[日本時間7月6日11:30.天候:晴 埼玉県さいたま市 稲生家]
稲生の実家の庭に魔法陣が浮かび上がる。
そして、そこから魔道師3人が飛び出してきた。
稲生:「やっと帰って来れた……」
マリア:「ピンポイントだな」
イリーナ:「アタシって天才!」
3人全員が魔法陣から出ると、魔法陣は跡形も無く消えた。
稲生:「さすが先生です!」
イリーナ:「ま、アタシがちょっと本気出せばこんなもんよ。マリアだったら、何か媒体が無いとできないもんね」
マリア:「悪かったですね。まだローマスターなんですから、異世界間移動ができるようになっただけでも良しとしてくださいよ」
稲生:「媒体?」
イリーナ:「魔界の穴を利用する方法がベタな法則だね」
稲生:「となると……。あの旧校舎ですか」
イリーナ:「ま、そういうことになるね」
マリア:「今回はまあ、師匠に任せて良かったと思います」
マリアは以前の東京中央学園での戦いを思い出して吐き気がした。
稲生:「先生、今回の件は……」
イリーナ:「うん、おおかた知ってるよ。ユウタ君も、久しぶりの友達との再会で飲み過ぎたのは分かるけど、もう少し慎重になるべぎたったね」
稲生:「すいませんでした」
マリア:「だからタクシーで帰って来いって言ったのに……」
稲生:「いや、ハハハ……」
イリーナ:「それより少し休ませてもらえる?」
稲生:「あ、はい」
マリア:「?」
イリーナ:「本気出すのって本当疲れるわ」
マリア:「自宅警備員みたいなこと言わないでください」
稲生:「因みに今の魔法、何て名前なんですか?」
マリア:「あ、そうそう。私も気になってた」
イリーナ:「スーパー・ル・ゥラ?うん、きっとそうよ!」
稲生:「は、はあ……」
マリア:「知らないんですか!」
イリーナ:「何よ?じゃあ、マリアは何て唱えて使ってたわけ?」
マリア:「……ウルトラ・ル・ゥラ」
イリーナ:「〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
マリア:「笑いたかったら素直に笑ってください!知らないから、聞こうと思ったのに!」
稲生:「まあまあ」
[同日12:00.天候:晴 稲生家]
稲生:「……うん、上手く行ったぞ」
稲生は自室に入ると、PCで威吹への報酬と出産祝いを通販サイトで注文した。
もちろん、このサイトから直接魔界へ送れるはずがない。
そこで1度こちら側に送ってもらって、それからエレーナに依頼することとなる。
稲生:「それから……」
稲生は長野までの帰りの足を確保しようと思った。
稲生:「おっ、やった!まださすがにピークじゃないもんな!」
稲生はネットで帰りの高速バスのチケットを購入した。
厳密に言えば、ネット予約しただけ。
稲生は部屋の外に出た。
マリア:「ユウタ、そろそろランチの時間だけど、どうする?」
稲生:「あっと!そう言えばそうですね。先生は?」
マリア:「師匠は昼寝モードに入った。多分、ディナーの時間まで起きそうにない」
稲生:「そうですか。平日昼間は両親もいないからなぁ……。じゃあ、外に食べに行きますか。帰りの高速バスの予約もしたので」
マリア:「そうか。マイケル氏から『新幹線じゃないのか』と言われそうだな」
稲生:「え?何ですか?」
マリア:「え?あれ?私、何か言った?」
稲生:「いや、あの……。新幹線かぁ……」
マリア:「交通手段は全てユウタに一任することになってるんだから、師匠も私も文句を言うつもりは無いよ」
稲生:「そ、そうですね」
マリア:「おっと、交通費か」
稲生:「先生、寝てらっしゃるんでしたら、立て替えて……」
しかしマリアは、2人が客間として借りている一室へ行った。
マリア:「師匠、帰りの交通手段……あっ」
するとテーブルの上に、プラチナカードが置いてあった。
ロシア語のメモがあったが、訳すと、『バス代はこれで』と書かれていた。
稲生:「先生、予知していたんですね」
マリア:「ここまで予知されると、却ってムカつかない?」
稲生:「僕は平気ですけど……。とにかく、行ってみましょう」
マリア:「うん」
2人は外に出た。
7月の暑い日差しが2人を襲う。
マリア:「日本の夏はほんとジメジメしてる」
稲生:「そうですねぇ……」
マリアはブレザーは着ておらず、ブラウスの上から緑色のローブを羽織っている。
ローブは本来防寒着なのだが、魔道師用に作られたそれは防熱の役割も果たす。
マリア:「何食べる?」
稲生:「この近くに回るお寿司があるんで、そこにしましょう」
マリア:「Sushi……?回る……?」
