[6月14日10時00分 天候:晴 静岡県富士宮市山宮 ファミリーマート富士宮山宮店]
店の外では、一服しながらパールがどこかに電話していた。
そして、電話口で何か口論している。
私がそんな彼女に近づくと、パールが私に気づいた。
パール「愛原先生が戻って来たから切るから!首を洗って待っていろ!」
ピッと電話を切る。
愛原「おい、何の騒ぎだ?」
パール「申し訳ございません。アンバーがフザけた事を言ってきたので、言い返してやったところです」
愛原「まさか、『やっぱ今日は無理だから、出直して来て』なんて言って来たんじゃ?」
パール「いえ、そこまでフザけたことを言うのであれば、私がズタズタに切り裂いて、富士山の山奥に埋めておきます」
リサ「あっ、わたしが食べていい!?」
パール「結構ですよ。でも、骨までは食べられないでしょう?」
リサ「そうだねぇ……」
パール「骨を埋めるのを手伝ってくださいね」
リサ「分かったー!」
愛原「でも実際は違うんだろ!?実際は何だって!?」
パール「アンバーは先生が単独で来られると思っていたそうです。それが私から連絡をしたものですから、それで不審に思ったそうですね。『何でパールが来るの?意味分かんないんですけど~?』とか、『パールが来るなら案内してやんない』とか言いやがりましたので」
愛原「ガキのケンカか!アンバーって、キミより年上なんだよな!?」
パール「アラサーのオバハンですよ。『愛原先生、素敵な人そうね』とか言ってたので、協力的だと思ってましたのに!あんなフザけた女だったとは!」
するとリサ、私の腕にしがみ付いてくる。
リサ「ほんとフザけてるよね!先生はわたしのモノなのに!」
パール「帰りましょうか?」
リサ「帰ろ帰ろ!」
愛原「いや、待て、お前ら!このまま帰ったら、今度は善場係長に殺されるぞ!」
パール「あ……」
リサ「あ……」
愛原「分かったら前進あるのみだ!分かったか!?」
パール「先生の御命令は……」
リサ「絶対……」
リサはそそくさとリアシートに乗り込んだ。
リサ「うわ、車暑い!」
パール「すぐにエンジンを掛けます」
パールは運転席のドアを開けてエンジンを掛けた。
愛原「パールもちょっと休憩したらどうだ?トイレとか、タバコの補給とか……」
パール「はい、そうさせて頂きます」
パールは車から降りて、コンビニの中に入って行った。
と、今度は私のスマホに着信が入る。
リサ「ム!?」
愛原「あー……アンバーだ……」
リサは鬼形態に戻る
愛原「はい……もしもし?」
リサ、赤い瞳をボウッと光らせて、後ろから私を監視していた。
アンバー「愛原先生、お疲れ様ですぅ~!何でパールなんか連れてきやがったんですかぁ~?温厚な私でも、さすがにブチギレですよぉ~?」
愛原「それは申し訳ない。パールは今、うちの探偵事務所のスタッフなんだ。今回行く所はどうも危険な所っぽいからね。パールの攻撃力は、キミも知っているだろう?護衛にいいんじゃないかと思ってさ……」
アンバー「護衛なら、ガイドの私がさせて頂きますよぉ~?」
愛原「それは頼もしい。だが、ここまで来てしまったものはしょうがないだろう?ここは1つ、私に免じて収めてくれないか?」
アンバー「も~、しょうがないですねぇ~……!」
愛原「ところで、スリーサイズを教えてくれる約束なんだけど……」
アンバー「ここまで来てくれたら、お教えしますわぁ~」
リサ「ム!」
バリバリバリバリバリバリバリバリ
愛原「ぎゃあああああっ!!」
リサ「2度と掛けてくんなっ!!」
リサは私に電撃を放つと、スマホを奪い取って電話を切った。
[同日10時30分 天候:晴 静岡県富士宮市某所 斉藤家隠し別荘]
パール「先生、着きましたよ。起きてください」
愛原「んん……」
私はリサからの電撃を食らって意識を無くしていたようだ。
愛原「着いたのか?」
パール「はい。何しろ、ナビですら、途中までしか案内できないほどでして……」
愛原「そうか」
車から降りると、目の前には廃墟の建物があった。
それでも、別荘地としては良い場所だったのだろう。
背後には富士山が聳え立っているのが見えるし、反対側を見れば、富士宮の市街地が遠くに見える。
きっと夜は夜景が綺麗なのだろう。
にも関わらず、ここが別荘地として整備されなかったのは不思議だ。
愛原「別荘地としては、良い場所だな。しかし実際に建ってるのは、斉藤家の隠し別荘だけだ。これは一体、どういうことだろう?」
アンバー「大日本製薬が、保養所にする為に土地を購入したのですが、頓挫してこのままなんですよ~」
愛原「あっ!?」
その時、聞き覚えのある声が建物の中から聞こえて来た。
ドアを内側から開けたのは、メイド服姿の女。
髪を金色に染め、2つ結びにしている。
愛原「えーと……アンバーさんかな?」
アンバー「はい。アンバーでございますぅ~。以後、お見知りおきを」
パール「先生。あの、ゆるふわセリフに騙されないでくださいね?メイドカフェのメイドが、『お帰りなさいませ、御主人様』と言うのと同じです」
愛原「あ、ああ」
とはいうものの、確かにスリーサイズはパールやリサより大きそうだ。
さすがは、ここにいる女達の中では最も年上だ。
身長はパールより低いがな。
まあ、パール自身が170cmちょいくらいあるからしょうがないが。
それでも、私と同じくらいの身長(165cm)はあるのか?
