報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「雪の週末」

2023-10-20 21:30:30 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[1月21日15時30分 天候:雪 東京都墨田区菊川2丁目 愛原学探偵事務所]

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。
 今日は土曜日だが、一応は営業している。
 まあ、クライアントさんへ提出する報告書や資料を作成しているだけだが。
 そういえば私の一人称での話は、久しぶりだな……。
 おっと、失礼。
 それは置いといて……。
 ここ最近は何故か事故物件に対する調査依頼が多く、何故か不可解に写ってしまった心霊写真について、どう説明しようか思い悩んでいるところだ。
 まあ、お祓いした方が良いとでも素直に言った方が良いのかもしれないが……。
 今のところ、バイオハザードに関する調査結果は出ていない。
 それと今は、もう1つ仕事ができた。
 それは、善場主任への報告。
 これは電話で行った。

 愛原「……というわけで、リサの春休みは3月25日から4月5日までだそうです」
 善場「さようでございますか。東京都の小中高、標準の期間ですね」
 愛原「やっぱりそうなんですか」
 善場「ええ。私立だから多少の相違があるかなと思ってましたが、東京中央学園は標準的な学校のようです」
 愛原「はい。そうなりますと、3月の24日は修了式ということになりますね。恐らく午前中に終わるでしょうから、夕方には藤野に前乗りを……」
 善場「あ、それは結構です。藤野には、当日入りで大丈夫ですよ」
 愛原「あー……そうなんですか。でも、午前中には入りしないとですよね?」
 善場「それが理想的ではあります」
 愛原「それなら、また八王子かどこかに前泊しますよ」
 善場「かしこまりました。ホテルはどこでも結構ですので、決まりましたら教えてください。……あ、一応、セキュリティのしっかりしているホテルでお願いします」
 愛原「承知しました。事前検査は、いつにしますか?」
 善場「その前の週がいいですね。3月の18日と19日ですか。この2日間で検査をするといった感じにしまして、21日を予備日としましょう」
 愛原「分かりました。リサには、そのように伝えておきます」
 善場「よろしくお願いします」

 私は電話を切った。
 まずは八王子辺りのホテルを予約しようと思った。
 リサを藤野に連れて行くだけだから、高橋の同行は必要無いだろう。
 まあ、行きたがるかもしれないが、断ることにする。
 土日は休業日にして、その2日間だけは私も藤野で立ち会いをしてもいいかもしれない。
 その方がリサも安心だろう。

[同日18時00分 天候:雪 愛原家3階ダイニング]

 夕方になって、リサが4階から降りて来た。

 リサ「お待たせ」

 

 リサは学校の体操服そのままで着た。

 リサ「今日の晩御飯は?」
 パール「カツカレーでございます」
 高橋「少なくともカレーってことは、匂いで分かんだろ」
 リサ「まあ、そりゃそうだ。トンカツ美味しそう」
 愛原「野菜も食っとけよ。いくら鬼だからって」
 リサ「はーい」

 そう言いつつ、リサは唐辛子をカレーの上にドバドバ掛けた。
 カレーは私の好みに合わせて中辛になっているが、辛い物が好きなこの3人は、それでは物足りないようで、辛子を入れて辛味を強くする傾向がある。
 もっとも、リサだけドバドバ入れる極端ぶりだが。

 愛原「あー、食べながらいいから聞いてくれ。まだ、先の話ではあるんだが……。現時点で決まってることを話そうと思う。もちろん、だいぶ先のことだから、それまでに何か変更とかあるかもしれないが……」
 高橋「何スか、何スか?」
 愛原「リサを人間に戻す実験……正確には、なるべく人間に近い状態にする……これも違うな。リサ、今は鬼形態になってるな。まあ、これ以上、化け物に変化するのを阻止する実験が行われる日が決まった。……あくまでも予定だが」
 高橋「おおーっ!……てか、当初のコンセプトより、だいぶズレましたね」
 愛原「理想と現在の科学力が追い付いていないそうなんだ。もっとも、科学は常に進歩しているわけだから、いずれはリサが人間に戻れる日が来るとは思うんだが……」
 リサ「やっぱり春休みだよね」
 愛原「そう。リサが春休みに入る3月25日から4月5日までの間、藤野の研究施設で行われる。もっとも、あくまでも予定だから、4月5日までマックス向こうにいるのかどうかは不明だが」
 高橋「そうなると、また藤野に前泊っスか?」
 愛原「いや、善場主任の話によると、当日入りでいいらしい。まあ、午前中には入りしてるのが理想だがな」
 パール「3月25日と言いますと、土曜日ですね。週末の中央高速は、朝から混みますよ?」
 愛原「だからその前の金曜日に、八王子辺りに前泊し、朝の中央線で藤野に行こうと思うんだ」
 高橋「そういうことっスか」
 愛原「リサを藤野に連れて行くだけだから、高橋はゆっくり休んでていいよ。パールと一緒に過ごしていいし」
 高橋「えっ、でも……」
 愛原「藤野ならもう何回も行ってるし、藤野駅からの行き方も知ってるから心配無いよ」
 高橋「はあ……そうですか……」
 リサ「やった!先生と2人っきり!」
 愛原「そんなに喜ぶなよ。……今から言うけど、ちょっと過酷な実験になるかもしれないらしいぞ?」
 リサ「う、うん……。人間に戻れるのなら、頑張るよ……」

