[10号車]
愛原:「何やってんだーっ!」
私はショットガンを構え、死神のような姿をした者に発砲した。
ショットガンとは散弾銃のことであり、日本語にした方が意味が分かりやすい。
発砲された弾が広範囲に飛び散る銃である。
死神の黒いローブに当たった弾はダメージを与えることができなかったが、大きな鎌に当たった弾はダメージを与えることができた……ように見えた。
いや、何か昔のゲームで、死神のような姿をしたボスに弾を放つと、当たり判定が大鎌のみというキャラがいたような気がしたのだ。
死神らしい姿をした者は大鎌を落としてしまった。
やっぱり効いている!
高橋:「先生、さすがです!」
高橋もまたハンドガンを構えて発砲した。
だが、そこから出て来たのは万国旗。
高橋:「何だこりゃあ!?」
敷島:「パーティー用グッズだったのか……」
敷島氏が苦笑する。
死神らしい姿をした者はクルッと振り向いた。
そして、黒いローブを取る。
それは死神などではなかった。
敷島:「うわっ!?バージョン4.0だ!?何でこんな所に!?」
愛原:「何ですか、それ!?」
敷島:「KR団御用達のテロ用ロボットですよ!御存知ない!?」
愛原:「知りませんよ!」
山根:「やっぱり、違う世界の人なんだぁ……」
敷島:「! あのモーションは!?……伏せて!マシンガン撃ってくる!!」
私達が床に伏せると、ずんぐりむっくりのバージョン4.0と呼ばれたロボットが私達にマシンガンを撃って来た。
右手がそれに変形させることができるらしいが、体の構造上、下に向かって撃つことができない。
だから、床に伏せればやり過ごせるというわけだ。
敷島:「シンディ!?シンディはいないか!?エミリーでもいい!あいつをブッ壊せ!!」
高橋:「なに言ってんだ、オッサン!?」
高橋はダッと運転室に走った。
愛原:「おい、高橋!危ないぞ!」
高橋:「大丈夫です!ロボットも所詮、後ろに目は付いてないっスから!」
愛原:「なるほど、そうか!……って、ええっ!?」
すると9号車から、また何かが現れた。
ゾンビA:「アァア……!」
ゾンビB:「ウゥウ……!」
ゾンビの集団だった!
やはり9号車の乗客達もまた、ゾンビウィルスに感染していたんだ!
前方にはテロロボット!後方にはゾンビ!
もはや、万事休すか!
4.0:「キュルルルルルル!」
だが、このテロロボットは、どうやら動く者に攻撃するように造られているらしい。
10号車に入って来たゾンビ達を敵と認識したか、手持ちのマシンガンで次々と射殺していった。
しかしその凄まじい攻撃ぶりに、私も幸太郎君も敷島さんも床から起き上がることができない。
高橋はどうしてる!?
