[3月13日20:00.天候:晴 東京都江東区森下 ワンスターホテル]
鈴木:「『飴玉婆さん』ですよ。御存知ない?」
稲生:「確かに新聞部で特集を組んだことがある。だけど、その正体は当時ポーリン組のキャサリン先生だっただろ?」
鈴木:「先輩が特集したのはそうです。ところが、またどうやら現れているらしいんです。もちろんそれはキャサリンさんとは別人ですし、キャサリンさんも知らないそうです」
稲生:「じゃあ、他の組の誰かかな?」
鈴木:「先輩は御存知ないんですか?」
稲生:「いや、知らないなぁ。一応、マリアさんにも聞いてみるけどね。なに?それは最近?」
鈴木:「今日エレーナが仕入れた情報です。エレーナに言わせると、本来それはその国を拠点としている組に連絡しなければならないとのことです。つまり、稲生先輩達に話が行ってるはずなんです」
稲生:「僕は聞いてない。マリアさんかイリーナ先生は知ってるかもしれないな。一応、聞いてみるよ」
鈴木:「お願いします。キャサリンさんの場合は、何か無礼な人間がいて、そいつを痛い目に遭わせたらしいですね」
稲生:「……まあね。命までは取ってないけど、障害者にはしてしまったんだよ。魔女を怒らせると怖いよ?最悪、命取られるからね?」
鈴木:「はい。警告なら既に何度も受けています」
稲生:「何度も警告で済んでる鈴木君も凄いよ。最悪、最初の1回で死ぬよ」
鈴木:「正法信仰の功徳」
稲生:「う、うん。そうかもね。とにかく、マリアさんに聞いてみるから」
鈴木:「よろしくお願いします」
鈴木は電話を切った。
鈴木:「エレーナ、マリアさんに聞いてみるってよ?」
エレーナ:「マリアンナに聞いたところで、何も知らないと思うな。……ってか、何でアンタまたしれっとチェック・インしてんのよ」
鈴木:「キャンセルが1つ空いて、功徳〜〜〜〜〜!!」
エレーナ:「うるせーよ」
鈴木:「夜現れるの?早速張り込みに行こう」
エレーナ:「キャシー先輩のやり方だと、夜はいないぜ?」
鈴木:「そうなの?」
エレーナ:「当たり前だろ。下校する生徒を選んで飴玉をあげるんだぜ?生徒のいない夜に張るわけないだろ」
鈴木:「それもそうか。じゃあ、今日張り込んでおけば良かったな」
エレーナ:「私達の姿を見て、逃げるかもしれないぜ」
鈴木:「なるほどなぁ……」
エレーナ:「私には直接関係無いけど、イリーナ組のシマ荒らしをしてるようなもんだ。もしその情報が本当だとするなら、イリーナ先生がどういう行動を取るか見物だぜ」
鈴木:「エレーナは?」
エレーナ:「は?」
鈴木:「エレーナだって、日本で働いてる時点でシマ荒らしじゃないの?」
エレーナ:「違うって。私はただ『協力者』の所で働いてるだけ。『協力者』ってのは中立だから、そこで働く分にはシマ荒らしにならないの」
鈴木:「そういうもんか」
エレーナ:「私がホテルで働いたところで、別に稲生氏やマリアンナに迷惑掛けるわけじゃないだろう?別にここでは魔道師としてではなく、ただのスタッフとして働くんだ」
鈴木:「それもそうだ。それで、『飴玉婆さん』は?」
エレーナ:「キャシー先輩はイリーナ先生には伝えていたみたいだぜ?もっとも、イリーナ先生はあんまり関心は無かったみたいだけどな」
鈴木:「随分のほほんとした先生らしいね?」
エレーナ:「まあな。(というより、“魔の者”対策でキャシー先輩のことを気にする余裕が無かっただけだろうな……)」
鈴木:「すると、あのレストランの店長さんのことは何の問題も無いわけだ」
今キャサリンはワンスターホテルに併設されてる魔法料理のオーナーシェフをやっている。
表向きは珍しいハーブ(という名の魔法薬)を使った西洋薬膳料理の店ということになっている。
鈴木:「誰かが『無断営業』してるってわけだね?」
エレーナ:「おい、鈴木。普通の人間が首を突っ込むのはやめた方がいいぜ?痛い目見るぞ?あとは私達に任せておけ」
鈴木:「乗り掛かったバスだって言ったろ?最後まで付き合うよ」
エレーナ:「乗り掛かった舟だって。だいたい……。!?」
エレーナはフロントで仕事中である。
ふとホテルの外を、ローブを着た魔女のような姿の者が通り過ぎたような気がした。
鈴木:「どうしたの?」
エレーナ:「いや……???」
と、今度は救急車のサイレンが近づいてきた。
ついでにパトカーのサイレンも近づいてきた。
鈴木:「やかましいな」
そして、それらのサイレンは近くで止まった。
鈴木:「何だ?何かあったかな?見に行ってみよう」
エレーナ:「アタシゃ仕事中だぜ?」
鈴木:「それもそうか。ちょっと見て来る」
エレーナ:「ああ」
鈴木はホテルの外に出た。
すると、たった数十メートル先にパトカーと救急車が止まっていた。
鈴木だけではなく、近所の住民も見に来ている。
森下地区はマンションも建ち並んだ住宅街である。
但し、数階建て程度の低いもので、タワマンの類は1棟も無い。
警察官A:「下がって下がって!」
警察官が『立入禁止』の黄色いテープを貼って、規制線を作っている。
警察官B:「……すると突然、大きな叫び声が聞こえたということですか?」
近隣住民:「ええ、そうです。断末魔みたいな……」
警察官B:「不審な人物とかは見ましたか?」
近隣住民:「いいえ」
しばらくして救急隊員がストレッチャーを持って、マンションから出て来た。
鈴木もこの近くに住んでいるものだから、そのマンションが家族向けの分譲マンションであることは知っていた。
ストレッチャーに乗せられているのはどうやら鈴木よりも若い男のようで、何故か両目を包帯でぐるぐる巻きにされていた。
それは救急隊員が応急処置を施したものであろうが……。
鈴木:(警察が来てるってことは、何らかの事件か……?)