 残念ながら、今回の実験では戻れない。
 なるべく人間に近い状態にできれば良いとはいうが、実際は第2形態以降に変化させないようにできれば御の字だと言われている。

 愛原「それと、その前の週は事前検査があるから。これは浜町の例のクリニックで行われる」
 リサ「これも泊まり掛けなの?」
 愛原「……あ、それは聞いてなかった、ゴメン。後で確認するよ。さすがにもう今日は夕方だし、明日は日曜だから、その次の月曜日に確認しておくから」
 高橋「つったって、こっから浜町なんて全然近ェじゃんかよ」

 菊川から2駅先である。
 仮にリサはクリニックに泊まることになったとしても、高橋の言うように近いのだから、私が近隣のホテルに泊まる必要は無いはずだ。
 まあ、これについても確認しておくことにしよう。
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“愛原リサの日常” 「反省文のリサ」

2023-10-20 15:31:33 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[1月21日14時31分 天候:雪 東京都千代田区神田岩本町 都営地下鉄岩本町駅→都営新宿線1408T電車最後尾車内]

〔まもなく4番線に、各駅停車、元八幡行きが、10両編成で到着します。ドアから離れて、お待ちください〕

 

 岩本町駅で帰りの電車を待っていると、トンネルの向こうから轟音や強風と共に電車がやってきた。
 今度の電車も、東京都の車両だった。

〔4番線の電車は、各駅停車、本八幡行きです。いわもとちょう、岩本町。秋葉原〕

 土曜日ということもあって、乗客は平日よりも少なかった。
 いつもは立っているリサも、今日は空いている席にフワリと座る。

〔4番線、ドアが閉まります〕

 JRと同じドアチャイムの音色がここでも鳴って、ドアが閉まる。
 但し、ホームドアのチャイムはさすがに違う。
 恐らく、メーカーが違うのだろう。
 両側のドアが閉まると、発車合図のブザーの音が聞こえて、電車が走り出した。
 あとはこの電車に揺られるだけなのだが、リサは少し気が重かった。
 学校でやらかしたこと、さすがに愛原にも連絡が行ってると思ったからである。
 怒られるのは致し方無いが、愛原の為にやっていることだと理解してもらえるだろうか。

〔次は馬喰横山、馬喰横山。都営浅草線、JR総武快速線はお乗り換えです〕
〔日蓮正宗妙縁寺へおいでの方は、都営浅草線にお乗り換えになり、本所吾妻橋でお降りください。日蓮正宗本行寺と常在寺へおいでの方は、押上でお降りください〕

 リサは電車が菊川に着くまでの間、スマホを弄っていた。
 レイチェルが明るい青色のブルマを欲しがっている旨を『魔王軍』のグループLINEで呼びかけたが、芳しい反応をする者はいなかった。
 『魔王軍』のメンバーにとっては、母親世代の代物だろうから、知っているわけがない。

 リサ(ネットで探すしか無いか……)

[同日14時38分 天候:雪 東京都墨田区菊川 都営地下鉄菊川駅→愛原学探偵事務所]

〔2番線の電車は、各駅停車、本八幡行きです。きくかわ~、菊川~〕

 リサ「……おっ!」

 リサはLINEに夢中で、一瞬、電車を降りるのが遅くなった。

〔2番線、ドアが閉まります〕

 幸い、ドアが閉まる前に降りられたので、乗り過ごしをすることはなかった。
 電車が轟音を立てながら、次のトンネルに向かって進んで行く。

 リサ(どう言い訳しよう……?)

