[7月8日02時12分 天候:雨 沖縄県・某離島]
沖縄は台風のような雨風が吹き荒れているらしい。
そこの地下研究所では、激しい攻防戦が行われていた。
斉藤秀樹「ここまで来たら、覚悟するんだな。私はあなたの助手だった男だ。あなたが研究していた『転生の儀』の弱点は知っている。それを克服せずに使用したことが、あなたの運の尽きだ」
斉藤早苗(白井伝三郎)「私をどうする気……?」
秀樹「今さら女の子のフリをしても、罪は重くなるだけだが?」
高野芽衣子「斉藤社長、早いとこ『例の物』を!」
秀樹「うむ。あなたの人生も、ここで終わりだな」
早苗「ヒデキ……」
秀樹「姉の斉藤早苗は、もうとっくに死んでるんだ。勝手に姉の体を蘇らせるのみならず、その体を乗っ取って使っている罪の重さ、地獄で理解してもらおう!」
早苗「……愛原学さんは元気か?」
秀樹「愛原さんがどうした?」
早苗「キミも私の助手だったのなら、知っているだろう?『転生の儀』の材料には、あの人も含まれていると」
秀樹「! 気づいていたか……」
早苗「仮にここで私を殺しても、私の魂が愛原学さんの所に行くだけだ。そして今度は、私が彼の体を使わせてもらう。『私立探偵 白井伝三郎』の新連載開始だ!」
秀樹「むむ……」
高野「どうしますか、社長?」
秀樹「対策は考える。取りあえず、白井をここまで追い詰めたのは事実。しばらく動けないよう、大ケガさせて拘束しておけ。『転生の儀』は、今の肉体が死なないと使えん」
高野「分かりました。なるべく痛めつけておきます」
秀樹「帰りの船の時間に間に合わんから、すぐここを出るぞ」
秀樹は地上までのエレベーターに乗り込んだ。
地上に出ると、研究所の非常口から外に出る。
小さな漁港には一隻の漁船が停泊している。
秀樹「出してくれ」
船長「へい」
漁船は波のうねりが高い中、出港していった。
背後からは銃声の音と、ヘリコプターの音がした。
[7月8日07時00分 天候:晴 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家3階ダイニング]
愛原「……という夢を見たんだ」
リサ「まさかの夢オチ!?」
パール「御主人様が、まさかそんなこと……」
愛原「斉藤さんの事だから、白井の弱点を知っていて、それを突きに行ったんだろうと思っていたから、それが夢になって現れたんだろうね」
リサ「白井を殺せば、わたしの復讐も終わり。でも、わたしがやりたかったなぁ……」
愛原「現状、白井を確実を殺せる方法を知っているのは斉藤さんだけだからな、しょうがない。これが現実だよ」
パール「でも、その御主人様が諦めたって……」
愛原「白井もそうだが、斉藤さんもまだ完璧ではないということだろうな」
リサ「まだわたしにも機会があるということだね」
愛原「う、うん。そうだな」
リサ「白井の血肉なら食べてもいいよね?何か、女の子の肉体使ってるみたいだし」
愛原「いや、それは……」
実害は無いんだよなぁ……。
パール「早く食べないと、電車に乗り遅れちゃいますよ」
リサ「おっと、そうだった!今日は土曜日だから、電車のダイヤが違うんだ!」
愛原「今日も午前中だけかい?」
リサ「テストの答え合わせで終わりでしょ?で、赤点者は残って追試か補習」
愛原「だろうな」
リサの事だから、赤点を取ることはなく、そのまま帰ってくるものと思われる。
リサ「食堂開いてないから、途中で食べて帰って来る」
愛原「そうかい」
リサ「というわけで、昼食代」
愛原「……お釣りはちゃんと取っておくんだぞ?」
リサ「もち」
私はリサに1000円札を渡した。
リサ「ていうか、駅でPasmoにチャージしておく」
愛原「そうしてくれ」
[同日08時00分 天候:晴 同地区内 愛原家3階ダイニング]
リサは学校に行き、私はパールに淹れてもらったコーヒーを飲んでいる。
私はテレビを観ていたのだが、その時、私のスマホに着信があった。
画面を見ると、それは斉藤元社長から。
私は急いで電話を取った。
愛原「も、もしもし!?」
斉藤秀樹「愛原さん、おはようございます。斉藤です」
