報恩坊の怪しい偽作家!

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“私立探偵 愛原学” 「意外な展開」

2025-02-23 11:41:03 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[7月8日02時12分 天候:雨 沖縄県・某離島]

 沖縄は台風のような雨風が吹き荒れているらしい。
 そこの地下研究所では、激しい攻防戦が行われていた。

 斉藤秀樹「ここまで来たら、覚悟するんだな。私はあなたの助手だった男だ。あなたが研究していた『転生の儀』の弱点は知っている。それを克服せずに使用したことが、あなたの運の尽きだ」
 斉藤早苗(白井伝三郎)「私をどうする気……?」
 秀樹「今さら女の子のフリをしても、罪は重くなるだけだが?」
 高野芽衣子「斉藤社長、早いとこ『例の物』を!」
 秀樹「うむ。あなたの人生も、ここで終わりだな」
 早苗「ヒデキ……」
 秀樹「姉の斉藤早苗は、もうとっくに死んでるんだ。勝手に姉の体を蘇らせるのみならず、その体を乗っ取って使っている罪の重さ、地獄で理解してもらおう!」
 早苗「……愛原学さんは元気か?」
 秀樹「愛原さんがどうした?」
 早苗「キミも私の助手だったのなら、知っているだろう?『転生の儀』の材料には、あの人も含まれていると」
 秀樹「! 気づいていたか……」
 早苗「仮にここで私を殺しても、私の魂が愛原学さんの所に行くだけだ。そして今度は、私が彼の体を使わせてもらう。『私立探偵 白井伝三郎』の新連載開始だ!」
 秀樹「むむ……」
 高野「どうしますか、社長?」
 秀樹「対策は考える。取りあえず、白井をここまで追い詰めたのは事実。しばらく動けないよう、大ケガさせて拘束しておけ。『転生の儀』は、今の肉体が死なないと使えん」
 高野「分かりました。なるべく痛めつけておきます」
 秀樹「帰りの船の時間に間に合わんから、すぐここを出るぞ」

 秀樹は地上までのエレベーターに乗り込んだ。
 地上に出ると、研究所の非常口から外に出る。
 小さな漁港には一隻の漁船が停泊している。

 秀樹「出してくれ」
 船長「へい」

 漁船は波のうねりが高い中、出港していった。
 背後からは銃声の音と、ヘリコプターの音がした。

[7月8日07時00分 天候:晴 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家3階ダイニング]

 愛原「……という夢を見たんだ」
 リサ「まさかの夢オチ!?」
 パール「御主人様が、まさかそんなこと……」
 愛原「斉藤さんの事だから、白井の弱点を知っていて、それを突きに行ったんだろうと思っていたから、それが夢になって現れたんだろうね」
 リサ「白井を殺せば、わたしの復讐も終わり。でも、わたしがやりたかったなぁ……」
 愛原「現状、白井を確実を殺せる方法を知っているのは斉藤さんだけだからな、しょうがない。これが現実だよ」
 パール「でも、その御主人様が諦めたって……」
 愛原「白井もそうだが、斉藤さんもまだ完璧ではないということだろうな」
 リサ「まだわたしにも機会があるということだね」
 愛原「う、うん。そうだな」
 リサ「白井の血肉なら食べてもいいよね?何か、女の子の肉体使ってるみたいだし」
 愛原「いや、それは……」

 実害は無いんだよなぁ……。

 パール「早く食べないと、電車に乗り遅れちゃいますよ」
 リサ「おっと、そうだった!今日は土曜日だから、電車のダイヤが違うんだ!」
 愛原「今日も午前中だけかい?」
 リサ「テストの答え合わせで終わりでしょ?で、赤点者は残って追試か補習」
 愛原「だろうな」

 リサの事だから、赤点を取ることはなく、そのまま帰ってくるものと思われる。

 リサ「食堂開いてないから、途中で食べて帰って来る」
 愛原「そうかい」
 リサ「というわけで、昼食代」
 愛原「……お釣りはちゃんと取っておくんだぞ?」
 リサ「もち」

 私はリサに1000円札を渡した。

 リサ「ていうか、駅でPasmoにチャージしておく」
 愛原「そうしてくれ」

[同日08時00分 天候:晴 同地区内 愛原家3階ダイニング]

 リサは学校に行き、私はパールに淹れてもらったコーヒーを飲んでいる。
 私はテレビを観ていたのだが、その時、私のスマホに着信があった。
 画面を見ると、それは斉藤元社長から。
 私は急いで電話を取った。

 愛原「も、もしもし!?」
 斉藤秀樹「愛原さん、おはようございます。斉藤です」
 愛原「斉藤さん!どうしたんです!?」
 斉藤「白井を追い詰めたのですが、愛原さんの身に危険が及ぶ恐れがありましたので、残念ながらあの世に送ることができませんでした。そうしてしまうと、今度は愛原さんが白井に乗っ取られてしまうからです」
 愛原「それは……『転生の儀』のことですか?」
 斉藤「あ、やっぱり御存知なんですね」
 愛原「昨日、千葉刑務所に行って、沖野献受刑者と面会して色々聞いてきましたから」
 斉藤「なるほど。さすがは愛原さん。そこに行き着きましたか」
 愛原「斉藤さんがかつて、白井の助手だったことも聞きましたよ」
 斉藤「参りましたなぁ……。では、私が今言ったことの意味も御存知なんですね?」
 愛原「信じたくは無いですが、私も白井に色々とされたわけでしょう?白井が喜んでいたというのは……」
 斉藤「愛原さんもまた、白井の転生先の体として最適認定を受けたというわけですよ」
 愛原「それが、私が自由の身になっているのは?」
 斉藤「ただ単に管理が面倒なだけでしょう。素体が自由行動していても、乗っ取りはいつでもできますから」
 愛原「それで、白井は?」
 斉藤「“青いアンブレラ”に任せておきました。あそこなら、生かさず殺さずの処置をしてくれることでしょう。BSAAは殺すことしかできませんし、テラセイブは甘過ぎて逃がしてしまう。“青いアンブレラ”くらいがちょうど良いのです」
 愛原「な、なるほど。それで、斉藤さんは今どこに?」
 斉藤「沖縄を出るところです。まあ、沖縄を出る船のどれかといったところですか」
 愛原「次の行き先は?」
 斉藤「いつまでも逃げ回ってばかりいては卑怯ですからな、そろそろ出頭しようかと思っています。私を追っているのは警視庁でしたね」
 愛原「それと、公安調査庁です」

 BSAAもなのだが、それはこの際、ここでは言うまい。

 斉藤「信じてもらえるかどうかは不明ですが、来週中には出頭すると伝えておいてください」
 愛原「分かりました」

 どうやら、私がデイライトに通報することは既に予測済みのようだ。

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