 リサは帰ってから愛原に怒られた時の言い訳を考えていた。

 リサ「わぁ……」

 地上に出ると、粉雪がサーッと降っている。
 前回の大雪はボタ雪だったのでガッツリ積もってしまったが、この粉雪だと、そこまで積もらないかもしれない。

 リサ「ただいま」

 愛原は事務所の方にいて、帰って来たリサを招き入れた。

 愛原「お帰り、リサ。また、学校から連絡があったぞ。何て言うんだっけ?」
 リサ「ゴメンナサイ。悪気は無かったの」
 愛原「といっても、2回目のようだが?」
 リサ「今度は女子レスリング部と力比べしたの。わたしが勝ったら、ブルマ穿いてくれるって」
 愛原「そっちかい!俺の為に動いてくれるのはありがたいけど、迷惑は掛けちゃダメだぞ?」
 リサ「分かった。今度はバレないようにする」
 愛原「いや、お前、そういうことじゃ……。学校からのペナルティは何だ?」
 リサ「反省文、月曜日に提出」
 愛原「寛大な処置だな。やり過ぎると、せっかく復活させたブルマがまた廃止される恐れがあるぞ。気をつけろ」
 リサ「うん、分かった。それで、先生からの罰は?」
 愛原「え?」
 リサ「首輪?それとも鞭?それともローソク……?」(*´Д`)ハァハァ
 愛原「俺がやると全部ご褒美なんだろ?だったらいいよ。体操服に着替えてこい」
 リサ「分かった」
 愛原「あとは、しっかりテスト勉強すること」
 リサ「分かった」
 愛原「まあ、アレだ。忘れないうちに、先に反省文書いといた方がいいな」
 リサ「分かった」
 愛原「それとリサの春休みの時期、いつからいつまでだ?」
 リサ「えーと……」

 リサは生徒手帳を取り出した。

 リサ「3月の25日から4月5日までだね」
 愛原「12日間か。案外短いな」
 リサ「短いから、特に宿題も出ない」
 愛原「そうだな」

 春休みにも宿題の出る学校もあるそうだ。

 リサ「この時に、藤野に行くの?」
 愛原「そういうことだな。ただ、その前に浜町で事前検査もあるみたいだが……」
 リサ「本当に、人間に戻れるのかなぁ……」
 愛原「今のところは、まだ完全に戻れないって言われただろ?“鬼ころし”を飲まなくても、第2形態以降に変化しない為の処置だよ。もしかしたら第1形態でも、何か変化はあるかもしれないけどね」
 リサ「なるほど……」
 愛原「もう電撃は出なくなるだろうな」
 リサ「まあ、それならそれで……」

 電撃自体、実はリサにとっては使い勝手の悪いものであった。
 これならまだ、寄生虫の方が良い。
 寄生虫は、リサの思い通りに動いてくれるからである。
 寄生虫の視界をジャックして、監視なんかもできるし……。
 そんな寄生虫を、日本式プラーガと今更ながら呼ぶBSAA。

 リサ「電撃はわたしもメンド臭かったからね」
 愛原「そうなのか?」
 リサ「だって力の加減とか、メンド臭いもん。だったらまだ、寄生虫の方が楽だよ」
 愛原「そういうものか」
 リサ「じゃ、わたしは自分の部屋に行くね」
 愛原「ああ」
 リサ「……あ、そうだ。先生、明るい青色のブルマって好き?」
 愛原「ええっ?」
 リサ「青いブルマは持ってないけど、穿いて欲しい?」
 愛原「いや、それはどっちでもいいけど……」
 リサ「先生はそんな色のブルマ、見たことある?」
 愛原「う、うん。小学校の時、女子はそんなブルマを穿いてたな……。さすがに今はもう無いよ。しかも小学校だし」
 リサ「だよね。……でも、あったことはあったんだ」
 愛原「まあな。今度はそれを穿きたいのか?」
 リサ「わたしじゃなくて、レイチェル。アメリカにいた時、近所に住んでたアスリートのお姉さんが、そういう色のブルマで走ってたんだって」
 愛原「陸上選手か。外国人の場合は、ブルマ直穿きだろうからな」
 リサ「らしいね。リンから聞いたけど。だから陸上用には、裏地にメッシュとかが入ってるんだってね」
 愛原「そうだな」
 リサ「最悪、陸上用にするしかないのか……」
 愛原「まあ、陸上用なら、そういうブルマは今でも売ってるだろうけどな……。別に、リサが無理して買うことはないんだよ」
 リサ「先生がそう言うなら……。因みに、今日は何色のブルマがいい?」
 愛原「緑のブルマは洗濯中だろ?」
 リサ「今、穿いてるよ?」

