[2月2日20時00分 天候:晴 栃木県日光市某所]
リサ「…………」
栃木県の山奥の県道を走る中古の高速バス。
廃車寸前のバスをタダ同然で引き取ったものだという。
かつては夜行用で運用されていたのか、車内は独立3列シートで、スーパーハイデッカー。
トイレや乗務員の仮眠室も設けられているという装備だった。
窓もスモークシートが貼られているが、カーテンも全部閉められていて、外から中を見ることはできない。
その乗務員の仮眠室だったスペースに、リサは押し込められていた。
両手と両足は頑丈な手枷・足枷で固定され、目隠しもされている状態。
そもそも浚われる際、首に麻酔薬のようなものを注射され、それで意識朦朧としているところを、さらに酒を無理やり飲まされて、更に意識混濁している状態だった。
その時、外からけたまましいクラクションの音がして、リサは目が覚めた。
暴走族A「おい、コラぁ!降りて来いや!!」
他にも若い男の怒鳴り声や、明らかに車検など通らないであろう、違法改造クラクションが何度も聞こえて来る。
男A「マズい。目撃者か?」
男B「もうすぐ着くってのに、どうして目撃者が?」
男C「消すか?」
男D「消すべ消すべ」
男A「待て待て。まずはお館様からの指示を待ってだ。鬼がいるというのに、置いて行くわけにもいくまい」
男B「それもそうだ」
リサ(わたしのことを鬼だと知っている……?)
その後、プシューというエアーの音がした。
どうやら、乗降口の扉が開いたらしい。
バスが揺れるので、誰かが乗り降りしているだろう。
その後、若い男達の慌てる声がしたかと思うと、車が走り去る音がした。
リサ(あの人達は、お兄ちゃんの知り合い?助けに来てくれたの?)
男A「どうややお館様と、他の人達が追い払ってくれたらしい」
男B「追い払った?消したんじゃないのか?」
男C「お館様がそうなさったのだからしょうがねーべ」
男D「んだんだ」
またエアーの音がして、バスの乗降扉が閉まる。
代わりに重厚な鉄の音が響いて来たかと思うと、またバスがゆっくり走り出した。
そしてまた止まると、再び重厚な鉄の音がして、最後にはガッシャーンという音がした。
どうやら、何かが閉まる音らしい。
そして、またバスの扉が開く音がした。
男A「……え?ここで降りるの?……え?母屋じゃなくて、離れの方に行くって?分かった。……おい。鬼を降ろすぞ。慎重にな」
男B「おう」
ガチャという音がすると、寒風が吹き込んで来た。
乗務員用の仮眠室は、床下のトランクルームを改造した場所にあるので、外側から開けることもできる。
男A「おい、鬼!着いたぞ!降りるぞ!いいか?逃げても無駄だぞ」
リサ「むー!むー!」
リサはどこかのマンガの鬼娘よろしく、竹筒を猿轡代わりに咥えさせられているので、喋ることができない。
男A「何だァ?何か言いたいことがあるのか?」
男B「そりゃ、無理やり連れて来られたことに対する文句だべ」
リサ(そりゃ文句も言いたいけど、そんなことよりも……!)
リサはトイレに行きたくてしょうがなかった。
何しろ夕方前に拉致されて以来、1度もトイレに行かせてもらえなかったからだ。
しかも、意識を混濁させる為に酒まで飲まされたというのもある。
リサがスカートの上から股間を押さえてモジモジする仕草をすると、そこでようやく男達は気づいた。
男A「そうか。鬼も便所くらい行くか」
老翁「何をしておる?」
男A「お館様。どうやらこの鬼、トイレ行きたいそうです」
リサはうんうんと大きく頷いた。
老翁「連絡にはまだ少し時間がある。そこの茂みにでもさせておけ」
男A「はい」
リサ「んーっ!?」
老翁「ちり紙の1つでも渡しといてやれ」
男B「ほらよ」
リサ「んー!んー!」
リサは両手を見せた。
手枷が邪魔で、下着を脱ぐことができないと。
老翁「手枷を外してやれ」
男A「いいんですか?」
老翁「但し、腰縄と足枷は外してはならん」
男A「はっ」
リサは手枷を外された。
目隠しも外される。
外は雪が積もっていた。
そして、目の前には羽織袴姿の老翁と、黒装束の男達がいた。
黒装束の男達は、リサに日本刀の刃を向けている。
老翁「そこの茂みの陰にでもしてくるが良い」
リサ(覚えてろよ、このクソジジィ!)