パールは腰にミリタリーナイフなどを下げ、リサは荷物の中から金棒を取り出した。
私はハンドガンとショットガン。
アンバー「……随分、物々しい装備でございますのねぇ~……」
愛原「一応、念の為だ。何しろ、“コネクション”のお宝が眠ってるかもしれないんだからな」
パール「愛原先生はお忙しいの。さっさと案内して」
リサ「先生、今度あいつのスリーサイズ聞いたら、この金棒で百叩きの刑だからね?」
愛原「はい……」
アンバー「皆さん、楽しそうで羨ましい……」
パール「でしょ?さっさと案内して」
アンバー「相変わらず、気が短い女ねぇ……」
パール「正当防衛性を確保する為に、呑気に被害者サイドになるのを待つ方がおかしいの!」
愛原「アンバー。こっちは準備万端だ。案内の方、よろしく頼む」
アンバー「かしこまりました~。どうぞ、中へ~」
アンバーは木製のドアを開けた。
思わず、『お邪魔します』という言葉が出て来るほどの丁寧な対応だ。
そこは本当に元メイドだったのだろう。
で、肝心の中はどうだったのかというと……。
①荒れ果てていた。
②綺麗に片付けられていた。
店の外では、一服しながらパールがどこかに電話していた。
そして、電話口で何か口論している。
私がそんな彼女に近づくと、パールが私に気づいた。
パール「愛原先生が戻って来たから切るから!首を洗って待っていろ!」
ピッと電話を切る。
愛原「おい、何の騒ぎだ?」
パール「申し訳ございません。アンバーがフザけた事を言ってきたので、言い返してやったところです」
愛原「まさか、『やっぱ今日は無理だから、出直して来て』なんて言って来たんじゃ?」
パール「いえ、そこまでフザけたことを言うのであれば、私がズタズタに切り裂いて、富士山の山奥に埋めておきます」
リサ「あっ、わたしが食べていい!?」
パール「結構ですよ。でも、骨までは食べられないでしょう?」
リサ「そうだねぇ……」
パール「骨を埋めるのを手伝ってくださいね」
リサ「分かったー!」
愛原「でも実際は違うんだろ!?実際は何だって!?」
パール「アンバーは先生が単独で来られると思っていたそうです。それが私から連絡をしたものですから、それで不審に思ったそうですね。『何でパールが来るの?意味分かんないんですけど~?』とか、『パールが来るなら案内してやんない』とか言いやがりましたので」
愛原「ガキのケンカか!アンバーって、キミより年上なんだよな!?」
パール「アラサーのオバハンですよ。『愛原先生、素敵な人そうね』とか言ってたので、協力的だと思ってましたのに!あんなフザけた女だったとは!」
するとリサ、私の腕にしがみ付いてくる。
リサ「ほんとフザけてるよね!先生はわたしのモノなのに!」
パール「帰りましょうか?」
リサ「帰ろ帰ろ!」
愛原「いや、待て、お前ら!このまま帰ったら、今度は善場係長に殺されるぞ!」
パール「あ……」
リサ「あ……」
愛原「分かったら前進あるのみだ!分かったか!?」
パール「先生の御命令は……」
リサ「絶対……」
リサはそそくさとリアシートに乗り込んだ。
リサ「うわ、車暑い!」
パール「すぐにエンジンを掛けます」
パールは運転席のドアを開けてエンジンを掛けた。
愛原「パールもちょっと休憩したらどうだ?トイレとか、タバコの補給とか……」
パール「はい、そうさせて頂きます」
パールは車から降りて、コンビニの中に入って行った。
と、今度は私のスマホに着信が入る。
リサ「ム!?」
愛原「あー……アンバーだ……」
リサは鬼形態に戻る
愛原「はい……もしもし?」
リサ、赤い瞳をボウッと光らせて、後ろから私を監視していた。
アンバー「愛原先生、お疲れ様ですぅ~!何でパールなんか連れてきやがったんですかぁ~?温厚な私でも、さすがにブチギレですよぉ~?」