愛原「斉藤さん!どうしたんです!?」
斉藤「白井を追い詰めたのですが、愛原さんの身に危険が及ぶ恐れがありましたので、残念ながらあの世に送ることができませんでした。そうしてしまうと、今度は愛原さんが白井に乗っ取られてしまうからです」
愛原「それは……『転生の儀』のことですか?」
斉藤「あ、やっぱり御存知なんですね」
愛原「昨日、千葉刑務所に行って、沖野献受刑者と面会して色々聞いてきましたから」
斉藤「なるほど。さすがは愛原さん。そこに行き着きましたか」
愛原「斉藤さんがかつて、白井の助手だったことも聞きましたよ」
斉藤「参りましたなぁ……。では、私が今言ったことの意味も御存知なんですね?」
愛原「信じたくは無いですが、私も白井に色々とされたわけでしょう?白井が喜んでいたというのは……」
斉藤「愛原さんもまた、白井の転生先の体として最適認定を受けたというわけですよ」
愛原「それが、私が自由の身になっているのは?」
斉藤「ただ単に管理が面倒なだけでしょう。素体が自由行動していても、乗っ取りはいつでもできますから」
愛原「それで、白井は?」
斉藤「“青いアンブレラ”に任せておきました。あそこなら、生かさず殺さずの処置をしてくれることでしょう。BSAAは殺すことしかできませんし、テラセイブは甘過ぎて逃がしてしまう。“青いアンブレラ”くらいがちょうど良いのです」
愛原「な、なるほど。それで、斉藤さんは今どこに?」
斉藤「沖縄を出るところです。まあ、沖縄を出る船のどれかといったところですか」
愛原「次の行き先は?」
斉藤「いつまでも逃げ回ってばかりいては卑怯ですからな、そろそろ出頭しようかと思っています。私を追っているのは警視庁でしたね」
愛原「それと、公安調査庁です」
BSAAもなのだが、それはこの際、ここでは言うまい。
斉藤「信じてもらえるかどうかは不明ですが、来週中には出頭すると伝えておいてください」
愛原「分かりました」
どうやら、私がデイライトに通報することは既に予測済みのようだ。
沖縄は台風のような雨風が吹き荒れているらしい。
そこの地下研究所では、激しい攻防戦が行われていた。
斉藤秀樹「ここまで来たら、覚悟するんだな。私はあなたの助手だった男だ。あなたが研究していた『転生の儀』の弱点は知っている。それを克服せずに使用したことが、あなたの運の尽きだ」
斉藤早苗(白井伝三郎)「私をどうする気……?」
秀樹「今さら女の子のフリをしても、罪は重くなるだけだが?」
高野芽衣子「斉藤社長、早いとこ『例の物』を!」
秀樹「うむ。あなたの人生も、ここで終わりだな」
早苗「ヒデキ……」
秀樹「姉の斉藤早苗は、もうとっくに死んでるんだ。勝手に姉の体を蘇らせるのみならず、その体を乗っ取って使っている罪の重さ、地獄で理解してもらおう!」
早苗「……愛原学さんは元気か?」
秀樹「愛原さんがどうした?」
早苗「キミも私の助手だったのなら、知っているだろう?『転生の儀』の材料には、あの人も含まれていると」
秀樹「! 気づいていたか……」
早苗「仮にここで私を殺しても、私の魂が愛原学さんの所に行くだけだ。そして今度は、私が彼の体を使わせてもらう。『私立探偵 白井伝三郎』の新連載開始だ!」
秀樹「むむ……」
高野「どうしますか、社長?」
秀樹「対策は考える。取りあえず、白井をここまで追い詰めたのは事実。しばらく動けないよう、大ケガさせて拘束しておけ。『転生の儀』は、今の肉体が死なないと使えん」
高野「分かりました。なるべく痛めつけておきます」
秀樹「帰りの船の時間に間に合わんから、すぐここを出るぞ」
秀樹は地上までのエレベーターに乗り込んだ。
地上に出ると、研究所の非常口から外に出る。
小さな漁港には一隻の漁船が停泊している。
秀樹「出してくれ」
船長「へい」
漁船は波のうねりが高い中、出港していった。
背後からは銃声の音と、ヘリコプターの音がした。
[7月8日07時00分 天候:晴 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家3階ダイニング]
愛原「……という夢を見たんだ」
