報恩坊の怪しい偽作家!

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 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「八王子で過ごす」 4

2024-10-08 16:31:21 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[5月14日12時00分 天候:晴 東京都八王子市旭町 京王プラザホテル八王子・2階ロビーラウンジ]

 昼食の時間になったが善場係長は帰らず、1階のロビーラウンジに移動した。
 そこで昼食を御馳走してくれるという。

 愛原「……結構高いですよ?」
 善場「ホテルですからね」
 愛原「本当にいいんですか?」
 善場「所長の頭に埋め込まれているチップ。これを解析すれば、一気に解決するかもしれないのです」
 愛原「それほどまでに重要なら、私はここにいない方がいいんじゃ?」
 善場「いいえ、大丈夫ですよ。私共に御協力頂いている間は……」
 愛原「はあ……」
 善場「リサ達もいますしね」
 リサ「わたしの護衛に任せて!今夜はわたし、先生の部屋で『裸の護衛』を……でへへへ……
 善場「そういうのは18歳になるか、高校を卒業してからにしましょうね」
 リサ「! それならいいんだ?」
 善場「まあ、法律上は問題無くなります」
 愛原「えーと……ホテルと言えば、カレーですかな……」
 リサ「おっ、いいね!」

 私とリサはビーフカレーのセットを希望した。
 カレーにはサラダがセットで付いてくるらしい。

 善場「コーヒーか紅茶が付けられるようですよ。いかがですか?」
 愛原「あー……じゃあ、コーヒーでお願いします」
 リサ「じゃあ、わたしも」

 レイチェルはラザニアを希望し、善場係長はミックスサンドイッチを注文した。
 ラザニアはイタリア料理だが、アメリカでも一般的な料理であり、アメリカ人のレイチェルにとっては、カレーライスよりもラザニアの方が馴染みがあるのだろう。

 愛原「あの……係長」
 善場「何でしょうか?」
 愛原「高橋の罪、どれくらいになるのでしょうか?」
 善場「余罪の有無について調べる必要がありますね。もしも余罪があるようでしたら、そちらも加算しなければなりません」
 愛原「あの……高橋に弁護士を付けてあげたいのですが……」
 善場「それに関しても、国選弁護人が付きます」
 愛原「私の費用……私選弁護人を付けてあげたいのです」
 善場「それに関しては、彼に余罪があった場合、その余罪の弁護に関しては、そうして頂いて結構です」
 愛原「どうしてバイオテロに関しては、私選弁護人が付けられないのですか?」
 善場「では、試しにこの近くの弁護士事務所で相談してみてください。恐らく断られます」
 愛原「えっ?」
 善場「そりゃそうでしょう。世界を賑わすバイオテロの容疑者の弁護人だと、危ない橋……どころか、100%崩壊する橋を渡るようなものです。2005年に起きた地中海におけるバイオテロの首謀者、モルガン・ランズディール受刑者に関しても、弁護人がなかなか決まらず、裁判が始まらなかったじゃないですか」

 今はようやく刑が確定したものの、死刑や終身刑ではなく、有期刑にてアメリカ国内の刑務所で服役中とのこと。
 死刑や終身刑にならなかったのは、司法取引などが成立した為。
 結果的には、モルガン受刑者の行動は、宗教テロ組織ヴェルトロの崩壊に繋がったことは事実であるということは認められた為。
 その為に自分がバイオテロを計画したという所は当然断罪され、有期刑と。

 善場「日本国内の例においては、オウム真理教の事件ですね。浅原正晃死刑囚の弁護人を誰がやるかで揉めたことは有名ですね」
 愛原「あー……そういえばそんなこともあったような……」

 確か、国選弁護人ですら逃げ出すほどの騒ぎではなかったか?

 善場「バイオテロの容疑者も同じですよ」
 愛原「でも、ただの実行役なら、弁護のしようがあるんでゃないですか?『首謀者に命令されてやった』とか、色々言い訳できそうですけど……」
 善場「愛原所長の頭の手術ができるような人物が、一介の実行役だと思われますか?」
 愛原「ち、違うんですか?」
 善場「それはもうアンブレラ在りし頃は、その程度の技術者は一介の実行役程度のものでしょう。しかし、今はもうそのアンブレラはありません。今あるのは、『コネクション』です」
 愛原「さっきもその話がありましたね……」
 善場「生物兵器の闇市場において暗躍している国際的犯罪組織。エヴリンを開発した組織として強く疑われているが、規模や人員、拠点などは判明しておらず謎も多いとされている組織です。現在進行形で、バイオテロ対策組織が追っている組織の中で、最も大きな組織だと私達は見ています」
 レイチェル「……決まった拠点を持たないネットワーク型の犯罪組織で、組織の規模は不明だが活動範囲は全世界に渡っている。特に近年は、東ヨーロッパで活発に活動しているという情報があります。主な活動内容はBOWの製造と販売で、特にアジア系の組織においては、その地に伝わるモンスターを人工的に造るようなことを考えているようですね」
 善場「ヨーロッパでも、ドラゴンとか造ろうとしたんじゃないでしょうか」
 愛原「ドラゴン!?」
 レイチェル「ルーマニアの山奥の村で発生したバイオハザード、そこにドラゴンが現れたという情報もありますからね」
 愛原「……何がしたい組織なんでしょう?」
 善場「今のところ不明ですが、まあ、お金儲けであることは間違い無いでしょうね。日本だと『鬼』でしょうか」
 愛原「日本にも入り込んでいると!?」
 善場「はい。そして私達は、高橋容疑者がその工作員だと見ています」
 愛原「私の頭に何が……何の為に……」
 善場「それをこれから摘出して、調べる必要がありますね」

 そんなことを話していると、注文した料理がやってきた。
 尚、飲み物については食後ということになっている。

 愛原「ホテルのカレーは美味いんだよな」
 善場「特に大規模なホテルでは、料飲部門の中でも、カレーを専門的に造る部署があるそうですから」
 愛原「このホテルもそうなんですかね?」
 善場「かもしれませんね」
 リサ「いただきまーす」

 リサは早速、カレーにスプーンを突っ込んだ。

 リサ「うーん……ちょっと辛味が足りないかな……」

 リサはタバスコソースを思いっ切りカレーに掛けていた。

 愛原「火ィ噴くと火事になるから、掛け過ぎるなよ?」
 リサ「分かってるよー」

 それにしても……と思う。
 善場係長の話を聞いている限りでは、話は大きな事になっているようだ。
 その割には、この余裕ぶりは何なのだろう?
 確かにここには、護衛が2人もいる。
 また、係長自身も自分で戦える戦闘力を持っている。
 とはいえ、こうして呑気に食事をしている間にも、高橋の仲間達が襲ってくるかもしれないというのに……。
 窓を外を見ると……1台のパトカーが通り過ぎて行くのが見えた。
 まあ、警察によるパトロールは強化されているのかもしれないが、テロ組織相手に通用するだろうか?
 バイオテロ組織の中には、自爆テロも辞さない過激派もいるというのに……。

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