愛原「それは申し訳ない。パールは今、うちの探偵事務所のスタッフなんだ。今回行く所はどうも危険な所っぽいからね。パールの攻撃力は、キミも知っているだろう?護衛にいいんじゃないかと思ってさ……」
アンバー「護衛なら、ガイドの私がさせて頂きますよぉ~?」
愛原「それは頼もしい。だが、ここまで来てしまったものはしょうがないだろう?ここは1つ、私に免じて収めてくれないか?」
アンバー「も~、しょうがないですねぇ~……!」
愛原「ところで、スリーサイズを教えてくれる約束なんだけど……」
アンバー「ここまで来てくれたら、お教えしますわぁ~」
リサ「ム!」
バリバリバリバリバリバリバリバリ
愛原「ぎゃあああああっ!!」
リサ「2度と掛けてくんなっ!!」
リサは私に電撃を放つと、スマホを奪い取って電話を切った。
[同日10時30分 天候:晴 静岡県富士宮市某所 斉藤家隠し別荘]
パール「先生、着きましたよ。起きてください」
愛原「んん……」
私はリサからの電撃を食らって意識を無くしていたようだ。
愛原「着いたのか?」
パール「はい。何しろ、ナビですら、途中までしか案内できないほどでして……」
愛原「そうか」
車から降りると、目の前には廃墟の建物があった。
それでも、別荘地としては良い場所だったのだろう。
背後には富士山が聳え立っているのが見えるし、反対側を見れば、富士宮の市街地が遠くに見える。
きっと夜は夜景が綺麗なのだろう。
にも関わらず、ここが別荘地として整備されなかったのは不思議だ。
愛原「別荘地としては、良い場所だな。しかし実際に建ってるのは、斉藤家の隠し別荘だけだ。これは一体、どういうことだろう?」
アンバー「大日本製薬が、保養所にする為に土地を購入したのですが、頓挫してこのままなんですよ~」
愛原「あっ!?」
その時、聞き覚えのある声が建物の中から聞こえて来た。
ドアを内側から開けたのは、メイド服姿の女。
髪を金色に染め、2つ結びにしている。
愛原「えーと……アンバーさんかな?」
アンバー「はい。アンバーでございますぅ~。以後、お見知りおきを」
パール「先生。あの、ゆるふわセリフに騙されないでくださいね?メイドカフェのメイドが、『お帰りなさいませ、御主人様』と言うのと同じです」
愛原「あ、ああ」
とはいうものの、確かにスリーサイズはパールやリサより大きそうだ。
さすがは、ここにいる女達の中では最も年上だ。
身長はパールより低いがな。
まあ、パール自身が170cmちょいくらいあるからしょうがないが。
それでも、私と同じくらいの身長(165cm)はあるのか?
パールは腰にミリタリーナイフなどを下げ、リサは荷物の中から金棒を取り出した。
私はハンドガンとショットガン。
アンバー「……随分、物々しい装備でございますのねぇ~……」
愛原「一応、念の為だ。何しろ、“コネクション”のお宝が眠ってるかもしれないんだからな」
パール「愛原先生はお忙しいの。さっさと案内して」
リサ「先生、今度あいつのスリーサイズ聞いたら、この金棒で百叩きの刑だからね?」
愛原「はい……」
アンバー「皆さん、楽しそうで羨ましい……」
パール「でしょ?さっさと案内して」
アンバー「相変わらず、気が短い女ねぇ……」
パール「正当防衛性を確保する為に、呑気に被害者サイドになるのを待つ方がおかしいの!」
愛原「アンバー。こっちは準備万端だ。案内の方、よろしく頼む」
アンバー「かしこまりました~。どうぞ、中へ~」
アンバーは木製のドアを開けた。
思わず、『お邪魔します』という言葉が出て来るほどの丁寧な対応だ。
そこは本当に元メイドだったのだろう。
で、肝心の中はどうだったのかというと……。
①荒れ果てていた。
②綺麗に片付けられていた。
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