理も無い話だが、惨たらしい死体と化したこの惨劇を目の当たりにしたことで、幸太郎君は4号車と5号車の間の連結器で嘔吐してしまった。
敷島:「皆さん、大丈夫ですか!?」
愛原:「ええ、何とか……。敷島さんこそ、どこか噛まれたり引っ掛かれたりはしていませんね?」
敷島:「ええ、大丈夫です」
高橋:「オッサン、強いな?」
敷島:「こう見えても、様々なロボットテロを生き延びて来たから」
高橋:「……特撮の話は別に機会にしろよな」
敷島:「特撮!?いいなぁ!KR団との戦いを特撮モノにして、制作会社に売り込んでみるか!」
愛原:「そんなことより敷島さん、もしかしたらこれ、バイオハザード電車かもしれませんよ」
敷島:「バイオハザード電車?」
愛原:「実は霧生市のバイオハザードを生還したのが我々なんですが、実はそこにゾンビが……」
敷島:「あなた達も何か、ホラー映画とかに出演したことがあるんですか?」
愛原:「えっ?」
高橋:「バカ!霧生市だよ!あれだけテレビとかで大騒ぎになったじゃねーか!先生や俺もインタビュー出たんだぞ!?」
敷島:「キリュウ市って、桐生市?群馬県でバイオハザードを取り扱った映画の撮影でもしたの?」
高橋:「だから違うって!」
愛原:「敷島さん、どうやら私達とあなたは別世界を生きる人間なのかもしれない」
高橋:「先生?」
愛原:「幸太郎君がさっき言ってたことだよ。少なくとも、この電車の常識性は見た目だけで、実はとんでもないことが起きているのは見ての通りだ。俺はこの電車にバイオザードでも発生したのかと思ったんだけど、どうやらそれとも違うのかもしれない」
敷島:「同感です。そもそも今、どこを走ってるのか定かじゃない。正直、亜空間トンネルの中だと言われても信じれそうな状況ですよ。このまま異次元の世界へ行ってしまうとされても、信じてしまえるくらいです」
愛原:「とにかく、1番前の車両に行ってみましょう。そこに行っても何も無いかもしれませんけど、とにかく、このままいつどの駅に到着するか分からない電車に乗り続けるよりはマシだと思うんです」
高橋:「俺も先生の意見に賛成です」
山根:「ぼ、僕も……。1人でこんな所にいたくない……」
敷島:「最初から先頭車に行くべきだったか。ま、しょうがない。とにかく、行きましょう。私が後ろの車両に逃げてる間に、前の車両では惨劇が起きてたみたいです」
埼京線は10両編成。
ようやく折り返し地点にやってきた。
6号車の扉の先には、今度は何が待ち受けているのだろうか?
ハンターか?それともタイラントか?洗脳された女性猛者やファミパンおじさんがいたりしたら、私達はもう全滅だが。
高橋:「!?」
6号車のドアを開けて中に入った私達。
そこで待ち受けていたのは……。
男:「うおーっ!待て!そこを動くなーっ!!」
愛原:「!?」
7号車側から一目散に走って来る中年男だった。
何だかヤバそうな雰囲気だ。
どうする?
①その場で立ち止まる
➁急いで避ける
③タックルしてやる
④立ちはだかる
⑤こちらも大声を出す
(※バッドエンド直行が含まれているので、注意してください)
5号車もまた見た目は静かなものだった。
ただ、この車両にも乗客の姿はあった。
愛原:「敷島さん、他にも乗客はいるようですが……」
敷島:「私が来た時には誰もいなかったんですが……」
敷島氏は首を傾げた。
どうやら、前の車両に行く度に乗客が多くなっているらしい。
埼京線の上り電車は上り方向に行くにしたがって空いて行く傾向があるのだが、今回は逆のようだ。
5号車に乗っている乗客は3人。
それぞれがバラバラの位置に座っている。
高橋:「先生、何かお通夜みたいに暗い連中ばかりですよ」
愛原:「シッ」
だが、高橋の言う事にも一理ある。
私達から見て1番手前に座っているのは、地味なスーツの男。
残業疲れて乗り込み、座ったら寝込んでしまった人のような感じだ。
……それってつまり、私達と同じように、この電車がいつもの終電だと思って乗り込んでしまった人ではないか?
他に座っている客は、会社員らしき女性が1人と、女子高生らしき少女が1人だ。
この2人もまた俯いている。
敷島:「ちょっと失礼。お嬢さん」
敷島氏は一番6号車よりの座席に座っている女子高生の所へ駆け寄って話し掛けた。
……見た目に反して、やっぱり中身はチャラい人なのか?
高橋:「フン、やっぱり芸能界の人間だな」
愛原:「まあ、いいじゃないか。見た目が可愛ければ、スカウトでもするつもりなんだよ」
私は手前にいる男性客に話し掛けた。
愛原:「お休みのところ、失礼します。ちょっといいですか?」
私は男性客の肩を叩いたが、何の反応も無かった。
高橋:「おい!先生がお呼びだぞ!スルーすんじゃねぇ!」
高橋は男性客の胸倉を掴んだ。
愛原:「やめなさい!」
だが、その男性客は文句を言ってきたりはしなかった。
言えない状態だったからである。
何故なら……。
高橋:「……死んでる!」
山根:「うわ……!」
高橋が手を放すと、まるで人形のように男は座席に座り込んだと思うと、電車の揺れでそのまま床に倒れた。
敷島:「こっちも死んでる!畜生!何て電車だ!」
高橋:「先生、これは……!」
殺人事件!?いや、それにしては……。
だが、その時だった!
