報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「大宮に泊まる」

2024-12-16 16:44:57 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[6月14日22時45分 天候:雨 埼玉県さいたま市大宮区宮町 イージーステイ大宮]

 電話を終えた私達は、宿泊先へと向かった。
 外は雨が本降りになってきた上、傘は持っていなかったが、幸い宿泊先はアーケード街の中にあり、濡れたのはその外側にいる時だけだった。
 途中にあるコンビニにリサが寄りたがったので、そこに立ち寄らせてやる。

 愛原「多分、アメニティーとか、食べ物とか、中にあると思うぞ?」
 リサ「ちょっとね……」

 宿泊先は漫画喫茶に併設されていた。
 当然ながら、24時間営業である。

 スタッフ「男性1名様、女性2名様のご利用ですね?」
 愛原「はい」

 初めて利用するということもあって、スタッフが丁寧に館内のことについて説明してくれる。

 愛原「1泊で予約したんだけど、連泊したい場合は、できますかね?」
 スタッフ「はい。部屋が空いていれば可能です。今ですと……まだ、チェックインして頂くお部屋そのままで連泊が可能ですが、お取りしますか?」
 愛原「お願いします」
 リサ「先生?」
 愛原「善場係長の指示が無いことには、俺達も動けんよ。いいか?指示があるまでは、ここから出ないように。分かったな?」
 パール「承知致しました」

 カードキーを受け取る。
 男性専用エリアは2階とのことで、パールやリサとは、ここでお別れとなる。
 但し、イートインコーナーは共有スペースなので、そこで落ち合うことは可能だろう。
 私は荷物を持って2階に上がった。
 エレベーターは無いので、階段で上がることになる。
 新しい施設だからなのか、カプセルは広めである。
 小さな荷物なら、そのままカプセル内に持ち込めるほど。

 愛原「ふう……」

 このまま眠りたいところだが、さすがに緊張で変な汗とかかいてしまったし、シャワーくらいは浴びないとな。
 アメニティーの中には館内着もあるので、これに着替えて館内を過ごすことができる。
 スマホを見たが、善場係長からの着信は無かった。
 まさか本当に逮捕されてしまったのだろうか?
 本当に、今何が起きているのか分からない状態である。
 私はカプセルの中で館内着に着替えた。
 急な泊まりの為、換えの下着も1着は持って来ているようにしている。
 今回はそれで正解だったようだ。
 ただ、もう1泊するとなると、選択が必要だ。
 幸いここにはコインランドリーがあるようなので、そこで洗濯は可能だ。
 リサ達にも、グループLINEでそれを伝えておいた。
 まあ、疲れたので、洗濯は明日しよう。
 明日、何か動きがあるかもしれないし。
 財布などの貴重品は、カプセル内の金庫に入れ、アメニティの袋に入っていたタオルなどを持って、シャワー室に向かう。
 移動の際もカードキーが必要とのことで、それは忘れずに持って行く。
 因みにカプセルの出入口はカーテンなので、鍵は無い。

[同日23時30分 天候:雨 同地区内 イージーステイ大宮]

 シャワー室は広く、16ものブースがあった。
 ボディソープやシャンプーなども備え付けられていて、それで体を洗うことができた。
 あとは歯磨きをして、取りあえず寝るとしよう。
 リサには、BSAAのGPSを切るように言ってある。
 これはBSAAに対する反逆行為と取られかねないが、そもそも偽情報で私達を捕まえようとしているBSAAに居場所を教えるわけにはいかない。
 当然、アプリもアンインストールだ。
 部屋に戻る前に、自販機コーナーで水のペットボトルを買っておいた。
 カプセルホテルとネットカフェは空間が別々になっていて、そこを行き来するのには、専用のカードキーを使わないといけない。
 ではカプセルホテル利用者は、一切マンガが読めないのかというと、そうでもない。
 カプセルが並んでいるエリアにも、そこかしこにマンガが入った棚が置かれており、また、自販機コーナーも、自販機の数より、マンガの本棚の方が主張が強いくらいだ。
 それでも足りない場合は、ネットカフェエリアのマンガも読んで良いとのこと。
 私は明日、持ち込んだノートPCで仕事をするつもりだが、リサ達にはマンガの読破で時間を潰してもらうしかない。
 あとはWiFiも飛んでるから、手持ちのスマホで過ごしてもらうか。
 コンセントはカプセル内にもあるし、テレビもある。

 リサ「先生、明日は何時に起きればいい?」

 部屋に戻ってスマホを確認すると、リサからLINEが来ていた。
 私は、『何時でもいい。善場係長から連絡が来るまで、明日もここで過ごすことになる。マンガ読むか、スマホやるか、テレビ観るか、好きに過ごしてくれ』と、答えておいた。
 するとリサは、イートインスペースのカレーをもう食べたのか、それが美味かったと回答してきた。
 宿泊者は、イートインスペースにある食べ物は基本的に無料で食べ放題とのことだ。
 早めに夕食を食べてしまったので、やや小腹が空いている感があったが、それ以上に疲れていたので、今夜はもう寝ることにした。
 最後に善場係長には、『いつでも連絡お待ち申し上げております』と、メールを送っておいた。

[同日08時10分 天候:雨 イージーステイ大宮2階・カプセルホテル]

 愛原「んん……」

 緊張の為か、夜中に2~3回ほど起きた。
 次に目が覚めた時には、8時を回っていた。
 どうやら、周囲の宿泊客がチェックアウトの為にワサワサしており、それで目が覚めたらしい。
 個室ではないので、どうしてもそうなる。
 気になる場合は、耳栓とかが必要になるのだろう。
 まあ、そこそこ眠れたので良しとしよう。
 枕元に置いたスマホを見ると、メール着信があった。
 だが、メールは仕事関係の物と、通販サイトからのダイレクトメール、そして上野利恵からの物が1通あるだけで、善場係長からのメールや着信は無かった。
 利恵のメールを見ると、『秋田の太平山家の方より、リサさんの個人情報を教えろと来たのですが、どうされますか?』とのことだった。
 どうやら、リサに関心を寄せている鬼の男だろう。
 太平山美樹の親戚筋と思われる。
 なので私は、『太平山美樹というコが、リサと知り合いのようなので、そのコに聞いてくれと伝えて』と返信しておいた。
 あとはリサからのLINE。
 リサも起きたようで、『一緒に朝ご飯食べよう!』と誘って来た。
 私は顔を洗ってから、そうすると返信しておいた。

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