[9月3日19:22.天候:曇 宮城県栗原市郊外]
県道をひた走る1台のマイクロバス。
それが細倉マインパーク前駅跡に着く。
鷲田:「おう、現れたな」
駅前広場だった所には、1台の乗用車が止まっていた。
そこから降りて来たのは、鷲田警視である。
バスから降りて来たのは敷島。
敷島:「大ボス自らお出迎えとは、珍しいですな。警察の縄張りとやらも、形骸化ですか?」
鷲田:「全く。お前を1度逮捕したくなったよ。……KR団に関してなら、もう地方警察の対応レベルじゃないからな。あのメモリーの解析結果、読ませてもらったよ」
敷島:「ええ。見事なものですよね」
鷲田:「ああ。今は観光坑道として営業している細倉鉱山だが、実はそれより少し北に行った所には別の鉱山会社が運営していた廃坑がある。そちらは交通の便があまりにも悪く、観光にも適さないということで、そのまま放置されている状態だという。そういう所を狙ったと思われるな」
敷島:「では、今から向かいましょう」
鷲田:「うむ」
と、その時、鷲田のポケットからケータイの着信音が鳴った。
鷲田:「ちょっと待ってくれ」
鷲田が出る。
鷲田:「ああ、私だ。……ああ、そうか。やはりな。では我々は、証拠を挙げる努力を行うこととする。幸い、こっちには“捜査協力者”が何人もいるからな。……ああ。ではまた追って連絡する」
鷲田は電話を切った。
敷島:「何か進展がありましたか?」
鷲田:「先ほど、佐久間夫妻を逮捕した。罪状は色々あるが、まあ、KR団の残党に協力した廉だな」
平賀:「あの佐久間先生が……」
敷島:「残党の協力者じゃなくて、残党そのものじゃなかったのかなー?」
鷲田:「だが佐久間博士の自宅は全焼してしまって、証拠が無い。平賀教授が回収した装置だって、単なる佐久間博士の発明品であるなら、何の罪も無いわけだからな」
平賀:「確かに……」
おおかた、佐久間公男が残党で弥生が協力者といったところか。
アリス:「ねえ、ちょっと!」
アリスも車から降りて来た。
因みにマイクロバスはDCJの社用車だが、ただの社用車ではない。
アメリカにあった、『走る司令室』の日本版といった感じになっている。
アメリカのは大型バスを改造したものだが、日本版ではせいぜいマイクロバス改造といったところだ。
運転してきたのは、大型免許持ちの敷島である。
敷島:「どうした?」
アリス:「何か、無線に変な音楽が流れてきたんだけど?」
平賀:「何が?」
エミリーとシンディも、無線通信の周波数と感度を合わせてみた。
すると、そこから聞こえて来たのはピアノ曲。
https://www.youtube.com/watch?v=QORmfyOqyAU
シンディ:「これ、姉さんが弾いてるピアノ曲の1つじゃない?」
エミリー:「あ……」
敷島:「何でそんなもんが、無線から聞こえてくるんだ?」
平賀:「そう言えば自分、この曲は聴いたことが無いぞ。お前が作曲したのか?」
エミリー:「ノー。電気信号の・旋律を・ピアノで・弾いたもの・です」
敷島:「これを送っているのは誰なんだ?」
平賀:「ジャニスはもう壊したはずだから……」
敷島:「ルディか!」
鷲田:「恐らく、現場で待っているから早く来いという意味なんだろうな」
敷島:「そういうことなら、早く行きましょう」
平賀:「何か、罠が待ち受けているような気がするなぁ……」
敷島は運転席に乗り込むと、マイクロバスを出した。
こうしている間もピアノの旋律は続いており、別の曲が流れて来た。
https://www.youtube.com/watch?v=KYWd8f6qsAo
シンディ:「……ボーカロイド」
平賀:「なに?」
https://www.youtube.com/watch?v=39a9Oc9cgB8
シンディ:「ボーカロイドに聴かせれば、何か分かるかもしれないね。実は歌詞が付いていて、聴かせたら歌い出すかもしれないじゃない?」
平賀:「それが答えだというのか。しかし一体、何の?」
エミリー:「シンディ。これらは・全て・ピアノ独奏曲だ。歌詞など・無い」
シンディ:「じゃあ、姉さんは何だって言うの?」
エミリー:「ルディ本人か・分かりませんが・私に・用が・あるのかも・しれません」
平賀:「何だって?」
エミリー:「これらの・ピアノ曲を・弾いたこと・あるのは・私だけ・です」
平賀:「そうかぁ……」
シンディ:「姉さんに用ってなに?」
敷島:「とにかく、今は行ってみるしか無いよ」
[同日20:03.天候:曇 廃坑入口]
敷島:「見えて来たぞ」
ここは宮城県内なのだろうか。
それとも、岩手県?秋田県?