男性客:「アァア……!」
女性客:「ウゥゥ……!」
山根:「わあああああああ!!」
男性客が起き上がって、私達に呻き声を上げながら近づいて来た。
車両の真ん中に座っていた女性客もだ。
そして、敷島氏が起こそうとしていた女子高生も!
幸太郎君はショックで腰を抜かしてしまった。
ゾンビ化!?これではまるで、霧生市のあれみたいじゃないか!
敷島:「このやろ!!」
敷島氏は掴みかかって来た女子高生ゾンビを逆に掴むと、反対側の3人席の窓ガラスに頭を突っ込ませた。
高橋:「おおっ、ナイスだ!あのオッサン!!」
高橋は敷島氏に感心すると、自分も同じように男性客を掴んで、こちらはドアの窓ガラスに頭を突っ込ませた。
愛原:「でぇぇい!」
私は私で連結器の横にある消火器を取り出すと、それで女性客ゾンビの頭部を攻撃した。
高橋:「先生!」
高橋が加勢に来た。
とはいえ、その時にはもう女性客ゾンビは床に倒れていたので、あとは高橋が頭を踏み潰すだけで良かった。
惨いと思うかもしれないが、ゾンビを倒すには頭を攻撃するのがベストだと、私達は霧生市で学んでいた。
愛原:「幸太郎君!大丈夫かい!?」
山根:「!!!」
無理も無い話だが、惨たらしい死体と化したこの惨劇を目の当たりにしたことで、幸太郎君は4号車と5号車の間の連結器で嘔吐してしまった。
敷島:「皆さん、大丈夫ですか!?」
愛原:「ええ、何とか……。敷島さんこそ、どこか噛まれたり引っ掛かれたりはしていませんね?」
敷島:「ええ、大丈夫です」
高橋:「オッサン、強いな?」
敷島:「こう見えても、様々なロボットテロを生き延びて来たから」
高橋:「……特撮の話は別に機会にしろよな」
敷島:「特撮!?いいなぁ!KR団との戦いを特撮モノにして、制作会社に売り込んでみるか!」
愛原:「そんなことより敷島さん、もしかしたらこれ、バイオハザード電車かもしれませんよ」
敷島:「バイオハザード電車?」
愛原:「実は霧生市のバイオハザードを生還したのが我々なんですが、実はそこにゾンビが……」
敷島:「あなた達も何か、ホラー映画とかに出演したことがあるんですか?」
愛原:「えっ?」
高橋:「バカ!霧生市だよ!あれだけテレビとかで大騒ぎになったじゃねーか!先生や俺もインタビュー出たんだぞ!?」
敷島:「キリュウ市って、桐生市?群馬県でバイオハザードを取り扱った映画の撮影でもしたの?」
高橋:「だから違うって!」
愛原:「敷島さん、どうやら私達とあなたは別世界を生きる人間なのかもしれない」
高橋:「先生?」
愛原:「幸太郎君がさっき言ってたことだよ。少なくとも、この電車の常識性は見た目だけで、実はとんでもないことが起きているのは見ての通りだ。俺はこの電車にバイオザードでも発生したのかと思ったんだけど、どうやらそれとも違うのかもしれない」
敷島:「同感です。そもそも今、どこを走ってるのか定かじゃない。正直、亜空間トンネルの中だと言われても信じれそうな状況ですよ。このまま異次元の世界へ行ってしまうとされても、信じてしまえるくらいです」
愛原:「とにかく、1番前の車両に行ってみましょう。そこに行っても何も無いかもしれませんけど、とにかく、このままいつどの駅に到着するか分からない電車に乗り続けるよりはマシだと思うんです」
高橋:「俺も先生の意見に賛成です」
山根:「ぼ、僕も……。1人でこんな所にいたくない……」
敷島:「最初から先頭車に行くべきだったか。ま、しょうがない。とにかく、行きましょう。私が後ろの車両に逃げてる間に、前の車両では惨劇が起きてたみたいです」
埼京線は10両編成。
ようやく折り返し地点にやってきた。
6号車の扉の先には、今度は何が待ち受けているのだろうか?
ハンターか?それともタイラントか?洗脳された女性猛者やファミパンおじさんがいたりしたら、私達はもう全滅だが。
高橋:「!?」
6号車のドアを開けて中に入った私達。
そこで待ち受けていたのは……。
男:「うおーっ!待て!そこを動くなーっ!!」
愛原:「!?」
7号車側から一目散に走って来る中年男だった。
何だかヤバそうな雰囲気だ。
どうする?
①その場で立ち止まる
➁急いで避ける
③タックルしてやる
④立ちはだかる
⑤こちらも大声を出す
(※バッドエンド直行が含まれているので、注意してください)