 リサはスカートを捲って見せた。

 愛原「じゃあ、それでいいよ」
 リサ「分かった。じゃあ、着替えるね」

 リサはそう言ってエレベーターに乗り込み、4階の自分の部屋に向かった。
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“愛原リサの日常” 「久しぶりのリサの捕食行動」

2023-10-19 20:31:05 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[1月21日14時00分 天候:雪 東京都台東区上野 東京中央学園上野高校・新校舎4階女子トイレ]

 

 リサ「いただきまーす」

 4階の特別教室が並ぶ一角のトイレ。
 特別教室が多いということもあり、このトイレを利用する生徒は少ない。
 リサはこういうトイレを狩り場にして、捕食行動を取っていた。
 その噂はすっかり七不思議にも取り上げられており、『放課後、人食い鬼が現れるトイレ』という内容になっていた。

 リサ「久しぶりだなぁ……ウェヘヘヘ……」

 リサは両の掌から触手を出すと、淀橋や小島の肛門や膣内に差し込んだ。

 リサ「ヨドバシ、経血が多い……」
 淀橋「せ、生理中で……」
 リサ「コジマは、また大腸から出血してるねぇ……」
 小島「ああ……下血する前に吸って頂き、助かります……ああ……ッ!」
 リサ「新しいプラーガ(寄生虫)ができた。手始めに、オマエ達にやるよ」
 淀橋「ありがとうございますぅ……」
 小島「とっても嬉しいです……」
 リサ「他にも“獲物”をわたしに連れてこい。さもないと、プラーガが腹を食い破る……」
 淀橋「は、はいっ!」
 小島「仰せのままに……」
 リサ(良かった。今日はレイチェルがいなくて。養成員でも、BSAAの前でこんなことできないからなぁ……)

 

 リサの捕食が終わり、そそくさとトイレから出る。

 リサ「2人とも、ちゃんとブルマ穿いてたね。偉い偉い」
 淀橋「ま、魔王様が穿いておられるのですから当然ですぅ……」
 小島「わ、私も……」

 2人とも、前や後ろの穴に触手を突き刺され、性的にも最高の快楽を得たこともあり、足取りがおぼつかない様子だった。
 ヒョコッヒョコッと歩く感じ。
 だから、階段もゆっくり下りる感じだった。

 リサ「もっと『魔王軍』のメンバーを増やすんだ。オマエ達も動けよ」
 淀橋「はい……」
 小島「分かりました……」

 校舎の外に出る頃には、2人の四天王の足取りも何とか元に戻っていた。

 リサ「まだ降ってる……てか、ちょっと積もってない?」
 淀橋「1cmくらい積もってるって感じですね」
 小島「この分だと、もっと積もりそうだよ」
 リサ「電車が止まる前に帰ろう」
 淀橋「その方がいいね」

 学校の外に出て、上野駅に向かう。

 淀橋「それにしても、うちの学校、やたら怖い話があったじゃないですか」
 リサ「殆どが特異菌のしわざだね。中には、そうでない話もあるけど……」

 話の中に幽霊や妖怪、お化けが出るような話は、特異菌に感染した登場人物の幻覚だということが分かっている。

 リサ「通りでだよ。怪談話の季節が夏に偏ってる理由」
 淀橋「確かに」

 東京中央学園に伝わっている怪談話は数あれど、その9割くらいが夏場に起きているのである。
 例外なのは、冬の入試の時にあったくらいだ。
 特異菌とは、新種のカビを生物兵器化したもの。
 そしていくら生物兵器化したとしても、元がカビだから、冬は活動できない。
 日本の、それも東京の冬はカビが活動できないほど寒く、尚且つ乾燥しているからだ。
 入試の時に舞台になったのは、男子トイレ。
 確かにトイレなら水気があるから、辛うじてカビも活動できるのかもしれない。

 リサ「もちろん、わたしがいるうちは、もう勝手な事はさせないけどね」
 淀橋「さすがは魔王様」

 上野駅に着くと、リサはJRに、淀橋と小島は地下鉄に向かった。

[同日14時15分 天候:雪 JR上野駅→山手線1319G電車先頭車内]

〔まもなく3番線に、東京、品川方面行きが参ります。危ないですから、黄色い点字ブロックまでお下がりください。次は、御徒町に、停車します〕

 さっきよりも雪が強くなってきている。
 本当に2~3cmの積雪で済むのだろうか。

〔うえの~、上野~。ご乗車、ありがとうございます。次は、御徒町に、停車します〕

 電車がやってくる。
 車内は空いていたので、リサは空いている軟らかい座席に腰かけた。

〔「後ろの電車が遅れている為、運転間隔の調整を行います。この電車、本日に限り、14時17分発とさせて頂きます。発車まで2分ほど、お待ちください。お急ぎのところ、電車遅れまして、申し訳ございません」〕