鈴木は救急車の近くにいた。
だから、ストレッチャーに乗せられた男のうわ言が耳に入って来た。
男:「ごめんなさい……ごめんなさい……飴玉婆さん……」
鈴木:「な、何だってー!?」
鈴木はストレッチャーに駆け寄った。
鈴木:「おい、あんた!飴玉婆さんに会ったのか!?」
救急隊員A:「ちょっと!危ないから近づかないで!」
鈴木:「飴玉婆さんがマンションに現れたのか!?」
救急隊員B:「あなたはこの方のお知り合いですか?」
鈴木:「いや、違うけど……。何で飴玉婆さんがアンタん所に現れたんだ!?」
男:「ごめんなさい……ごめんなさい……」
警察官C:「ちょっとキミ!何か知ってるの?ちょっと話、聞かせてくれるかな?」
ついでに警察官から事情聴取を受けるハメになった鈴木。
リリアンヌ:「フヒヒヒ……。エレーナ先輩、どうやらシマ荒らし者発生は、ほぼ確定のようです……フフフ……」
リリアンヌはその様子を少し離れた場所から見ていて、水晶球でエレーナと交信した。
エレーナ:「よっし!さすがリリィ!マリアンナ達より先に捕まえて、ポーリン先生に褒められようぜ!」
鈴木は単なる鉄砲玉扱いのようである。
鈴木:「『飴玉婆さん』ですよ。御存知ない?」
稲生:「確かに新聞部で特集を組んだことがある。だけど、その正体は当時ポーリン組のキャサリン先生だっただろ?」
鈴木:「先輩が特集したのはそうです。ところが、またどうやら現れているらしいんです。もちろんそれはキャサリンさんとは別人ですし、キャサリンさんも知らないそうです」
稲生:「じゃあ、他の組の誰かかな?」
鈴木:「先輩は御存知ないんですか?」
稲生:「いや、知らないなぁ。一応、マリアさんにも聞いてみるけどね。なに?それは最近?」
鈴木:「今日エレーナが仕入れた情報です。エレーナに言わせると、本来それはその国を拠点としている組に連絡しなければならないとのことです。つまり、稲生先輩達に話が行ってるはずなんです」
稲生:「僕は聞いてない。マリアさんかイリーナ先生は知ってるかもしれないな。一応、聞いてみるよ」
鈴木:「お願いします。キャサリンさんの場合は、何か無礼な人間がいて、そいつを痛い目に遭わせたらしいですね」
稲生:「……まあね。命までは取ってないけど、障害者にはしてしまったんだよ。魔女を怒らせると怖いよ?最悪、命取られるからね?」
鈴木:「はい。警告なら既に何度も受けています」
稲生:「何度も警告で済んでる鈴木君も凄いよ。最悪、最初の1回で死ぬよ」
鈴木:「正法信仰の功徳」
稲生:「う、うん。そうかもね。とにかく、マリアさんに聞いてみるから」
鈴木:「よろしくお願いします」
鈴木は電話を切った。
鈴木:「エレーナ、マリアさんに聞いてみるってよ?」
エレーナ:「マリアンナに聞いたところで、何も知らないと思うな。……ってか、何でアンタまたしれっとチェック・インしてんのよ」
鈴木:「キャンセルが1つ空いて、功徳〜〜〜〜〜!!」
エレーナ:「うるせーよ」
鈴木:「夜現れるの?早速張り込みに行こう」
エレーナ:「キャシー先輩のやり方だと、夜はいないぜ?」
鈴木:「そうなの?」
エレーナ:「当たり前だろ。下校する生徒を選んで飴玉をあげるんだぜ?生徒のいない夜に張るわけないだろ」
鈴木:「それもそうか。じゃあ、今日張り込んでおけば良かったな」
エレーナ:「私達の姿を見て、逃げるかもしれないぜ」
鈴木:「なるほどなぁ……」
エレーナ:「私には直接関係無いけど、イリーナ組のシマ荒らしをしてるようなもんだ。もしその情報が本当だとするなら、イリーナ先生がどういう行動を取るか見物だぜ」
鈴木:「エレーナは?」
エレーナ:「は?」
鈴木:「エレーナだって、日本で働いてる時点でシマ荒らしじゃないの?」
エレーナ:「違うって。私はただ『協力者』の所で働いてるだけ。『協力者』ってのは中立だから、そこで働く分にはシマ荒らしにならないの」
鈴木:「そういうもんか」
エレーナ:「私がホテルで働いたところで、別に稲生氏やマリアンナに迷惑掛けるわけじゃないだろう?別にここでは魔道師としてではなく、ただのスタッフとして働くんだ」