リサ「まさかの夢オチ!?」
パール「御主人様が、まさかそんなこと……」
愛原「斉藤さんの事だから、白井の弱点を知っていて、それを突きに行ったんだろうと思っていたから、それが夢になって現れたんだろうね」
リサ「白井を殺せば、わたしの復讐も終わり。でも、わたしがやりたかったなぁ……」
愛原「現状、白井を確実を殺せる方法を知っているのは斉藤さんだけだからな、しょうがない。これが現実だよ」
パール「でも、その御主人様が諦めたって……」
愛原「白井もそうだが、斉藤さんもまだ完璧ではないということだろうな」
リサ「まだわたしにも機会があるということだね」
愛原「う、うん。そうだな」
リサ「白井の血肉なら食べてもいいよね?何か、女の子の肉体使ってるみたいだし」
愛原「いや、それは……」
実害は無いんだよなぁ……。
パール「早く食べないと、電車に乗り遅れちゃいますよ」
リサ「おっと、そうだった!今日は土曜日だから、電車のダイヤが違うんだ!」
愛原「今日も午前中だけかい?」
リサ「テストの答え合わせで終わりでしょ?で、赤点者は残って追試か補習」
愛原「だろうな」
リサの事だから、赤点を取ることはなく、そのまま帰ってくるものと思われる。
リサ「食堂開いてないから、途中で食べて帰って来る」
愛原「そうかい」
リサ「というわけで、昼食代」
愛原「……お釣りはちゃんと取っておくんだぞ?」
リサ「もち」
私はリサに1000円札を渡した。
リサ「ていうか、駅でPasmoにチャージしておく」
愛原「そうしてくれ」
[同日08時00分 天候:晴 同地区内 愛原家3階ダイニング]
リサは学校に行き、私はパールに淹れてもらったコーヒーを飲んでいる。
私はテレビを観ていたのだが、その時、私のスマホに着信があった。
画面を見ると、それは斉藤元社長から。
私は急いで電話を取った。
愛原「も、もしもし!?」
斉藤秀樹「愛原さん、おはようございます。斉藤です」
愛原「斉藤さん!どうしたんです!?」
斉藤「白井を追い詰めたのですが、愛原さんの身に危険が及ぶ恐れがありましたので、残念ながらあの世に送ることができませんでした。そうしてしまうと、今度は愛原さんが白井に乗っ取られてしまうからです」
愛原「それは……『転生の儀』のことですか?」
斉藤「あ、やっぱり御存知なんですね」
愛原「昨日、千葉刑務所に行って、沖野献受刑者と面会して色々聞いてきましたから」
斉藤「なるほど。さすがは愛原さん。そこに行き着きましたか」
愛原「斉藤さんがかつて、白井の助手だったことも聞きましたよ」
斉藤「参りましたなぁ……。では、私が今言ったことの意味も御存知なんですね?」
愛原「信じたくは無いですが、私も白井に色々とされたわけでしょう?白井が喜んでいたというのは……」
斉藤「愛原さんもまた、白井の転生先の体として最適認定を受けたというわけですよ」
愛原「それが、私が自由の身になっているのは?」
斉藤「ただ単に管理が面倒なだけでしょう。素体が自由行動していても、乗っ取りはいつでもできますから」
愛原「それで、白井は?」
斉藤「“青いアンブレラ”に任せておきました。あそこなら、生かさず殺さずの処置をしてくれることでしょう。BSAAは殺すことしかできませんし、テラセイブは甘過ぎて逃がしてしまう。“青いアンブレラ”くらいがちょうど良いのです」
愛原「な、なるほど。それで、斉藤さんは今どこに?」
斉藤「沖縄を出るところです。まあ、沖縄を出る船のどれかといったところですか」
愛原「次の行き先は?」
斉藤「いつまでも逃げ回ってばかりいては卑怯ですからな、そろそろ出頭しようかと思っています。私を追っているのは警視庁でしたね」
愛原「それと、公安調査庁です」
BSAAもなのだが、それはこの際、ここでは言うまい。
斉藤「信じてもらえるかどうかは不明ですが、来週中には出頭すると伝えておいてください」
愛原「分かりました」
どうやら、私がデイライトに通報することは既に予測済みのようだ。
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