 リサ「!?」

 運転見合わせではないものの、少しダイヤが乱れるようだ。
 並行する京浜東北線が無事なところを見ると、山手線単体で何か起きたようだ。

 リサ(まあ、わたしはいいけど)

 リサがスマホを弄っていると、レイチェルからLINEが来た。
 どうやら、今は休憩中らしい。
 本当に1日がかりでBSAAの戦闘訓練を行うようで、それは17時までだという。
 もちろんその内容は機密事項なので教えられないそうだ。

 リサ「何だか大変だね」

 リサがそう返信すると、BSAAの養成員として当たり前である旨の返信が来た。
 明日の日曜日は、さすがに休むという。
 アメリカ人は日曜日を大切にする。
 ましてや、クリスチャンなら尚更だ。
 レイチェルはロザリオのペンダントを持っていることから、リサはレイチェルがクリスチャンなのではないかと思っていた。

〔「お待たせ致しました。まもなく発車致します。運転間隔の調整にご協力頂き、ありがとうございました」〕

 ホームから発車ベルの音が聞こえて来る。

〔3番線の、山手線、ドアが閉まります。ご注意ください。次の電車を、ご利用ください〕

 車両のドアとホームドアが閉まる。
 車両のドアは、都営新宿線の東京都の車両のそれと同じチャイムである。
 そして、電車が走り出した。

〔この電車は山手線外回り、東京、品川方面行きです。次は御徒町、御徒町。お出口は、左側です。都営地下鉄大江戸線は、お乗り換えです〕

 またもやレイチェルからLINEが来る。
 今度はブルマの話だった。

 レイチェル「リサが送ってくれたブルマの注文票、ネイビーブルーもあるのですか?」

 とのこと。
 リサは購買部に配置されたブルマの注文票を写真に撮り、レイチェルに送っていた。
 レイチェルは既にリサと同じ、通販でブルマを購入していたが……。

 リサ「ネイビーブルー?そんなのあったか?」

 リサは首を傾げて、自分のスマホの写真を見てみた。
 注文票を拡大してみると、確かに、色が緑と紺の2つがあることが分かった。
 もちろん、『※体操服としての指定は緑です』という注意書きはあったが。

 リサ「これは気が付かなかった」

 何しろ売店にはジャージや短パンなどの見本は展示されていても、ブルマの見本は展示されていないからである。
 あくまでも校内にブルマ人口が増えたから、業者が目ざとく気づいて売り始めたといった感じで、学校側としては公認していないからだろう。
 今のところは、『事実上の廃止』から『事実上の復活』に変わったというだけで、校則で大々的に指定しているわけではないからである。

 リサ「紺色かぁ……」

 リサはレイチェルに紺色を買うかどうかを聞いてみた。

 レイチェル「そうですね。リサのネイビーブルーを見た限り、それも良いと思いました」

 とのこと。
 青いブルマにも興味があったようだが、それについて聞いてみると……。

 レイチェル「私が興味があるのは、ターコイズブルーとかスカイブルーのようなライトブルーです」

 とのことだった。
 確かにリサが購入したブルマのメーカーでは、青は本当の青色しか無かった。
 レイチェルがあこがれた陸上選手が穿いていたブルマは、もっと明るい色だったらしい。

 レイチェル「その色があれば欲しいです」

 とのことだった。

 リサ「分かった。わたしも探してみる」

 と返信すると、お礼のスタンプが返って来た。
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“愛原リサの日常” 「土曜日の東京中央学園」

2023-10-19 14:56:47 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[1月21日09時30分 天候:雪 東京中央学園上野高校 校長室]

 東京中央学園上野高校の校長室には、校内の至る所に仕掛けられた防犯カメラの映像が確認できるモニタが並んでいる。
 かつて東京中央学園では、至る所で怪奇現象が頻発し、生徒や教職員に多大な影響を与えていたことがあった。
 そこで学園では至る所にカメラを仕掛けた上で、その現象を捉えることにしたのだが、実際に映っていても何の手立てもできなかった。
 その怪奇現象も、特異菌のせいだったことが発覚し、滅菌・消毒作業が行われて、怪奇現象は最初から無かったのように起こらなくなった。
 今では七不思議の全てをリサが牛耳っていることもあり、彼女さえ抑え込めば、学園の平和は確保できるはずであった。
 なので、リサ率いる『魔王軍』がブルマ復活運動を展開しても、「生徒の意思を尊重する」という名目で黙認していた。