鈴木:「それもそうだ。それで、『飴玉婆さん』は?」
エレーナ:「キャシー先輩はイリーナ先生には伝えていたみたいだぜ?もっとも、イリーナ先生はあんまり関心は無かったみたいだけどな」
鈴木:「随分のほほんとした先生らしいね?」
エレーナ:「まあな。(というより、“魔の者”対策でキャシー先輩のことを気にする余裕が無かっただけだろうな……)」
鈴木:「すると、あのレストランの店長さんのことは何の問題も無いわけだ」
今キャサリンはワンスターホテルに併設されてる魔法料理のオーナーシェフをやっている。
表向きは珍しいハーブ(という名の魔法薬)を使った西洋薬膳料理の店ということになっている。
鈴木:「誰かが『無断営業』してるってわけだね?」
エレーナ:「おい、鈴木。普通の人間が首を突っ込むのはやめた方がいいぜ?痛い目見るぞ?あとは私達に任せておけ」
鈴木:「乗り掛かったバスだって言ったろ?最後まで付き合うよ」
エレーナ:「乗り掛かった舟だって。だいたい……。!?」
エレーナはフロントで仕事中である。
ふとホテルの外を、ローブを着た魔女のような姿の者が通り過ぎたような気がした。
鈴木:「どうしたの?」
エレーナ:「いや……???」
と、今度は救急車のサイレンが近づいてきた。
ついでにパトカーのサイレンも近づいてきた。
鈴木:「やかましいな」
そして、それらのサイレンは近くで止まった。
鈴木:「何だ?何かあったかな?見に行ってみよう」
エレーナ:「アタシゃ仕事中だぜ?」
鈴木:「それもそうか。ちょっと見て来る」
エレーナ:「ああ」
鈴木はホテルの外に出た。
すると、たった数十メートル先にパトカーと救急車が止まっていた。
鈴木だけではなく、近所の住民も見に来ている。
森下地区はマンションも建ち並んだ住宅街である。
但し、数階建て程度の低いもので、タワマンの類は1棟も無い。
警察官A:「下がって下がって!」
警察官が『立入禁止』の黄色いテープを貼って、規制線を作っている。
警察官B:「……すると突然、大きな叫び声が聞こえたということですか?」
近隣住民:「ええ、そうです。断末魔みたいな……」
警察官B:「不審な人物とかは見ましたか?」
近隣住民:「いいえ」
しばらくして救急隊員がストレッチャーを持って、マンションから出て来た。
鈴木もこの近くに住んでいるものだから、そのマンションが家族向けの分譲マンションであることは知っていた。
ストレッチャーに乗せられているのはどうやら鈴木よりも若い男のようで、何故か両目を包帯でぐるぐる巻きにされていた。
それは救急隊員が応急処置を施したものであろうが……。
鈴木:(警察が来てるってことは、何らかの事件か……?)
鈴木は救急車の近くにいた。
だから、ストレッチャーに乗せられた男のうわ言が耳に入って来た。
男:「ごめんなさい……ごめんなさい……飴玉婆さん……」
鈴木:「な、何だってー!?」
鈴木はストレッチャーに駆け寄った。
鈴木:「おい、あんた!飴玉婆さんに会ったのか!?」
救急隊員A:「ちょっと!危ないから近づかないで!」
鈴木:「飴玉婆さんがマンションに現れたのか!?」
救急隊員B:「あなたはこの方のお知り合いですか?」
鈴木:「いや、違うけど……。何で飴玉婆さんがアンタん所に現れたんだ!?」
男:「ごめんなさい……ごめんなさい……」
警察官C:「ちょっとキミ!何か知ってるの?ちょっと話、聞かせてくれるかな?」
ついでに警察官から事情聴取を受けるハメになった鈴木。
リリアンヌ:「フヒヒヒ……。エレーナ先輩、どうやらシマ荒らし者発生は、ほぼ確定のようです……フフフ……」
リリアンヌはその様子を少し離れた場所から見ていて、水晶球でエレーナと交信した。
エレーナ:「よっし!さすがリリィ!マリアンナ達より先に捕まえて、ポーリン先生に褒められようぜ!」
鈴木は単なる鉄砲玉扱いのようである。
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