そう思うくらい走って来たような気がした。
とにかく、林道ではないかと思える場所の入口にそれはあった。
鷲田:「ゲートがロックされているな。ま、当たり前か。だが、そのロックの仕方が廃坑らしからぬ仕掛けだ」
敷島:「仕掛け?」
鷲田:「見ろ。入口の鍵がテンキー式の電子ロックになってやがる。番号は分かるのか?」
敷島:「アリス」
アリス:「知らないわよ!」
平賀:「ナツの解析したメモリーには、何も無かったんですか?」
敷島:「無かったなぁ……」
シンディがテンキーに触ってみた。
押すとピッピッと鳴るタイプなのだが、番号によって音階が違う。
エミリー:「……!」
エミリーがそのテンキーの前に立った。
恐らく、このテンキーによって打ち込まれる番号は何の意味も持たないのだろう。
エミリーは全ての番号を押してみて、どの番号がどの音階を出すのかを確認した。
そして……。
敷島:「あのピアノ曲(https://www.youtube.com/watch?v=QORmfyOqyAU)だ」
もちろんピアノは両手で主旋律と副旋律を弾くわけだから、テンキーでは主旋律単体である。
だが、聴けばそれだと分かる。
で、
ピーン♪……カチッ。
敷島:「開いた!」
鷲田:「なるほど。さっきのピアノ曲は、ここを開ける為のヒントだったのか。やはり敵さんは、中で歓迎の準備をして待っているということだな」
鷲田は腕組みをして言った。
敷島:「俺達はここで待機していよう。あとはエミリーとシンディ、アメリカの時のように頼む」
エミリー:「かしこまりました」
シンディ:「了解!」
エミリーとシンディは門の奥に向かった。
鷲田:「やってくれるか、あのロボット達は?」
敷島:「大丈夫ですよ。デイライト・アメリカのアルバート所長と専務の陰謀を暴けたじゃないですか」
鷲田:「ふむ……」
その時、敷島達の頭に水滴が当たった。
それは雨だった。
アリス:「Wow!降って来た!」
敷島:「山の天気は変わりやすいからなぁ……」
平賀:「早く中に入って、彼女らの動きを見てみましょう」
敷島達は日本版『走る司令室』の中に入った。
県道をひた走る1台のマイクロバス。
それが細倉マインパーク前駅跡に着く。
鷲田:「おう、現れたな」
駅前広場だった所には、1台の乗用車が止まっていた。
そこから降りて来たのは、鷲田警視である。
バスから降りて来たのは敷島。
敷島:「大ボス自らお出迎えとは、珍しいですな。警察の縄張りとやらも、形骸化ですか?」
鷲田:「全く。お前を1度逮捕したくなったよ。……KR団に関してなら、もう地方警察の対応レベルじゃないからな。あのメモリーの解析結果、読ませてもらったよ」
敷島:「ええ。見事なものですよね」
鷲田:「ああ。今は観光坑道として営業している細倉鉱山だが、実はそれより少し北に行った所には別の鉱山会社が運営していた廃坑がある。そちらは交通の便があまりにも悪く、観光にも適さないということで、そのまま放置されている状態だという。そういう所を狙ったと思われるな」
敷島:「では、今から向かいましょう」
鷲田:「うむ」
と、その時、鷲田のポケットからケータイの着信音が鳴った。
鷲田:「ちょっと待ってくれ」
鷲田が出る。
鷲田:「ああ、私だ。……ああ、そうか。やはりな。では我々は、証拠を挙げる努力を行うこととする。幸い、こっちには“捜査協力者”が何人もいるからな。……ああ。ではまた追って連絡する」
鷲田は電話を切った。
敷島:「何か進展がありましたか?」
鷲田:「先ほど、佐久間夫妻を逮捕した。罪状は色々あるが、まあ、KR団の残党に協力した廉だな」
平賀:「あの佐久間先生が……」
敷島:「残党の協力者じゃなくて、残党そのものじゃなかったのかなー?」
鷲田:「だが佐久間博士の自宅は全焼してしまって、証拠が無い。平賀教授が回収した装置だって、単なる佐久間博士の発明品であるなら、何の罪も無いわけだからな」
平賀:「確かに……」
おおかた、佐久間公男が残党で弥生が協力者といったところか。
アリス:「ねえ、ちょっと!」
アリスも車から降りて来た。
因みにマイクロバスはDCJの社用車だが、ただの社用車ではない。
アメリカにあった、『走る司令室』の日本版といった感じになっている。
アメリカのは大型バスを改造したものだが、日本版ではせいぜいマイクロバス改造といったところだ。
運転してきたのは、大型免許持ちの敷島である。
敷島:「どうした?」