 

 校長「うーむ……」

 校長は体育館の中のカメラをモニターに映し出した。
 そこではリサ以外のクラスが体育の授業を行っていて、女子はバレーボールが行われていた。
 東京中央学園の体育館は空調が完備されており、外は少し積もるかもしれないと言われるほどの雪が降っているが、体育館の中は暖かいと思われる。
 その中にあって、バレーボールという激しい運動をしているせいか、1人の女子生徒は長袖のジャージを脱いで、半袖の体操着の緑色のブルマになっていた。
 他校もそうだろうが、長袖のジャージの下は半袖の体操着を着用する校則になっているからである。

 三上「何だか、昔に戻ったみたいですなぁ……」

 校長室の中にいた生活指導教師の三上が、苦笑して校長に言った。

 副校長「しかし、校長。いくら全校生徒の3分の1が希望したとはいえ、我が校だけ時代に逆行するのは如何なものかと思われます。ここは1度、学園理事会にて再度議題に取り上げられるべきではないでしょうか?」

 女性の副校長が意見具申をした。

 校長「うーむ……」
 副校長「ジェンダーレス、男女平等教育が叫ばれる中で、男女を隔てていたかつての体操服に戻すのは、些か問題があるかと」
 三上「ですが副校長、かつてはあれが全国の小中高では標準の体操服だったのです。けして奇抜な恰好をしているわけではない上、生徒達の希望ということもあるので、そこまで目くじらを立てる必要も無いのでは?」
 副校長「三上先生!あなたは男性だから分からないかもしれませんが、女子のブルマーという物は……って、校長先生!聞いてますか?さっきからずっと唸ってばっかりではありませんか!」
 三上「まあまあ、副校長。落ち着いてください。ほら、中にはハーフパンツのコもいますから……」
 校長「……あのコ、校則違反……」
 副校長「こ、校長先生!?」
 三上(オマエの趣味か!)
 校長「うーむ……。(やはり、ブルマに限る……)」
 副校長「校長先生!今のはどういう意味ですか!?」
 校長「多様性が求められる世の中だ。昔のような体操服を着たいというのも、多様性の1つではないかね?」
 副校長「そ、それは……」
 校長「多様性の世の中に合わせ、我が校の制服や体操服にも多様性を持たせ、その中から生徒や保護者に選ばせるという方式に理事会は決めたはずだが?」
 副校長「そ、それはそうですが……」
 校長「それで今のところ、何のトラブルも無いのだから、わざわざ学園理事達に時間を取らせる必要は無い」
 三上「その通りです、校長先生!」
 副校長「三上先生!」
 三上「おっと……」
 校長「購買部には、生徒達が好きなデザインの体操服が選べるよう、配慮させなさい」
 三上「ははっ!すぐに担当部署に……って、ああーっ!」

 その時、三上が別のモニタを見つけて大声を上げた。

 副校長「何です、三上先生?急に大声で……」
 三上「また愛原達が、今度は副校長先生のBMWをーっ!」
 副校長「ええーっ!?」

[同日同時刻 天候:雪 同学園・駐車場]

 女子レスリング部長「相撲部には勝ったみてーだが、アタシらはそうはいかねーぜ?」
 リサ「望むところ!」
 女子レスリング部2年生「部長、行きましょう!愛原はそっち持って!」
 リサ「オッケー」
 部長「よっしゃ、野郎ども!副校長のBM、反転させっぞ!」
 女子レスリング部員「おーっ!」

〔「駐車場に屯ろしてるそこの連中!直ちに職員室まで来るように!!」〕

 部長「げっ!」
 女子レスリング部2年生「何故にバレたし!?」
 リサ「いつの間にか、カメラが増えてる!?」

[同日13時00分 天候:雪 同学園・生徒指導室→食堂]

 三上「次の月曜日までに反省文書いて持ってくるように!分かったか!」
 リサ「はい!」
 三上「書いて来なかったら停学だぞ!」
 リサ「分かりましたっ!」

 尚、リサだけ生徒指導室に呼ばれたもよう。
 リサの場合、2回目なので。

 淀橋「ま、魔王様、ご苦労様です……」
 小島「生徒指導室に何回も呼び出されるなんて、どこのヤンキーですか……」

 『魔王軍四天王』の2人が迎えに来てくれた。

 リサ「うるさい。あーあ……せっかくのハンバーグが……」
 淀橋「そう言うと思って、食券買っといたよ」
 リサ「マジで!?」
 小島「あと、御飯も大盛りでしょ?今はさすがにもう売り切れてるからね。ヨドの言う通り、先に買っといて良かったよ」
 リサ「2人とも、ありがとう!早いとこ食べに行こう!」

