報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“愛原リサの日常” 「秋田から来た鬼娘」

2024-09-15 18:30:51 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[5月10日22時30分 天候:雨 沖縄県那覇市上空 全日空479便機内]

 善場「こ、これは……」

 雨が降り続く那覇市上空を航行する旅客機。
 羽田発那覇行きとしては、最終便に当たる。
 この機内には、デイライトの善場が搭乗していた。
 まもなく着陸ということもあり、飛行機は雲の下を飛行している。
 事件現場は、そんな飛行機の機内からでも確認できた。

 部下「座標からして那覇中央ホテル。東京中央学園の修学旅行生が宿泊していると思われるホテルです」

 善場の隣に座る黒スーツの部下の男は、善場にそう言った。

 善場「まさか、リサが!?」
 部下「BSAAのアプリでは、『未登録』となっていますので、その可能性は低いです。恐らく、我々でも把握していない新種のBOWかと」
 善場「あんな巨大なBOWが、今まで未登録だったというの!?」

 ホテルの建物は既に半壊状態であり、崩壊した所からは火の手が上がっていた。
 飛行機の周りには、BSAAなどのヘリコプターが何機も飛び交っている。
 その中には……。

 善場「あ、あれは、“青いアンブレラ”のヘリ!日本国内では活動が許可されていないというのに!」
 部下「……係長、その“青いアンブレラ”より、メッセージが来ております」
 善場「なに!?」
 部下「こ、これを……」

 部下は少し躊躇うように、善場にタブレット見せた。

 高野芽衣子「いい加減意地張ってないで、役立たずのBSAAより、こっちの活動を認めなさいよ。石頭女w」
 善場「くっ……くくく……このっ……!!」
 部下「か、係長!落ち着いて!せっかく、人間に戻れたというのに、またウィルスが活性化してしまいます!」
 善場「……降機したら、すぐ現場に向かいます。車の用意を」
 部下「はっ!」

[同日同時刻 天候:雨 同場所 那覇中央ホテル]

 絵恋「リサ……食ベタイ……!」
 リサ「わたしが食う約束だろ!オマエが食ってどうする!!」

 巨大なタコ女に変化した絵恋は、タコの足のような触手をリサに何本も伸ばす。
 リサはそれを交わし、長く鋭く伸ばした爪で足を引っ掻いた。
 鬼の爪に引き裂かれた足は、すぐに本体から切り離されるものの、すぐにまた新しい足が本体から生えて来る。

 リサ「一体どうして……どうしてこうなったぁぁぁぁっ!!」
 絵恋「私ニ食ベラレタラ、教エテアゲル。ソレハモウ……私ノ体ノ中デ、ジックリト……」
 リサ「ふざけるなーっ!」

 この戦闘の様子を、隣の建物の屋上から見ている者がいた。
 その者は高校の制服らしいのを着て、般若の仮面を着けている。

 ???「鬼だ……鬼の同士だ……。他にもいたんだ……!助太刀する!」

 そして、軽い身のこなしでヒラリと屋上の柵を乗り越えると……。

 ???「鬼の同士!タコの化け物退治、助太刀するだ!」
 リサ「ええっ!?だ、誰!?」

 リサよりは背の高い、般若の仮面の女は手に金棒を持っていた。
 リサも金棒は一応、造って持ってはいるが、ここにはない。
 般若の仮面の女は、それを軽々と振るい、器用に触手を上ると、くるっと1回転して、金棒で絵恋の頭を殴り付けた。
 スカートの下には、黒いスパッツを穿いているので、下着が見えることはない。

 絵恋「いったーい!」

 すると、絵恋の後頭部に白く光る瘤が現れた。
 般若の女は、リサの横に着地する。

 ???「秋田県秋北学院高校3年生、太平山美樹、鬼の名前は『美鬼』。よろスく」

 やや東北訛りで自己紹介する女。

 太平山美樹「あんだは?」
 リサ「愛原リサ……東京中央学園上野高校……」
 美樹「おー、東京の鬼かぁ……!ホンドか?」
 リサ「ホントだよ!」
 絵恋「ユルサナーーーーイ!!」

 絵恋は突然現れた女に怒り心頭。

 絵恋「ヨクモ殴ッタナァァァァァッ!!」
 美樹「あれは敵でいいんだべ?」
 リサ「う、うん」
 美樹「よっしゃ!さっさと倒すど!町がヤベェことになる!」
 リサ「ちょ、ちょっと……!」

 上空から機銃掃射が放たれる。

 美樹「おお~!さすが沖縄!すぐ軍隊ば来たべ!」
 リサ「違う!あれはBSAA!国連軍の一派!」
 美樹「ンだから、軍隊だべ?」
 リサ「そ、そうか!」

 しかもそのうちの1機は、“青いアンブレラ”のヘリだった。

 愛原「リサ、聞こえるか!?」
 リサ「先生!」

 ヘリコプターのスピーカーから、愛原の声がする。

 美樹「先生?東京の学校の先生は、ヘリコプターに乗んのか?」
 リサ「ちょっと黙ってて!」
 愛原「さっきの攻撃だ!どうやら、絵恋の頭を攻撃すると、弱点が現れるらしい!そこを機銃掃射するから、さっきの攻撃をもう1度頼む!」
 リサ「ええーっ!?」
 美樹「さっきの光るコブは、弱点だったんけ!そんなら、もっかい行くだど!」
 リサ「ええーっ!?」
 絵恋「そうは行くか!」
 美樹「うわっ!」

 美樹、今度は絵恋の触手に捕まってしまう。

 絵恋「私とリサさンノ間ニ、割リ込ンデ来ヤガッテ……八ツ裂キニシテ食ッテヤル!」
 美樹「人食い鬼を食っても不味いだけだよ!」
 リサ「! あいつ、今なんて……?い、いや、それより……」

 リサは息を大きく吸い込んだ。
 そして、体中から放電を始める。

 リサ「放してやれ!!」

 リサは久しぶりに電撃を放った。

 絵恋「キャアアアアッ!」
 美樹「ちょ、こっちにもビリビリ来んだけど!?」

 感電した絵恋は、美樹を放した。

 美樹「凄ェ!東京の鬼は、雷攻撃が使えるっけ!?」
 リサ「たまたまだよ!」
 美樹「でも、おかげで攻撃しやすくなったべ!」

 ゴンッ!

 絵恋「ギャッ!」

 美樹は再び絵恋の後頭部を金棒で攻撃。
 殴られたところに、光る瘤が現れる。
 すかさずそこを、BSAAのヘリが機銃掃射。

 絵恋「ギャアアアアアアッ!!」
 美樹「おおっ、効いてるっちゃ!」
 リサ「あと2~3回、同じ攻撃をすれば倒れると思う」
 美樹「よっしゃ!また電撃頼むど!」

 美樹はまた金棒を担ぐと、人間にはできないほどの軽い身のこなしで、崩壊したホテルの壁などを足場に、ヒョイヒョイと絵恋に向かって行った。

 リサ「強い……」

 リサは美樹が強い鬼だと思ったが、美樹は美樹で、

 美樹「電撃使えるなんて、強い鬼だっちゃね!」

 と、思ったという。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« “私立探偵 愛原学” 「沖縄... | トップ | “私立探偵 愛原学” 「沖縄... »

コメントを投稿

私立探偵 愛原学シリーズ」カテゴリの最新記事