リサは雪の積もる茂みの影に隠れて、急いでスカートの中に穿いているブルマとショーツを下ろした。
リサ(アンブレラの研究所でも、こんなお外でオシッコとかさせられなかったのに……!)
小用を足していると、今度は大きいのもしたくなる。
リサ(こうなったらもうここで……!)
リサは更に踏ん張って、肛門からぶっとい黄金を3本もひり出した。
リサ「ん~……」
最後の3本目がプッと肛門から出切ると、リサはようやくスッキリした気持ちになった。
手持ちのティッシュともらったティッシュ、全部使って前と後ろを拭く。
そしてようやく下着やブルマを戻して、リサは元いた場所に戻った。
老翁「戻って来たか。ちょうど受け入れの準備ができたところじゃ」
男A「それでは再び手枷と目隠しを……」
老翁「手枷だけで良い。どうせここから歩きじゃ。目隠しをしたままでは、歩き難かろう」
男A「は、はあ……」
手枷だけ付けられ、リサ達は石畳の上を進んだ。
リサ「んー……?」
途中、右手に大きな家屋敷が見えた。
まるで、老舗の高級旅館のようである。
しかしリサ達はそこには寄らず、石畳の小道を進んだ。
老翁「ここじゃ」
リサ「ん……」
そこはまるで茶室のような庵であった。
リサ達が近づくと、引き戸の玄関が開き、そこから老翁と同じくらいの歳の老婆が現れた。
老翁と違って小柄で腰が低い。
老翁「客人の到着じゃ。あとは任せた」
老婆「かしこまりました」
リサ(ここが、わたしの処刑場?)
リサはここにいる老翁や、黒装束の集団が鬼狩り隊だと思っている。
鬼狩り隊は鬼の首を刎ねるのが仕事だ。
さっきからリサの首に突き付けられている日本刀は、本当に鬼の首を刎ねられるものだろう。
そんなものに刎ねられたら、さすがのリサも死ぬ。
玄関に入ると、何と、体に着けられていた拘束具が全て外された。
老翁「この中では自由にして良い。但し、逃げる事、一切罷りならん」
リサ「はあ?」
竹筒も外され、リサはようやく喋ることができた。
老翁達はぞろぞろと庵を出て、リサと老婆だけになってしまった。
老婆は目が細く、まるでいつも閉じているかのようである。
しかし、表情は穏やかなものだった。
老婆「遠路遥々、御足労でございました。長旅でさぞお疲れのことと思います。どうぞ中へお上がりください」
リサ「いや、わたし、帰りたいんだけど?」
老婆「それは……全てが終わったら、帰れるのでございます」
リサ「全てって何!?」
老婆「それは……追々説明がございます。まずは、どうぞ中へ……」
リサ「せめて、電話くらいさせて?ていうかスマホ帰して」
老婆「それも……全てが終わったら、返されるのでございます」
リサ「何だ、それ!」
リサは靴を脱いで上がった。
茶室のような庵だと思っていたが、中はそれよりは広いようだ。
老婆「まず、こちらがお手洗いでございます」
リサ「うわ、和式だし……。てか、ここ使わせてくれれば良かったのに……」
その隣の部屋が……。
老婆「こちらがお風呂でございます」
リサ「えっ?入っていいってこと?何か、温泉の匂いするけど?」
老婆「もちろんでございます」
更に、近くの和室は……。
老婆「お布団と寝巻でございます」
リサ「泊まれってこと?いや、こんな時間……もう帰れないけど……」
布団が敷かれている和室には時計があり、8時半くらいを指していた。
そして、その隣の和室は……。
老婆「お食事でございます」
リサ「マジ!?」
まるで旅館の夕食みたいに、膳の上に食事が乗っている。
1番目を惹くのは、赤身が目立つ肉の塊である。
1キロはあるだろう。
先ほど、大量の糞尿を排出したこともあり、今度は大きな食欲がリサの中に湧き出て来たところであった。
老婆「まずは、どうぞお食事を……」
リサ「しょ、しょうがないな……。せっかく用意してくれたんだし、食べろというのなら、食べるけどぉ……」
リサは膳の前のフカフカの座布団と腰かけると、すぐに箸を取った。
老婆「それでは、どうぞごゆるりとお過ごしくださいませ。何かございましたら、そちらのベルを鳴らしてください」
リサ「この、チリンチリンってヤツ?小さいハンドベルみたいなヤツね。分かった」
リサはまずは食事を片付けてから、今自分が置かれている状況について考えてみることにした。