アリス:「何か、無線に変な音楽が流れてきたんだけど?」
平賀:「何が?」
エミリーとシンディも、無線通信の周波数と感度を合わせてみた。
すると、そこから聞こえて来たのはピアノ曲。
https://www.youtube.com/watch?v=QORmfyOqyAU
シンディ:「これ、姉さんが弾いてるピアノ曲の1つじゃない?」
エミリー:「あ……」
敷島:「何でそんなもんが、無線から聞こえてくるんだ?」
平賀:「そう言えば自分、この曲は聴いたことが無いぞ。お前が作曲したのか?」
エミリー:「ノー。電気信号の・旋律を・ピアノで・弾いたもの・です」
敷島:「これを送っているのは誰なんだ?」
平賀:「ジャニスはもう壊したはずだから……」
敷島:「ルディか!」
鷲田:「恐らく、現場で待っているから早く来いという意味なんだろうな」
敷島:「そういうことなら、早く行きましょう」
平賀:「何か、罠が待ち受けているような気がするなぁ……」
敷島は運転席に乗り込むと、マイクロバスを出した。
こうしている間もピアノの旋律は続いており、別の曲が流れて来た。
https://www.youtube.com/watch?v=KYWd8f6qsAo
シンディ:「……ボーカロイド」
平賀:「なに?」
https://www.youtube.com/watch?v=39a9Oc9cgB8
シンディ:「ボーカロイドに聴かせれば、何か分かるかもしれないね。実は歌詞が付いていて、聴かせたら歌い出すかもしれないじゃない?」
平賀:「それが答えだというのか。しかし一体、何の?」
エミリー:「シンディ。これらは・全て・ピアノ独奏曲だ。歌詞など・無い」
シンディ:「じゃあ、姉さんは何だって言うの?」
エミリー:「ルディ本人か・分かりませんが・私に・用が・あるのかも・しれません」
平賀:「何だって?」
エミリー:「これらの・ピアノ曲を・弾いたこと・あるのは・私だけ・です」
平賀:「そうかぁ……」
シンディ:「姉さんに用ってなに?」
敷島:「とにかく、今は行ってみるしか無いよ」
[同日20:03.天候:曇 廃坑入口]
敷島:「見えて来たぞ」
ここは宮城県内なのだろうか。
それとも、岩手県?秋田県?
そう思うくらい走って来たような気がした。
とにかく、林道ではないかと思える場所の入口にそれはあった。
鷲田:「ゲートがロックされているな。ま、当たり前か。だが、そのロックの仕方が廃坑らしからぬ仕掛けだ」
敷島:「仕掛け?」
鷲田:「見ろ。入口の鍵がテンキー式の電子ロックになってやがる。番号は分かるのか?」
敷島:「アリス」
アリス:「知らないわよ!」
平賀:「ナツの解析したメモリーには、何も無かったんですか?」
敷島:「無かったなぁ……」
シンディがテンキーに触ってみた。
押すとピッピッと鳴るタイプなのだが、番号によって音階が違う。
エミリー:「……!」
エミリーがそのテンキーの前に立った。
恐らく、このテンキーによって打ち込まれる番号は何の意味も持たないのだろう。
エミリーは全ての番号を押してみて、どの番号がどの音階を出すのかを確認した。
そして……。
敷島:「あのピアノ曲(https://www.youtube.com/watch?v=QORmfyOqyAU)だ」
もちろんピアノは両手で主旋律と副旋律を弾くわけだから、テンキーでは主旋律単体である。
だが、聴けばそれだと分かる。
で、
ピーン♪……カチッ。
敷島:「開いた!」
鷲田:「なるほど。さっきのピアノ曲は、ここを開ける為のヒントだったのか。やはり敵さんは、中で歓迎の準備をして待っているということだな」
鷲田は腕組みをして言った。
敷島:「俺達はここで待機していよう。あとはエミリーとシンディ、アメリカの時のように頼む」
エミリー:「かしこまりました」
シンディ:「了解!」
エミリーとシンディは門の奥に向かった。
鷲田:「やってくれるか、あのロボット達は?」
敷島:「大丈夫ですよ。デイライト・アメリカのアルバート所長と専務の陰謀を暴けたじゃないですか」
鷲田:「ふむ……」
その時、敷島達の頭に水滴が当たった。
それは雨だった。
アリス:「Wow!降って来た!」
敷島:「山の天気は変わりやすいからなぁ……」
平賀:「早く中に入って、彼女らの動きを見てみましょう」
敷島達は日本版『走る司令室』の中に入った。
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