もちろんマリアは寿司を知っているが、お皿に乗った寿司が皿回しのように回っているのを想像した。
稲生:「あ、いや、そういうことじゃないんですよ」
稲生はマリアの顔を見て、明らかに違うことを想像していることに気づいた。
[同日12:30.天候:晴 さいたま市内 某回転寿司店]
お昼時だったので、店内は混んでいた。
少し待たされてから、ようやくテーブル席へ案内される。
マリア:「これは……?」
稲生:「コンベアの上に流れているお皿、自由に取っていいんですよ。もし食べたいものがあって、それがコンベアを流れていない場合、注文することもできます」
稲生が言ってるそばから、テーブル横のレーンを“新幹線”が通過していった。
マリア:「凄いアイディアだ」
稲生:「何か飲みますか?」
マリア:「ビー……あ、いや、お茶でいい」
稲生:「いいんですか?築地で飲み過ぎたことは……」
マリア:「あれはちょっとテンションが上がり過ぎたんだ!」
稲生:「いや、まあ……。あの時のマリアさんもなかなか可愛かったのに……」
マリア:「! ……と、とにかく、昼はアルコールはいい」
稲生:「分かりました。あとは何食べます?」
マリア:「サーモン、エッグ、オクトパス」
稲生:「はいはい」
稲生はピッピッと端末のパネルを操作した。
マリア:「ところで、帰りはバス?いつの?」
稲生:「明後日の土曜日、夜行便です」
マリア:「夜行!」
稲生:「アルピコ交通のそれは期間限定ですからね。今月の下旬くらいになると学校も夏休みになるんで、こうやって直前では取れなくなるでしょうが、今はまだギリギリ取れました」
マリア:「なるほど。……フフッ」
稲生:「何ですか?」
マリア:「いや、ユウタはあの冥鉄暴走電車でだいぶ死闘を繰り広げたっていうから、しばらく夜の交通機関は懲り懲りかなと思っていたんだけど、大丈夫みたいだな」
稲生:「帰りに関しては先生やマリアさんと一緒ですから。……てか、大丈夫ですよね?」
マリア:「私の予知夢ではそういう夢はまだ出てこないし、何より師匠がグースカ寝ている間は大丈夫」
稲生:「分かりやすいバロメーターですよねぇ、あれは……」
稲生達がそんな噂しているものだから……。
イリーナ:「……っクシュ!……うー……」
イリーナはクシャミで目が覚めたという。
稲生の実家の庭に魔法陣が浮かび上がる。
そして、そこから魔道師3人が飛び出してきた。
稲生:「やっと帰って来れた……」
マリア:「ピンポイントだな」
イリーナ:「アタシって天才!」
3人全員が魔法陣から出ると、魔法陣は跡形も無く消えた。
稲生:「さすが先生です!」
イリーナ:「ま、アタシがちょっと本気出せばこんなもんよ。マリアだったら、何か媒体が無いとできないもんね」
マリア:「悪かったですね。まだローマスターなんですから、異世界間移動ができるようになっただけでも良しとしてくださいよ」
稲生:「媒体?」
イリーナ:「魔界の穴を利用する方法がベタな法則だね」
稲生:「となると……。あの旧校舎ですか」
イリーナ:「ま、そういうことになるね」
マリア:「今回はまあ、師匠に任せて良かったと思います」
マリアは以前の東京中央学園での戦いを思い出して吐き気がした。
稲生:「先生、今回の件は……」
イリーナ:「うん、おおかた知ってるよ。ユウタ君も、久しぶりの友達との再会で飲み過ぎたのは分かるけど、もう少し慎重になるべぎたったね」
稲生:「すいませんでした」
マリア:「だからタクシーで帰って来いって言ったのに……」
稲生:「いや、ハハハ……」
イリーナ:「それより少し休ませてもらえる?」
稲生:「あ、はい」
マリア:「?」
イリーナ:「本気出すのって本当疲れるわ」
マリア:「自宅警備員みたいなこと言わないでください」
稲生:「因みに今の魔法、何て名前なんですか?」
マリア:「あ、そうそう。私も気になってた」
イリーナ:「スーパー・ル・ゥラ?うん、きっとそうよ!」
稲生:「は、はあ……」
マリア:「知らないんですか!」
イリーナ:「何よ?じゃあ、マリアは何て唱えて使ってたわけ?」
マリア:「……ウルトラ・ル・ゥラ」
イリーナ:「〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
マリア:「笑いたかったら素直に笑ってください!知らないから、聞こうと思ったのに!」
稲生:「まあまあ」
[同日12:00.天候:晴 稲生家]
稲生:「……うん、上手く行ったぞ」
稲生は自室に入ると、PCで威吹への報酬と出産祝いを通販サイトで注文した。