高橋:「おい、コラ!テメェが元凶か!?」
高橋は運転室との客室との間に磔になっている青年の所に辿り着いた。
???:「な、何のこと?僕はただ……」
高橋:「うるせっ!とにかくオメェも何とかしろっ!」
高橋は青年を拘束から解いてやった。
青年:「魔法陣で僕の仲間を呼ぶから、あの化け物何とかしてくれよ!」
高橋:「何とかって、オメェ……!」
青年:「何だか知らないけど、9号車からやってきたんだよ!」
敷島:「! 幸太郎君、もしかしてそれ、パソコンかい!?」
山根:「う、うん……」
敷島さんは幸太郎君の鞄の隙間から、ノートパソコンが覗いているのを見つけたようだ。
山根:「通ってる塾で使ってるの。タブレットとかスマホとかを皆使ってるんだけど、たまたまお父さんがパソコンを買い換えたから、お下がりでこれ使ってるんだよ」
敷島:「電源は入るか?」
山根:「う、うん。多分……」
敷島:「よし、電源を入れてくれ!」
愛原:「敷島さん、何をするつもりですか?」
敷島氏はスーツのポケットの中から、USBメモリのような媒体を出した。
敷島:「この中に、あのロボットを奴隷扱いできる上位機種のデータが入っています。それをあいつに送信してやれば、いかにも上位機種から命令が飛んできたように思わせて停止させることができるという寸法です」
愛原:「そんな簡単に行きますかね?」
敷島:「行かなかったら、バッドエンドです。今、4.0はゾンビ退治に夢中になってますが、そいつらを全滅させたら、今度は私達を全滅させるでしょうから」
愛原:「な、なるほど……!」
山根:「社長さん!電源入ったよ!」
敷島:「よし!ちょっと借りるぞ!」
敷島氏は幸太郎君のパソコンに、媒体を差した。
青年:「僕の名前は稲生勇太!この車両に乗っていたら、突然事故に遭って、それからもう何が何だか分からなくなって……」
高橋:「事故だぁ!?……ま、ある意味で大事故だけどよ。それで、どうすんだ?」
稲生:「あの魔法陣で僕の使い魔を召喚するから、あのロボットを止めてほしい!」
高橋:「無茶言うな!テメェ、魔法使いだったら、魔法で何とかしろっ!」
稲生:「僕はまだ修行中なの!」
何だか高橋と青年がモメている。
敷島:「よし!データを読み取ったぞ!あとは送信だ!」
4.0:「キュルキュルキュルキュル!」
ゾンビを全滅させたバージョン4.0は、クルッと振り向き、今度は高橋と稲生勇太君……とやらに銃口を向けた。
高橋:「うっ!?」
稲生:「死神の正体はロボットだったの!?何だかもうメチャクチャだ!」
高橋:「一体、どうなってんだ、こりゃ!?」
4.0:「ピ!?」
4.0の動きが止まった。
それどころか、ビックリした様子で後ろを振り向いた。
敷島さんがパソコンのキーボードを叩いている。
敷島:「エミリーから“ナイフ”もらっといて良かったぜ!そこの4.0!俺はエミリーのアンドロイドマスターだぞ!?その意味は言わなくても分かるな!?」
すると4.0は頭を抱え、正にorzの体勢になった。
土下座とも言うか?
稲生:「今だ!」
稲生と呼ばれた青年は、服装は普通の恰好だったが、その上に薄紫色のローブを羽織り、そして杖を持っていた。
稲生:「パペ、サタン、パペ、サタン、アレッペ!我は求め、訴えたり!我の召喚に応じ、その力を遺憾無く発揮したまえ!!」
魔法陣の前で何か呪文を唱えている。
愛原:「そうか!このメモはキミが書いたものだったのか!」
稲生:「それは敵を撃退する為に、急いでメモしたものです。そうですか。拾ってくれたんですか」
高橋:「ていうか、運転席はどうなってんだ!?」
高橋は運転室のドアに向かった。
ブラインドは全て下ろされ、中の様子を窺い知ることはできない。
高橋:「おい、ここを開けろ!!」
高橋は運転室のドアをこじ開けようとした。
敷島:「おい、4.0!あのドアをこじ開けろ!」
敷島さんがキーボードを叩く。
どうやら、パソコンを使ってこのロボットに命令が出せるようになったらしい。
が!
敷島:「あれ!?」
だが、パソコンの画面が消えてしまった。
敷島:「ど、どうなってるんだ!?」
山根:「あ、もしかしたら、バッテリー切れかも……」
敷島:「何いっ!?」
すると、4.0の両目がギラリと光った。
稲生:「……集いて来たれ!速やかに!パペ、サタン、パペ、サタン、アレッペ!稲生勇太の名の元に!」
敷島:「き、キミ!その魔法陣で、うちのシンディかエミリーも召喚できないか!?」
稲生:「な、何言ってるんですか?」
魔法陣が光り出すのと、バージョン4.0が再び右手をマシンガンに変形させるのは同時だった。
い、一体、これから何が起きる!?