リサ「…………」
栃木県の山奥の県道を走る中古の高速バス。
廃車寸前のバスをタダ同然で引き取ったものだという。
かつては夜行用で運用されていたのか、車内は独立3列シートで、スーパーハイデッカー。
トイレや乗務員の仮眠室も設けられているという装備だった。
窓もスモークシートが貼られているが、カーテンも全部閉められていて、外から中を見ることはできない。
その乗務員の仮眠室だったスペースに、リサは押し込められていた。
両手と両足は頑丈な手枷・足枷で固定され、目隠しもされている状態。
そもそも浚われる際、首に麻酔薬のようなものを注射され、それで意識朦朧としているところを、さらに酒を無理やり飲まされて、更に意識混濁している状態だった。
その時、外からけたまましいクラクションの音がして、リサは目が覚めた。
暴走族A「おい、コラぁ!降りて来いや!!」
他にも若い男の怒鳴り声や、明らかに車検など通らないであろう、違法改造クラクションが何度も聞こえて来る。
男A「マズい。目撃者か?」
男B「もうすぐ着くってのに、どうして目撃者が?」
男C「消すか?」
男D「消すべ消すべ」
男A「待て待て。まずはお館様からの指示を待ってだ。鬼がいるというのに、置いて行くわけにもいくまい」
男B「それもそうだ」
リサ(わたしのことを鬼だと知っている……?)
その後、プシューというエアーの音がした。
どうやら、乗降口の扉が開いたらしい。
バスが揺れるので、誰かが乗り降りしているだろう。
その後、若い男達の慌てる声がしたかと思うと、車が走り去る音がした。
リサ(あの人達は、お兄ちゃんの知り合い?助けに来てくれたの?)
男A「どうややお館様と、他の人達が追い払ってくれたらしい」
男B「追い払った?消したんじゃないのか?」
男C「お館様がそうなさったのだからしょうがねーべ」
男D「んだんだ」
またエアーの音がして、バスの乗降扉が閉まる。
代わりに重厚な鉄の音が響いて来たかと思うと、またバスがゆっくり走り出した。
そしてまた止まると、再び重厚な鉄の音がして、最後にはガッシャーンという音がした。
どうやら、何かが閉まる音らしい。
そして、またバスの扉が開く音がした。
男A「……え?ここで降りるの?……え?母屋じゃなくて、離れの方に行くって?分かった。……おい。鬼を降ろすぞ。慎重にな」
男B「おう」
ガチャという音がすると、寒風が吹き込んで来た。
乗務員用の仮眠室は、床下のトランクルームを改造した場所にあるので、外側から開けることもできる。
男A「おい、鬼!着いたぞ!降りるぞ!いいか?逃げても無駄だぞ」
リサ「むー!むー!」
リサはどこかのマンガの鬼娘よろしく、竹筒を猿轡代わりに咥えさせられているので、喋ることができない。
男A「何だァ?何か言いたいことがあるのか?」
男B「そりゃ、無理やり連れて来られたことに対する文句だべ」
リサ(そりゃ文句も言いたいけど、そんなことよりも……!)
リサはトイレに行きたくてしょうがなかった。
何しろ夕方前に拉致されて以来、1度もトイレに行かせてもらえなかったからだ。
しかも、意識を混濁させる為に酒まで飲まされたというのもある。
リサがスカートの上から股間を押さえてモジモジする仕草をすると、そこでようやく男達は気づいた。
男A「そうか。鬼も便所くらい行くか」
老翁「何をしておる?」
男A「お館様。どうやらこの鬼、トイレ行きたいそうです」
リサはうんうんと大きく頷いた。
老翁「連絡にはまだ少し時間がある。そこの茂みにでもさせておけ」
男A「はい」
リサ「んーっ!?」
老翁「ちり紙の1つでも渡しといてやれ」
男B「ほらよ」
リサ「んー!んー!」
リサは両手を見せた。
手枷が邪魔で、下着を脱ぐことができないと。
老翁「手枷を外してやれ」
男A「いいんですか?」
老翁「但し、腰縄と足枷は外してはならん」
男A「はっ」
リサは手枷を外された。
目隠しも外される。
外は雪が積もっていた。
そして、目の前には羽織袴姿の老翁と、黒装束の男達がいた。
黒装束の男達は、リサに日本刀の刃を向けている。
老翁「そこの茂みの陰にでもしてくるが良い」
リサ(覚えてろよ、このクソジジィ!)
