報恩坊の怪しい偽作家!

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 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「八王子で過ごす」 6

2024-10-09 11:45:25 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[5月14日18時00分 天候:晴 東京都八王子旭町 京王プラザホテル八王子・客室フロア]

 昼食が終わると善場係長はホテルから出て行き、私達も部屋に戻った。
 私はそれから部屋に持ち込んだノートPCをWiFiに接続して、メールの作成。
 顧客の皆様方に、諸事情から休業させて頂くというお知らせの作成と、探偵業協会へその旨の連絡。
 まあ、日曜日だから、返信が付くのは明日だろうがな。
 詳細は明日、高橋に……あ、いや、高橋もいないのか。
 パールに任せておこう。
 表向きには私に脳の病気が見つかり、それで緊急に手術を行うことになったと。
 初期の段階で見つかったということもあり、今すぐ手術をすれば、特に命に問題は無いとのことと、そういう説明で行こうと思う。
 メールの送信が終わった後は暇になったので、ちょっと昼寝。
 リサ達は今、部屋で勉強しているだろうから、遊びに行けば相手にしてくれるだろうが、テスト勉強の邪魔をしてはいけない。
 レイチェルは帰国後どうなるのか不明だが、リサは大学受験が控えている。
 BSAAの養成学校は5年制という、日本で言えば高等専門学校のような所であり、帰国後はそちらに復学して、BSAAの正規隊員となる為の訓練を積んでいくらしい。

 愛原「あー、もしもし」

 私は夕食時になって、隣のリサ達の部屋に内線電話を掛けた。

 リサ「先生!ちょうど夕ご飯どうするか聞こうと思ってたの!」
 愛原「ああ、それな。善場係長から、ホテルから出るなって言われてるから、ここのレストランで何か食べよう」
 リサ「やった!」
 愛原「これから、そっちに行くから」
 リサ「ドレスコードある?」
 愛原「ちゃんとした服であれば、私服でもいいよ」

 そういう私だって、今はワイシャツとズボンだけである。

 愛原「じゃ、そっちに行くから」
 リサ「オッケー」

 私は電話を切った。
 そして財布やスマホだけを持って、部屋を出る。
 もちろん、カードキーを持って行くのも忘れない。
 リサ達の部屋はすぐ隣なので、すぐにインターホンを押せた。

 レイチェル「はい、どうぞ」

 レイチェルがドアを開けてくれた。
 だが、何か様子がおかしい。

 リサ「じゃあ、行こうか!」

 確かに、リサは『服』を着ていた。
 着ていたのだが……。

 

 リサ「ん、なに?どうしたの?ちゃんと服着てるよ?」
 愛原「ちょっと待てーい!お前ら、その恰好で行く気か!?」
 リサ「ちゃんと服着てるよ?」

 リサは何食わぬ顔である。

 

 レイチェルも、学校用のブルマを穿いて大きなお尻を包み隠していた。

 愛原「そういうことじゃねぇ!」
 レイチェル「ですよね。私もこれは違うのではと思いました」
 愛原「私服か制服に着替えろ!全く!」
 リサ「先生、気に入ってくれると思ったんだけどな……」
 愛原「そういう恰好は、家か学校だけでするんだ!……まあ、部屋の中だけとかでもいいけど!外には着て行かない!」
 リサ「ホテルの外に行くわけじゃないでしょ?」
 愛原「部屋の外だっつってんだろ!」
 レイチェル「すぐ着替えます。リサも早く。これ以上の引き延ばしは、センセイのお怒りを買うだけです」
 リサ「分かったよぉ……!」

 2人とも、いきなり脱ぎ始めた。

 愛原「だーっ!いきなり脱ぐな!」
 レイチェル「スポーツインナーですから、大丈夫ですよ」

 確かにレイチェル、体操服の下にはナイキのスポブラとショーツを穿いているが。

 愛原「そういう問題じゃねぇ!リサも!」
 リサ「カルバンクラインだから大丈夫だよ?」
 愛原「そういう問題じゃねぇ!」

 恥じらいの無いアメリカ人と、日本人の鬼型BOWに、私の血圧も上がるのだった。

[同日18時30分 天候:晴 同ホテル15階・日本料理『みやま』]

 結局、2人が私服に着替える為に、30分ほど時間をロスしてしまった。
 エレベーターで最上階に上がる。

 リサ「日本料理かぁ……。あんまり肉は無さそうだね」
 愛原「明日から手術の俺に、重い物を食わせる気か」
 リサ「頭の手術だから、お腹は関係無いんじゃ?」
 愛原「オマエに合わせてばっかりだと、胃もたれしてしょうがない」
 リサ「生魚はレイチェルも苦手だよ?」
 レイチェル「今は大丈夫ですよ」
 愛原「何も、生魚だけ食うわけじゃない。肉は少ないが、腹は一杯になると思うぞ?」
 リサ「そうかなぁ……」

 そもそも昼間だって、牛肉がゴロゴロ入ったビーフカレーを食べたというのに。
 特に運動しているわけじゃないから、そんなに腹が減ってるわけでもないしな。
 レイチェルは分からんが、リサは特別だ。
 店内に入ると、ボックス席へ通された。
 あいにくと窓側のテーブル席は埋まっていて、そこへは案内されなかった。
 しかしレイチェルに言わせると、例え最上階でも、スナイパーが狙撃してくる恐れがあるので、窓側はオススメできないという。
 その為、私は通路側ではなく、壁側に座らされた。
 隣の通路側にリサ、その向かいにレイチェルという形でガッツリガードされている。

 愛原「俺は松花堂にしようと思うんだ」
 レイチェル「ショーカドー?」
 愛原「この写真の通り、格子状に区切った重箱に、料理を分けて入れること」
 レイチェル「Hum Hum...」
 リサ「なるほどねぇ……肉は無いねぇ……」
 愛原「オマエ、Gウィルスとしては、腹一杯になればそれでいいんだろ?」
 リサ「そうだけどねぇ……」
 レイチェル「私は興味があるので、センセイと同じ物で」
 リサ「じゃあ、わたしもw」
 愛原「おいw」

 私達は松花堂を3つ頼んだ。
 ドリンクについては、私はビール。
 あとの2人はソフトドリンク。

 愛原「はー……これが最後の晩餐になるのか……」
 リサ「何言ってるの?簡単な手術なんでしょ?」
 愛原「どうかな?」

 外が暗くなる度に不安が増す。
 何しろ、頭の手術だからな……。
 先にビールが来た。

 リサ「先生、取りあえず飲んで、心配無くそうよ!」
 レイチェル「そうですよ。ここでセンセイが不安に駆られたら、リサも心配になります」
 愛原「そ、そうだったな。気をつけよう」

 私はリサにビールを注いでもらって、それをまずは飲んだ。

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