 3人は学食に向かった。

 淀橋「それにしても、今度は女子レスリング部とケンカなんて……」
 リサ「わたしの『折伏』。今度は女子レスリング部にブルマ穿かせる。……まあ、失敗したけど」
 小島「そりゃあねぇ……」

 学食に着く。
 尚、学食の入っているスペースには、購買部の売店もある。
 そこでは体操服も買えるのだが……。

 リサ「あれ?ブチョー」

 女子レスリング部の部長と2年生の副部長がいた。

 女子レスリング部長「ま、まあ、アタシももうすぐ卒業だし?記念に1着くらい買っといてもいいかなぁ……なんて」

 部長はブルマの注文票をリサに見せた。

 部長「これを書いて、あそこのレジの人に渡せばいいんだろ?」
 リサ「そう。あなたは?」
 副部長「練習着代わりとか、或いは下半身が冷えた時に、スパッツ代わりに使えるんじゃないかと思って」
 リサ「『折伏』成功」

 リサは『いいね』のポーズを『四天王』の2人にした。

 淀橋「ハハハ……」
 小島「さすがは魔王様……」

 2人は苦笑するしか無かったようだ。
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“愛原リサの日常” 「臨時登校日」

2023-10-17 20:31:17 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[1月21日06時00分 天候:雪 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家4階リサの部屋→3階ダイニング]

 リサの枕元に置いたスマホがアラームを鳴らす。

 リサ「うーん……」

 リサは大きく伸びをして手を伸ばし、アラームを止めた。
 昨日は一眠りする際に思ったより深く眠ってしまい、そのせいで就寝時間になっても眠気が無かったが、“鬼ころし”を飲んだおかげですぐ寝付くことができた。

 リサ「おー……」

 起き上がってから両手を見るが、爪が長く鋭くなっているわけではない。
 鏡を見たが、鬼形態になっているということもなかった。
 やはり、“鬼ころし”は暴走防止の他、無駄な変化を抑える効果もあるのだろう。
 あいにく、どうして“鬼ころし”にだけそんな効果があるのかは不明だが。
 部屋から出てトイレに向かい、そこで用を足して、今度は隣の洗面台で顔を洗う。
 寒さに強いリサだが、今朝は少し寒さを感じた。
 そこで、洗面所横の窓を開けてみる(その窓は曇りガラスになっている為)。

 リサ「わぁ……」

 開けてみると、雪が舞っていた。
 但し、先週ほどの強い雪ではない。
 小雪が舞うといった感じである。

 リサ「雪だ。さすがに積もらないかな……」

 そんなことを呟いて顔を洗い、歯も磨いた後でまた部屋に戻る。
 部屋着代わりに着ている体操服から、制服に着替える為だ。
 今日は体育は無いが、一応、学校用の緑のブルマに穿き替えておく。

 

 リサ「学校に行くんだから、一応学校用のを穿いておこう」

 1着は洗濯中なので、洗濯済みのもう1着を穿いて行くことにする。

 リサ(レイチェルが穿いてたハイカットのヤツ、何か良かったな……)

 レイチェルのように、足の長い者だから似合うというのもあるだろう。
 だが……。

 リサ(逆にあのブルマの方が、足が長く見えるかもしれない……)

 と、思った。
 ロリ体型が、ややコンプレックスのリサだった。
 グラマー体型になれば、愛原を振り向かせることができるかもしれないのにと……。

 リサ「なるほど。グラマーの方が、ハイカットも似合うってか。うーん……」

 リサは制服に着替えると、エレベーターではなく、階段で3階に向かった。
 食べてすぐに学校に行けるよう、鞄も持って来るのを忘れない。

 リサ「おはよう!」
 愛原「おはよう」
 リサ「何か、雪降ってるね?」
 愛原「ああ。下手すると、また積もるかもしれないってよ」
 リサ「マジで!?」
 愛原「最悪、2~3cmくらいな」
 リサ「2~3cmかぁ……。ビミョーだね」
 愛原「この前の10cmと比べると、電車が止まるほどではないと思うが……。ましてや今日は、休日ダイヤだし」
 リサ「あ、そうか」

