報恩坊の怪しい偽作家!

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 実際のものとは異なります。

“Gynoid Multitype Cindy” 「KR団の残党?」

2016-09-12 21:57:26 | アンドロイドマスターシリーズ
[9月1日18:00.宮城県仙台市泉区 仙台学院大学工学部・研究棟]

 ジャニスの頭部から出て来たメモリーチップは、平賀奈津子が解析することにした。
 敷島は恐らくそちらはウィルスに塗れていないだろうと思い、奈津子の方に付いている。
 一緒にいるシンディへの安全確保と、奈津子の安全の確保の為であったのだが……。

 シンディ:「社長、マスターから矢のような催促よ?早いとこ電話寄越せって」
 敷島:「うるさいなー。さっき電話したじゃんかよ。アルエットの修理が終わるのと、こっちの四季エンタープライズさんの混乱が収拾するまで帰れないって」
 シンディ:「ドクター奈津子の近くにいるから、マスターも気が気じゃないんじゃないの?」
 敷島:「いくら俺でも、旧友の奥さんに手ェ出すわけねぇっての」
 シンディ:「いや、マスターが心配されているのはそういうことじゃなく……」

 と、そこへ見た目がアイドルっぽい女子大生が通り掛かる。

 敷島:「あっ、そこのキミ!キミだよ、キミ!ちょっと、お話いいかなー?」
 女子大生:「何ですか?」
 敷島:「あっ、キミ!凄くかわいいねー!?あ、実は私、芸能関係の仕事やってる者でして……。あ、アイドルとか興味無いかなー?もし良かったらさ、ちょっとさちょっとさちょっとさ、場所取ってくるから、ちょっとだけ話聞いてくれるかな?」
 アリス:「シンディ、電流流しておやり!」

 シンディの通信機を通して、敷島のやり取りを聞いていたアリスが怒りの声を上げる。

 シンディ:「かしこまりました、マスター」
 敷島:「な、何だよ!?俺は芸能プロダクションの人間として、新人アイドルのスカウトを……」
 アリス:「タカオの会社はロイド専門でしょ!!」

 大学構内に敷島の叫び声が響き渡ったのは言うまでも無い。
 尚、仙台学院大学は女子大であり、そんな所に敷島が行ったことで、思いっ切りアリスに疑われていたのだった。

 奈津子:「敷島さん、お待たせしました。解析が完了……って、あれ?何で黒コゲなんですかー?」
 シンディ:「マスターのお怒りを買ってしまったので。私が代わりにお話をお伺いします」
 奈津子:「ちょっと、シンディ。あなたもやり過ぎよ?いくら『不死身の敷島』って異名のある人でも、あなたはロイド、この人は人間なんだからね?もうちょっと立場弁えなさい」
 シンディ:「も、申し訳ありません……」
 奈津子:「アリス、あなたももう少し、連れ合いのことを信じて……」
 アリス:「アンタんとこの学生、ナンパしやがって、信じろって方が無理でしょうよ!?」
 奈津子:「敷島さん、うちの大学は敷地内において、サークルなどの大学関係以外の勧誘行為は全て禁止になっていますから、よろしくお願いしますね?」
 敷島:「すいませんでした……」

 最近では顕正会や日蓮正宗法華講、統一教会の出先機関などがシノギを削っているそうである。
 というわけで、善良なる信仰者の皆さんは学内での宗教勧誘はやめましょう。

 奈津子:「それで、解析の結果が出たんですけど……」
 敷島:「是非、教えてください」

[9月1日20:00.天候:晴 宮城県仙台市青葉区 東北工科大学・研究棟]

 またもや大学構内に電流の光と敷島の絶叫が響き渡った。

 平賀:「お?また敷島さん、うちの女子学生スカウトしたな?全く……相変わらずだな」
 エミリー:「シンディに・やり過ぎだと・注意して・おきます」
 平賀:「いや、いいよ。ナツが注意してくれたってさ。ナツに言われて、姉のお前にも言われたんじゃ、シンディも可哀想だろ」
 エミリー:「イエス」
 敷島:「うう……!せっかくAKBに対抗できる逸材を見つけたと思ったのにぃ……!」

 シンディに肩を貸されてやってきた敷島だった。

 平賀:「敷島エージェンシーでは、いつから人間のアイドルも使うようになったんですか?……ってか、対抗相手がAKBって……。せめて、ハロープロジェクトくらいの言葉は出て来ないものですか」
 敷島:「四季エンタープライズに紹介すれば、こちらにも紹介料がドッサリなんですよ」
 平賀:「はあ……。ま、自分は芸能界に関してはズブの素人なもんでね。それより、ナツからジャニスのメモリーの解析結果について聞いたようですね?」
 敷島:「ええ。どうやらやはり、宮城県北部に奴らの秘密基地があるようです」
 平賀:「警察には言いましたか?」
 敷島:「鷲田警視には、結果が出るまで今日一杯かかるから、結果は明日伝えると言ってあります」
 平賀:「ふむ。で、こちらもそれなりの結果が出ましたよ」

 平賀は、厳重な鉄の箱の中に保管されている、件の回収した残骸を指さした。

 平賀:「どうやら、こいつがアルエットを感染させた犯人のようです」

 それは佐久間家の玄関前にあった防犯センサーの残骸だった。
 防犯センサーに見せかけた、ウィルス感染装置だったのである。
 アルエットはそれに気づかずにセンサーに触れてしまい、感染してしまったのだ。

 平賀:「とんでもない装置ですね。もう少し調べる必要がありますが、これは確か佐久間教授の発明品の1つですよ」
 敷島:「ええっ?!」
 平賀:「本来はバージョンなどのテロロボットにこいつを照射して、同士討ちをさせるのを目的とした機械だったはずです。それがどういうわけだか、新しいウィルスに感染させる為の装置に成り果ててしまった。……自分の言ってる意味が分かりますか?」
 敷島:「佐久間教授が、そもそもの黒幕だったということですね?すぐ荒井警部補に連絡しておきます」

 地元警察にとっても、佐久間公男は重要参考人であるという。
 今はまだ精神が不安定な状態で入院中であり、とても事情聴取ができない状態であるとのこと。
 そこで警察としては、できる限り、佐久間公男の病室を見張ることが精一杯であるようだ。
 敷島は自分のスマホを出して、荒井警部補に連絡しておいた。

 平賀:「あと、敷島さんに朗報です」
 敷島:「何ですか?」
 平賀:「このウィルス照射装置によって、こいつがどんなウィルスを放ったのかの解析を進めれば、それに対するワクチンの製作も可能なはず。アルエットの外傷は大したことは無いので、ウィルスさえ駆除できれば、もう修理は終わったようなものです」
 敷島:「つまり、アルエットの修理期間が短縮される可能性があるということですね?」
 平賀:「そんなところです」
 敷島:「それまでに件の秘密基地に乗り込んで、残党をブッ潰してきてやりますよ」
 平賀:「その前に、炎上しているアリスの感情を鎮火させる方が先だと思いますが?」
 敷島:「う……!」
 シンディ:「社長、ウィラーエクスプレスの夜行便、まだ空席あるって」
 敷島:「俺は断じてツアーバスに乗る気は無い!」
 平賀:「法律が変わって、今はツアーバス禁止になったので、全部『高速路線バス』になったはずですが……」

 “バスターミナルなブログ”の管理人さん、ごめんなさい。

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