愛原:「何やってんだーっ!」
私はショットガンを構え、死神のような姿をした者に発砲した。
ショットガンとは散弾銃のことであり、日本語にした方が意味が分かりやすい。
発砲された弾が広範囲に飛び散る銃である。
死神の黒いローブに当たった弾はダメージを与えることができなかったが、大きな鎌に当たった弾はダメージを与えることができた……ように見えた。
いや、何か昔のゲームで、死神のような姿をしたボスに弾を放つと、当たり判定が大鎌のみというキャラがいたような気がしたのだ。
死神らしい姿をした者は大鎌を落としてしまった。
やっぱり効いている!
高橋:「先生、さすがです!」
高橋もまたハンドガンを構えて発砲した。
だが、そこから出て来たのは万国旗。
高橋:「何だこりゃあ!?」
敷島:「パーティー用グッズだったのか……」
敷島氏が苦笑する。
死神らしい姿をした者はクルッと振り向いた。
そして、黒いローブを取る。
それは死神などではなかった。
敷島:「うわっ!?バージョン4.0だ!?何でこんな所に!?」
愛原:「何ですか、それ!?」
敷島:「KR団御用達のテロ用ロボットですよ!御存知ない!?」
愛原:「知りませんよ!」
山根:「やっぱり、違う世界の人なんだぁ……」
敷島:「! あのモーションは!?……伏せて!マシンガン撃ってくる!!」
私達が床に伏せると、ずんぐりむっくりのバージョン4.0と呼ばれたロボットが私達にマシンガンを撃って来た。
右手がそれに変形させることができるらしいが、体の構造上、下に向かって撃つことができない。
だから、床に伏せればやり過ごせるというわけだ。
敷島:「シンディ!?シンディはいないか!?エミリーでもいい!あいつをブッ壊せ!!」
高橋:「なに言ってんだ、オッサン!?」
高橋はダッと運転室に走った。
愛原:「おい、高橋!危ないぞ!」
高橋:「大丈夫です!ロボットも所詮、後ろに目は付いてないっスから!」
愛原:「なるほど、そうか!……って、ええっ!?」
すると9号車から、また何かが現れた。
ゾンビA:「アァア……!」
ゾンビB:「ウゥウ……!」
ゾンビの集団だった!
やはり9号車の乗客達もまた、ゾンビウィルスに感染していたんだ!
前方にはテロロボット!後方にはゾンビ!
もはや、万事休すか!
4.0:「キュルルルルルル!」
だが、このテロロボットは、どうやら動く者に攻撃するように造られているらしい。
10号車に入って来たゾンビ達を敵と認識したか、手持ちのマシンガンで次々と射殺していった。
しかしその凄まじい攻撃ぶりに、私も幸太郎君も敷島さんも床から起き上がることができない。
高橋はどうしてる!?