リサは雪の積もる茂みの影に隠れて、急いでスカートの中に穿いているブルマとショーツを下ろした。
リサ(アンブレラの研究所でも、こんなお外でオシッコとかさせられなかったのに……!)
小用を足していると、今度は大きいのもしたくなる。
リサ(こうなったらもうここで……!)
リサは更に踏ん張って、肛門からぶっとい黄金を3本もひり出した。
リサ「ん~……」
最後の3本目がプッと肛門から出切ると、リサはようやくスッキリした気持ちになった。
手持ちのティッシュともらったティッシュ、全部使って前と後ろを拭く。
そしてようやく下着やブルマを戻して、リサは元いた場所に戻った。
老翁「戻って来たか。ちょうど受け入れの準備ができたところじゃ」
男A「それでは再び手枷と目隠しを……」
老翁「手枷だけで良い。どうせここから歩きじゃ。目隠しをしたままでは、歩き難かろう」
男A「は、はあ……」
手枷だけ付けられ、リサ達は石畳の上を進んだ。
リサ「んー……?」
途中、右手に大きな家屋敷が見えた。
まるで、老舗の高級旅館のようである。
しかしリサ達はそこには寄らず、石畳の小道を進んだ。
老翁「ここじゃ」
リサ「ん……」
そこはまるで茶室のような庵であった。
リサ達が近づくと、引き戸の玄関が開き、そこから老翁と同じくらいの歳の老婆が現れた。
老翁と違って小柄で腰が低い。
老翁「客人の到着じゃ。あとは任せた」
老婆「かしこまりました」
リサ(ここが、わたしの処刑場?)
リサはここにいる老翁や、黒装束の集団が鬼狩り隊だと思っている。
鬼狩り隊は鬼の首を刎ねるのが仕事だ。
さっきからリサの首に突き付けられている日本刀は、本当に鬼の首を刎ねられるものだろう。
そんなものに刎ねられたら、さすがのリサも死ぬ。
玄関に入ると、何と、体に着けられていた拘束具が全て外された。
老翁「この中では自由にして良い。但し、逃げる事、一切罷りならん」
リサ「はあ?」
竹筒も外され、リサはようやく喋ることができた。
老翁達はぞろぞろと庵を出て、リサと老婆だけになってしまった。
老婆は目が細く、まるでいつも閉じているかのようである。
しかし、表情は穏やかなものだった。
老婆「遠路遥々、御足労でございました。長旅でさぞお疲れのことと思います。どうぞ中へお上がりください」
リサ「いや、わたし、帰りたいんだけど?」
老婆「それは……全てが終わったら、帰れるのでございます」
リサ「全てって何!?」
老婆「それは……追々説明がございます。まずは、どうぞ中へ……」
リサ「せめて、電話くらいさせて?ていうかスマホ帰して」
老婆「それも……全てが終わったら、返されるのでございます」
リサ「何だ、それ!」
リサは靴を脱いで上がった。
茶室のような庵だと思っていたが、中はそれよりは広いようだ。
老婆「まず、こちらがお手洗いでございます」
リサ「うわ、和式だし……。てか、ここ使わせてくれれば良かったのに……」
その隣の部屋が……。
老婆「こちらがお風呂でございます」
リサ「えっ?入っていいってこと?何か、温泉の匂いするけど?」
老婆「もちろんでございます」
更に、近くの和室は……。
老婆「お布団と寝巻でございます」
リサ「泊まれってこと?いや、こんな時間……もう帰れないけど……」
布団が敷かれている和室には時計があり、8時半くらいを指していた。
そして、その隣の和室は……。
老婆「お食事でございます」
リサ「マジ!?」
まるで旅館の夕食みたいに、膳の上に食事が乗っている。
1番目を惹くのは、赤身が目立つ肉の塊である。
1キロはあるだろう。
先ほど、大量の糞尿を排出したこともあり、今度は大きな食欲がリサの中に湧き出て来たところであった。
老婆「まずは、どうぞお食事を……」
リサ「しょ、しょうがないな……。せっかく用意してくれたんだし、食べろというのなら、食べるけどぉ……」
リサは膳の前のフカフカの座布団と腰かけると、すぐに箸を取った。
老婆「それでは、どうぞごゆるりとお過ごしくださいませ。何かございましたら、そちらのベルを鳴らしてください」
リサ「この、チリンチリンってヤツ?小さいハンドベルみたいなヤツね。分かった」
リサはまずは食事を片付けてから、今自分が置かれている状況について考えてみることにした。
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