報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「八王子へ向かう」

2024-10-02 15:06:34 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[5月13日17時00分 天候:晴 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家→日本交通車内]

 リサ「タクシー来たよ」
 愛原「ああ」

 デイライトの白峰氏が退出した後、私達は急いで出発の準備を行った。
 高橋とパールの部屋に行くと、もぬけの殻となっていた。
 ただ、部屋が荒れている。
 これは恐らく、高橋が連行される時に抵抗したりしたのだろう。
 白峰氏が持って来た映像データにも、それは記録されていた。
 あの暴れ振りは公務執行妨害モノだが、『病気だから』という理由で立件はされないかもしれない。
 いずれはここも、家宅捜索とかされるのだろうか。
 リサは制服を着ていた。
 明後日の月曜日、宿泊先から直接学校へ向かう為である。
 戸締りを確認した後、私は大きなキャリーケースを、リサはボストンバッグを手に家を出た。

 

 愛原「愛原です」
 運転手「愛原様ですね。どうぞー」

 運転手が降りてきて、リアドアとハッチを開けてくれる。
 私とリサは、後ろにキャリーケースとボストンバッグを乗せた。
 それから、タクシーに乗り込む。

 愛原「東京駅の丸の内南口まで、お願いします」
 運転手「かしこまりました」

 タクシーが走り出す。

 リサ「今日は中央線で行くんだ?」
 愛原「ああ。向こうの宿泊先が、京王よりJRの方が近いもんでね。レイチェルも、東京駅まで来てもらうことになった」
 リサ「中目黒から東京駅までかぁ……」
 愛原「霞ケ関か、銀座で丸ノ内線に乗り換えればいいんだよ」
 リサ「そうかぁ……」

 目当ての“京王ライナー”の席が取れなかったというのは内緒。
 まあ、たまにはJRで行くのも悪くないだろう。

 リサ「ミキから連絡があってね」
 愛原「秋田の太平山美樹か」
 リサ「そう。無事に帰ったらしいんだけど、『東京にも鬼がいる』と話したら、向こうの家の人達、大騒ぎになったんだって」
 愛原「え、何で?」
 リサ「まさか、東京にもいるとは思ってなかったみたいだよ」
 愛原「鬼どころか、様々な魑魅魍魎が人の姿に化けて暮らしてるかもしれん町だぞ?」
 リサ「まあ、それは有り得ると思う。でね、ミキが東京の大学に行きたいって言ったら、それでOKになったんだって」
 愛原「リサをダシにして、東京の大学に通わせてもらうとは……」
 リサ「だから、今度はわたしが進学先を決めないと」
 愛原「絵恋は死んでしまった。今度はミキと仲良くして、東京中央学園に行ったら?」
 リサ「うーん……」
 愛原「どっちみち、レイチェルは高校を卒業したら、アメリカに帰国することになる。お前もお前で、監視強化期間を外れる」

 18歳を過ぎたら、リサは暴走の危険性が低下したと見なされ、監視役が『常時1人以上』から『常時遠隔監視』に緩和される。
 今現在では単独行動が許されている通学以外、プライベートでは私が、学校ではレイチェルがリサを監視することになる。
 デイライトの職員でもOK。
 それが10月の誕生日を迎えて18歳になると、正式にはBSAAのアプリによる監視のみで良くなる。
 実際はデイライトが、『来年3月31日まで延長』という取り決めにしているが。
 BSAA的には今年の10月1日でOKということだ。
 リサの人間としての誕生日は不明であるが、リサが日本版リサ・トレヴァー『2番』として生まれたのが10月1日という記録が残っている為、便宜上、今のリサの誕生日を10月1日としている。

 愛原「つまり、大学生になれば、更に自由の身ということだ。ミキは陽キャみたいだが、悪ささえしなければ、別にいいよ」
 リサ「そうだねぇ……。むしろ、わたしがミキを監視した方がいいかもね」
 愛原「ん?どういうことだ?」
 リサ「私は元人間。ミキは……生粋の鬼だってことだよ」
 愛原「元人間という点は、上野利恵も変わらないはずだが……」
 リサ「違う違う。そうじゃないの」

 結局リサは、詳しいことについては教えてくれなかった。

 リサ「確証はまだ無いから」

 という理由で。

[同日17時15分 天候:晴 東京都千代田区丸の内 JR(東日本)東京駅・丸の内南口]

 タクシーは無事に東京駅丸の内南口に着いた。
 私はデイライトからもらったタクシーチケットで、タクシー料金を支払った。
 その間、リサが先に降りて、ハッチから荷物を下ろしている。
 ボストンバッグはプライベート用ではなく、学校用のものだ。
 何か大きな荷物を運搬するのに使う用らしいが、修学旅行では使わなかった。
 逆に今、使っている。

 運転手「ありがとうございました」
 愛原「どうもお世話様ー」

 私達はタクシーを降りると、それぞれ荷物を持って、東京駅の中に入って行った。

 レイチェル「愛原センセイ、リサ、こんにちは」
 愛原「何か、写真撮ってたな?」
 レイチェル「はい。ステンドグラスが素敵です」
 愛原「ああ。ちょうどこの辺りは、東京ステーションホテルがあるんだったか。ちょっとしたオペラハウスみたいだな」
 リサ「泊まれるの?」
 愛原「泊まれるけど、クッソ高いぞ。まだ、これから泊まるホテルの方が安いかもな?」
 リサ「そんなに!?」

 私はキップ売り場の方に行くと、そこで3人分のキップを買い求めた。
 もちろん、八王子までだ。

 リサ「キップなんだ?」
 愛原「デイライトさんが、費用は全部持ってくれるって言ったろ?」

 領収証ボタンを押して、領収証を発行する。
 もっとも、領収証もキップと同じ券面に印刷されたものだった。
 先ほどのタクシーチケットの控えと領収証と同様、後でデイライトに提出して精算することになる。

 愛原「それじゃ行くか。トイレとか大丈夫?」
 リサ「うん、大丈夫」
 レイチェル「大丈夫です」

 喫煙者がいないから、喫煙時間の確保とか無いから楽だな。
 私達は改札口を通過して、中央線ホームに向かった。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« “私立探偵 愛原学” 「急展... | トップ | “私立探偵 愛原学” 「八王... »

コメントを投稿

私立探偵 愛原学シリーズ」カテゴリの最新記事