高橋:「おい、コラ!テメェが元凶か!?」
高橋は運転室との客室との間に磔になっている青年の所に辿り着いた。
???:「な、何のこと?僕はただ……」
高橋:「うるせっ!とにかくオメェも何とかしろっ!」
高橋は青年を拘束から解いてやった。
青年:「魔法陣で僕の仲間を呼ぶから、あの化け物何とかしてくれよ!」
高橋:「何とかって、オメェ……!」
青年:「何だか知らないけど、9号車からやってきたんだよ!」
敷島:「! 幸太郎君、もしかしてそれ、パソコンかい!?」
山根:「う、うん……」
敷島さんは幸太郎君の鞄の隙間から、ノートパソコンが覗いているのを見つけたようだ。
山根:「通ってる塾で使ってるの。タブレットとかスマホとかを皆使ってるんだけど、たまたまお父さんがパソコンを買い換えたから、お下がりでこれ使ってるんだよ」
敷島:「電源は入るか?」
山根:「う、うん。多分……」
敷島:「よし、電源を入れてくれ!」
愛原:「敷島さん、何をするつもりですか?」
敷島氏はスーツのポケットの中から、USBメモリのような媒体を出した。
敷島:「この中に、あのロボットを奴隷扱いできる上位機種のデータが入っています。それをあいつに送信してやれば、いかにも上位機種から命令が飛んできたように思わせて停止させることができるという寸法です」
愛原:「そんな簡単に行きますかね?」
敷島:「行かなかったら、バッドエンドです。今、4.0はゾンビ退治に夢中になってますが、そいつらを全滅させたら、今度は私達を全滅させるでしょうから」
愛原:「な、なるほど……!」
山根:「社長さん!電源入ったよ!」
敷島:「よし!ちょっと借りるぞ!」
敷島氏は幸太郎君のパソコンに、媒体を差した。
青年:「僕の名前は稲生勇太!この車両に乗っていたら、突然事故に遭って、それからもう何が何だか分からなくなって……」
高橋:「事故だぁ!?……ま、ある意味で大事故だけどよ。それで、どうすんだ?」
稲生:「あの魔法陣で僕の使い魔を召喚するから、あのロボットを止めてほしい!」
高橋:「無茶言うな!テメェ、魔法使いだったら、魔法で何とかしろっ!」
稲生:「僕はまだ修行中なの!」
何だか高橋と青年がモメている。
敷島:「よし!データを読み取ったぞ!あとは送信だ!」
4.0:「キュルキュルキュルキュル!」
ゾンビを全滅させたバージョン4.0は、クルッと振り向き、今度は高橋と稲生勇太君……とやらに銃口を向けた。
高橋:「うっ!?」
稲生:「死神の正体はロボットだったの!?何だかもうメチャクチャだ!」
高橋:「一体、どうなってんだ、こりゃ!?」
4.0:「ピ!?」
4.0の動きが止まった。
それどころか、ビックリした様子で後ろを振り向いた。
敷島さんがパソコンのキーボードを叩いている。
敷島:「エミリーから“ナイフ”もらっといて良かったぜ!そこの4.0!俺はエミリーのアンドロイドマスターだぞ!?その意味は言わなくても分かるな!?」
すると4.0は頭を抱え、正にorzの体勢になった。
土下座とも言うか?
稲生:「今だ!」
稲生と呼ばれた青年は、服装は普通の恰好だったが、その上に薄紫色のローブを羽織り、そして杖を持っていた。
稲生:「パペ、サタン、パペ、サタン、アレッペ!我は求め、訴えたり!我の召喚に応じ、その力を遺憾無く発揮したまえ!!」
魔法陣の前で何か呪文を唱えている。
愛原:「そうか!このメモはキミが書いたものだったのか!」
稲生:「それは敵を撃退する為に、急いでメモしたものです。そうですか。拾ってくれたんですか」
高橋:「ていうか、運転席はどうなってんだ!?」
高橋は運転室のドアに向かった。
ブラインドは全て下ろされ、中の様子を窺い知ることはできない。
高橋:「おい、ここを開けろ!!」
高橋は運転室のドアをこじ開けようとした。
敷島:「おい、4.0!あのドアをこじ開けろ!」
敷島さんがキーボードを叩く。
どうやら、パソコンを使ってこのロボットに命令が出せるようになったらしい。
が!
敷島:「あれ!?」
だが、パソコンの画面が消えてしまった。
敷島:「ど、どうなってるんだ!?」
山根:「あ、もしかしたら、バッテリー切れかも……」
敷島:「何いっ!?」
すると、4.0の両目がギラリと光った。
稲生:「……集いて来たれ!速やかに!パペ、サタン、パペ、サタン、アレッペ!稲生勇太の名の元に!」
敷島:「き、キミ!その魔法陣で、うちのシンディかエミリーも召喚できないか!?」
稲生:「な、何言ってるんですか?」
魔法陣が光り出すのと、バージョン4.0が再び右手をマシンガンに変形させるのは同時だった。
い、一体、これから何が起きる!?