もちろん、このサイトから直接魔界へ送れるはずがない。
そこで1度こちら側に送ってもらって、それからエレーナに依頼することとなる。
稲生:「それから……」
稲生は長野までの帰りの足を確保しようと思った。
稲生:「おっ、やった!まださすがにピークじゃないもんな!」
稲生はネットで帰りの高速バスのチケットを購入した。
厳密に言えば、ネット予約しただけ。
稲生は部屋の外に出た。
マリア:「ユウタ、そろそろランチの時間だけど、どうする?」
稲生:「あっと!そう言えばそうですね。先生は?」
マリア:「師匠は昼寝モードに入った。多分、ディナーの時間まで起きそうにない」
稲生:「そうですか。平日昼間は両親もいないからなぁ……。じゃあ、外に食べに行きますか。帰りの高速バスの予約もしたので」
マリア:「そうか。マイケル氏から『新幹線じゃないのか』と言われそうだな」
稲生:「え?何ですか?」
マリア:「え?あれ?私、何か言った?」
稲生:「いや、あの……。新幹線かぁ……」
マリア:「交通手段は全てユウタに一任することになってるんだから、師匠も私も文句を言うつもりは無いよ」
稲生:「そ、そうですね」
マリア:「おっと、交通費か」
稲生:「先生、寝てらっしゃるんでしたら、立て替えて……」
しかしマリアは、2人が客間として借りている一室へ行った。
マリア:「師匠、帰りの交通手段……あっ」
するとテーブルの上に、プラチナカードが置いてあった。
ロシア語のメモがあったが、訳すと、『バス代はこれで』と書かれていた。
稲生:「先生、予知していたんですね」
マリア:「ここまで予知されると、却ってムカつかない?」
稲生:「僕は平気ですけど……。とにかく、行ってみましょう」
マリア:「うん」
2人は外に出た。
7月の暑い日差しが2人を襲う。
マリア:「日本の夏はほんとジメジメしてる」
稲生:「そうですねぇ……」
マリアはブレザーは着ておらず、ブラウスの上から緑色のローブを羽織っている。
ローブは本来防寒着なのだが、魔道師用に作られたそれは防熱の役割も果たす。
マリア:「何食べる?」
稲生:「この近くに回るお寿司があるんで、そこにしましょう」
マリア:「Sushi……?回る……?」
もちろんマリアは寿司を知っているが、お皿に乗った寿司が皿回しのように回っているのを想像した。
稲生:「あ、いや、そういうことじゃないんですよ」
稲生はマリアの顔を見て、明らかに違うことを想像していることに気づいた。
[同日12:30.天候:晴 さいたま市内 某回転寿司店]
お昼時だったので、店内は混んでいた。
少し待たされてから、ようやくテーブル席へ案内される。
マリア:「これは……?」
稲生:「コンベアの上に流れているお皿、自由に取っていいんですよ。もし食べたいものがあって、それがコンベアを流れていない場合、注文することもできます」
稲生が言ってるそばから、テーブル横のレーンを“新幹線”が通過していった。
マリア:「凄いアイディアだ」
稲生:「何か飲みますか?」
マリア:「ビー……あ、いや、お茶でいい」
稲生:「いいんですか?築地で飲み過ぎたことは……」
マリア:「あれはちょっとテンションが上がり過ぎたんだ!」
稲生:「いや、まあ……。あの時のマリアさんもなかなか可愛かったのに……」
マリア:「! ……と、とにかく、昼はアルコールはいい」
稲生:「分かりました。あとは何食べます?」
マリア:「サーモン、エッグ、オクトパス」
稲生:「はいはい」
稲生はピッピッと端末のパネルを操作した。
マリア:「ところで、帰りはバス?いつの?」
稲生:「明後日の土曜日、夜行便です」
マリア:「夜行!」
稲生:「アルピコ交通のそれは期間限定ですからね。今月の下旬くらいになると学校も夏休みになるんで、こうやって直前では取れなくなるでしょうが、今はまだギリギリ取れました」
マリア:「なるほど。……フフッ」
稲生:「何ですか?」
マリア:「いや、ユウタはあの冥鉄暴走電車でだいぶ死闘を繰り広げたっていうから、しばらく夜の交通機関は懲り懲りかなと思っていたんだけど、大丈夫みたいだな」
稲生:「帰りに関しては先生やマリアさんと一緒ですから。……てか、大丈夫ですよね?」
マリア:「私の予知夢ではそういう夢はまだ出てこないし、何より師匠がグースカ寝ている間は大丈夫」
稲生:「分かりやすいバロメーターですよねぇ、あれは……」
稲生達がそんな噂しているものだから……。
イリーナ:「……っクシュ!……うー……」
イリーナはクシャミで目が覚めたという。