 リサはトーストに齧りついた。
 愛原家では、土日の朝食はパンとなっていた。
 あとは2つ目玉のベーコンエッグと焼いたウィンナー、それと生野菜サラダにコンソメスープと。
 十分な洋食形式の朝食であるが、これでもリサにはやや物足りないようだった。
 トーストを2枚、お代わりしたくらいである。

 愛原「お昼は食べて帰ってくるんだな?」
 リサ「うん、そう。それじゃ、行ってきます」

 リサは一気に食べると、再び口を洗口液で濯いだ後、学校へ向かうことにした。

 リサ「おー、小雪が舞ってる」

 いつもはコートを着ないリサだが、今日はコートを羽織った。
 これは寒いからではなく、フードを被る為である。
 通学の途中は、人間形態でいる訓練も兼ねているので、帽子を被ったり、フード付きの上着を着ることは殆ど無い。
 今日は雪が降っている為、フードを被ろうと思ったからだ。
 土曜日ということもあって、駅に向かう通りは、いつもより人が少ない感じであった。

[同日7時25分 天候:雪 同地区 都営地下鉄菊川駅→都営新宿線703T電車先頭車内]

 駅に行くと、平日よりは乗客が少なかった。
 どちらかというと、通学客よりはリサのような学生の方が目立つ感じ。
 リサのように、登校日になっている学校が多いのだろうか。

〔まもなく1番線に、各駅停車、橋本行きが、10両編成で到着します。ドアから離れて、お待ちください〕

 電車が強風と轟音を伴いながらやってくる。
 今日の電車も、東京都交通局の電車だった。
 但し、昨日の帰りに乗った物とは違い、やや車内が薄暗く感じる初期車であったが。

〔1番線の電車は、各駅停車、橋本行きです。きくかわ~、菊川~〕

 電車も平日よりは空いている。
 但し、座れるほどではない。
 リサはスルリと乗り込むと、ドアの近くに立った。

〔1番線、ドアが閉まります〕

 そしてドアが閉まり、電車が走り出す。

〔次は森下、森下。都営大江戸線は、お乗り換えです。お出口は、右側です〕

 リサはスマホを開いて、『魔王軍』のメンバーとLINEしていた。
 どうやら今日の学食のハンバーグ定食は、在庫処理の為、やや大きいものなるかもしれないとのことだ。

 リサ「もちろん、食べてから帰る」

 と、リサは鼻息を荒くして返信した。
 危うく、興奮して鬼形態になってしまうところだったが、何とか堪える。
 しかし、もしも昨夜、“鬼ころし”を飲んでいなかったら、変化してしまったかもしれない。

[同日08時00分 天候:雪 東京都台東区上野 東京中央学園上野高校 教育資料館(旧校舎)→新校舎2階・2年5組]

 リサは登校するとフードを取って、旧校舎の前に一礼した。

 リサ「おはよう、“トイレの花子さん”。……イジメ、ダメ、絶対」

 リサは、日本版リサ・トレヴァーの起源となった少女の霊に対して挨拶した。
 本名は斉藤早苗という。
 白井伝三郎の同級生だった少女だ。
 白井が密かに思っていた少女であり、長い間、“学校の七不思議”の頂点に立つ少女であった。
 それは特異菌が見せた幻覚であったことが分かったが、この旧校舎のトイレで斉藤早苗が首を吊って自殺したのは事実。
 その霊を慰める為、リサはいつもここで挨拶していた。
 “学校の七不思議”の全てを牛耳ったリサだが、正確には違う。
 そのうちの1つである、『旧校舎には、かつて“トイレの花子さん”と呼ばれる凶暴な悪霊がいた。今はもうそれはいないが、時折、彼女が着けていた白い仮面が落ちていることがある。それを見つけた者は呪われる』というもの。
 リサが自分の白い仮面を、“花子さん”が着けていた白い仮面に見立て、供養しているだけのことである。
 リサは鞄の中から、自分の白い仮面を取り出した。

 リサ「……それじゃ、また」

 仮面越しに旧校舎に向かってそう言うと、リサは新校舎に向かった。

 淀橋「おはよう、魔王様」
 リサ「おはよう」
 小島「また雪降って来たね。私達、帰れるかなぁ?」
 リサ「わたし達は地下鉄だから、大丈夫だろう?」
 淀橋「うーん……北千住駅は地上にあるからねぇ……」
 小島「中目黒も」
 リサ「2人して便利な所に住んでるね」

 昇降口で、『四天王』のうちの2人、淀橋と小島と合流したリサは、教室へ向かった。
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